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【詩の翻訳】世界のやさしさについて/ベルトルト・ブレヒト

世界のやさしさについて

冷たい風の吹き荒ぶ地上へと
君たちは皆、裸の子どもとしてやってきた。
君たちは何の財産もなく凍えながら寝転がっていたのだ、
一人の女がおむつを与えたときには。

君たちを呼ぶ者はなく、君たちは何も求められず、
君たちは仲間に迎え入れられなかった。
この地上で君たちは見知らぬ人だった、
一人の男が君たちの手を取ったときには。

そして世界は、それは君たちに対して何の罪もないのだ。
誰も引きとめることはない、君たちが行きたいのならば。
多くの者には、子供たちには、君たちはきっとどうでもよいのだ、
しかし多くの者が君たちを泣いたのだ。

冷たい風の吹き荒ぶ地上から
君たちは皆行くのだ、かさぶたや疥癬に覆われた姿で。
ほとんどすべての人が世界を愛していた、
両手から土をかけられるときには。

Bertolt Brecht: „Von der Freundlichkeit der Welt“, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Deutsche Gedichte für die Hauptschule, Frankfurt a. M.: Diesterweg,1966, S.58-59

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