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【詩の翻訳】僕らが一本の木を切り倒したとき/ホルスト・ランゲ

僕らが一本の木を切り倒したとき

のこぎりのきついきしみが
年老いた木を食い破り、
君は斜めに切った線の中で
浅はかな誇りが消え去るのを見ている。
年月はうめき、きしみ、
すぐに担架の上に倒れる。

風に抱かれた枝々は、
ああ、すべて下へ、足下へ落ちねばならず、
陽気なものたちは
倒したものの同情を誘う、——彼は自分の墓を見つめている。
彼は鋸で切り、斧で叩き、鋸で切る、
時がいつ彼に打ち当たるかも知らずに。

いま彼は木の冷や汗の匂いをかぎ、
身を起こして驚く、
彼は慄きを感じたのだ、そしていま知った、
こちらへ影を投げかけるものの正体を。
彼はこの世界に頭を下げ、
まだ立っていた——他のものが切り倒した。

Horst Lange: „Als wir einen Baum fällten“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Frankfurt a. M.: Diesterweg 1966, S.75.

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