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【詩の翻訳】街/ゲリット・エンゲルケ

一万の堅いブロックが谷に届いた、
石から成り、石の上へと、木と鉄の格子をめぐって高く積み上げられ、
スチームパイプ、塔、鉄道によってさらに橋渡しされる、
網から網へと張り巡らされた導線によって。
多くの溝によって深く掘り返された山。
それは巨大なラビリンスだ、
それによって運命は人間を人々の周囲へと押し流す。

五十万の大いなる生命が円を描いて転がっていく、
途方もない努力ですべての溝を抜けて先へ先へと。
デパート、仕事場、ホールに駅の構内、
学校、公園、散歩道の土手のそば、
エレベーターの通り道、クレーンのそばの建設現場、
階段を上って、下って、広場を横切る通りを抜けて、
車に、自転車に、路面電車に乗って。
そこで人の渦の乱雑なせわしさが泡を吹く。

五十万の人々が大いなる生命を転がしていく、
途方もない努力ですべての溝を抜けて先へ先へと。
そのうえ死が毎日百人を運び去り、
喧騒はいつものようにあらゆる場所で鳴り響く。
喧騒はハンマーとブロックから鍛冶屋を引き離し、
カーブと軌道から車の支配者を引き離す。
通りの歌は一層強く轟く。
車は走り——ハンマーは鳴り響き続ける。

Gerrit Engelke: „Stadt“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Frankfurt a. M.: Diesterweg 1966, S.69.

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