土曜日もやろう
近所で新しくお店をオープンされたりする方が、
ご丁寧に挨拶に来られたりすると、
つい聞いてしまうのが、
「土曜日、やります??」
だ。
最初、面食らったような顔をされて、
「はあ、一応やるつもりでいますけど・・・。」
なんて、返答をされて、実際、開店当初は営業されているのだが、
しばらくすると・・・、
やめてしまうことが多い。
最近、マンションなどが増えて来ているとはいえ、それでもやはり神保町は、
「働く人の街」であることは否めない。
(月〜金)と(土日祝)では、その様相が一変する。
結局、
平日に「お勤めの方」を、どれだけ呼び込めるのかが鍵になる街なのだ。
ただ、
そんな、
「平日、同僚に誘われて、なんとなく」
といった、いわゆる「惰性のお客さん」ではなく(失礼)、
「あえて、ここに来ました!!」
という方を、
どれだけ増やしていけるかも、
店をやっている側の「経営」的な面ばかりではなく、「心情」的にも重要なのではないかと思っている。
そして、
それを表す指標になるのが、この街の場合、
「土曜日」
であるような気がするのだ。
「そんなこと言ったって、見ればわかるとおり、この神保町の「土日」なんて、閉めてるとこばかりじゃない。」と仰りたいのはよくわかる。
それに、
「収支的に回るのが分かったから、何もわざわざ人の少ない神保町の「土日」に店を開ける必要もなかろう。従業員への手当も減らせる。」というのも、ご最もだ。
元来、経営的にゆとりのある大手資本の店や、昔から商売をされている地元の店でもない限り、我々個人店は、1日でも多く営業した方がいいのは明らかだ。
しかしながら、そこは人間。自ずと体力に「限界」はある。
どこかで「休み」を取らなければならない。
その時、この「土曜日」をどうするかで、その後の生存確率に違いが出てくるような気がしてならない。(もちろん、例外もあります。平日のお客さんをしっかり捕まえているママさんの店など。)
以前、
多店舗展開されている、とある著名な経営者の方が、書籍の中で、
出店を検討する際は、
「その店が、小雨の降る月曜日に、お客さんが来てくれるかどうかを想像してみる。」と述べておられていた。
それを、この街に置き換えるなら、
「この店が、何て事ない土曜日に、お客さんが来てくれるかどうかを想像してみる。」といったところだろうか。
店を始めて間もなく、
近所の会社にお勤めの方だろうか、平日たまにお見かけするする男性が、土曜日に彼女を連れて飲みに来てくれた事があった。その時、「あ、この店、大丈夫かも。」と思ったりしたものだ。(大きな勘違いだったのですが・・(涙。)
だって、僕が会社勤めだった頃、職場の近くの飲み屋に、会社が休みの日にわざわざ彼女を連れて飲みに行くなど、やった事がないどころか、頭によぎったことすらない、いや、近づく事さえ嫌だったような気がするからだ。
確かに、
開店当初は、「土曜日」にやっている店があるという認知度も低く、
集客に苦労したのは間違いない。
店を始める前には、近所の飲食店のご主人に、「ここは何やっても駄目だよ。どうやっても月20日しか稼働しないから。」と揶揄されたりもした。
そんな経緯もあってか、
もはや意地になってやっていた部分もある。
しかしながら、
なんとか踏ん張ってやっていると、神保町へは「土曜日」にしか来ない人種もいるという事が分かってくる。(書店に来る方や、資格の学校へ通われている方など)
そして、そういった方々に見つけてもらえると、まるでルーティーンのように繰り返し来てくれるようになる。
また、そういった方々の醸し出す雰囲気というのは、実に寛いでくれているようで、お店の空気がとても良くなる。
やがて、
「ああ、これがこの店の「裏の顔」、いや「本当の顔」なのかも。」
と、思えるようになった。
今では、この土曜日の店がたまらなく好きだ。
いかがでしょう。
もし、ご近所に出店のご予定の方がおられましたら、
「土曜日、やりませんか??」
(笑。
ただ、「寂しい」からという気もしますが・・。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
11日(祝日)と13日(日)に挟まれた、12日(土)もやっております。
お待ちしております。
Summertime / CHET BAKER QUARTET
Barclay Records
1955
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)
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