【詩の翻訳】港の光景/へレーネ・フォークト=ディードリヒス
港の光景
一面にたちこめる白々と明るい霧が
夢うつつの港にかかっている。
ぎっしりと密集した家々の間は
カーテンのかかった窓とともに眠っている。
空に向かって迫るように聳え立っている、
工場の黒い煙突が。
朝には家に向かって漂う、
獲物を積んだ漁船が。
日々の仕事の騒々しいどよめきから
もはや他の音は響かない
船の巨大な肺から出る
蒸気を絞り出す呻き声のほかには。
Helene Voigt-Diedrichs: „Hafenbild“, In: „Deutsche Gedichte für die Hauptschule”, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Frankfurt a. M.: Diesterweg 1966, S.73-74.
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