見出し画像

四国遊び遍路 76番~82番

2022年4月26日、3年ぶりの区切り遍路の再開です。

80番の遍路宿のえびすやさんでお会いした通しの歩き遍路さんに
「初めて会いましたね」と声をかけられました。
「はい、区切り遍路で76番から入りました」「それで初めてお会いしたわけか」と、「歩き遍路ですか」と聞かれました。即答できない。
そうですとも、違いますとも言えない。これまではほぼ歩き遍路でしたが、これからはそうではないからです。

私のお遍路は18年前にお花見を兼ねてスタートしました。
春のお彼岸限定の区切り打ちで、途中、介護や娘の出産など、体調を崩した春もあり、お遍路に出られない年もありました。
その時の状況に合わせて行き当たりばっちり、それゆえに乱れ打ちです。

コロナで3年休憩していたら、すっかり体力、気力、脚力が落ちていました。
なかなか足が伸びません。短い足は今さら長くはなりません。
足の長さではなくて、これまでなら5ヶ寺ぐらいお参りできたのが、3ヶ寺が精一杯で、距離が稼げなくなったということです。
また、健康上の不安材料も少し加わりました。それゆえの二人連れです。
連れは私よりはるかに若い相棒、感謝しかありません。

さて、女二人連れはおしゃべりばかり、口が動くほど足は動きませんが、一人だと先の不安が先に立つ、納経もさささと終わらせて、とにかく先へ進んでおこうと気が急くばかり。
二人だと、何とかなるわと気楽になる。それが一番ありがたい。落ち着いて丁寧に納経ができました。

歩きお遍路できることは幸せなこと。体はへろへろになっていても、魂は喜んでいることがわかります。

どこで倒れてもいいように白い装束を着てはいるけれど、無理はしないと決めて家を出てきています。今回は山登りもあります。さて、どうなりましたでしょうか・・・。

第76番札所 金倉寺

14:00 76番金倉寺着 
歩き始めはいつもしんどい。まずは最初の札所に着くとホッとする。
1週間前までの天気予報では全日程が雨だった。この日も雨の予報だが、まだ、降っていない。
時間はない。緩やかな下りで5キロを1時間のハイペースで飛ばす。
途中で若い人たちがバーベキューをしていた。
焼きそばがもうすぐ焼けるから食べてと熱心に誘ってくださるが、時間がなくて泣く泣く魅力的なお接待を辞退。今回の一番の心残りとなりました。

第77番札所 道隆寺

15:40 77番道隆寺着 
今日はこれで打ち止め、雨は5時からとあって、丸亀泊まりとしてお宿も確保。つい気が緩んで長居してしまう。これが後で大きくひびいてくる。
相棒は、初めての歩き遍路で雨の洗礼を受けることになる。

16:50 出発。途中でいい感じでセブンイレブンで雨宿り休憩をとる。コーヒーが沁みる。上手く雨宿りしたつもりが、本格的な土砂降りとなる。

丸亀の手前で、傘をさしてずぶぬれで歩く二人の横にちょっと高級な車が停まって、どこまで行くのかと聞かれた。すぐそこだからと速攻で辞退する。
きれいな車をずぶ濡れで汚す心臓は持っていない。

今日のお接待は全部辞退してる。申し訳ない。けれど十分にお心はいただいている。濡れながらも心は爽やかだった。

18:00 丸亀駅前のゲストハウスウエルかめに到着。オーナーの親切で丁寧で長めのチェックインはどうやら名物らしい。乾いたタオルがありがたい。2人で5000円、シャワー、共同トイレだが、改装したところなのかきれいで清潔で居心地は満点。おすすめの居酒屋さんに案内もついている。雨でなければ、レトロな銭湯にも案内してもらえるところだった。ここはおすすめの宿です!

27日 7:00 出発

7:30 朝の6時半から営業している「こだわり麺や」にて朝食

第78番札所 郷照寺

8:42 78番郷照寺着
境内はきれいに手入れされていて気持ちがいい。

9:20 出発、長い街の中を歩き続けで疲れる。遍路道に入ると車に気を使わなくていいのでホッとする。
イオンの横を過ぎて、目指すJR線を渡る踏切、このあたりの踏切はとにかく長い、電車は遥か向こうなのに早々と下ろす。思わず路傍の石に腰を下ろしていた。町の中には休憩する場所がずっとなかった。

11:00 番外霊場「八十八場の水」に着く。ところてんの文字に誘われるのは仕方のないこと。

第79番札所 天皇寺

白峰宮の三輪鳥居、日本で3つしかないそう。

11:40 79番天皇寺着。 12:00 出発
鳥居の前の道をまっすぐに降りていくと土讃線に当る。しばらく線路沿を歩くと橋に出る。川を渡って川沿いを行くとおもてなしステーションがある。
普通の民家が門を開放して庭にベンチを置いている。玄関のドアを開けてトイレを開放してくださっている。天皇寺で使えなかったので助かる。
出ていくと、ベンチで相棒はこの家の主と世間話をしている。缶ジュースのお接待を受ける。美味しい!

お昼を食べるところがない。足も休めたい。11号線沿いに行くとうどん屋さんがいくらもあるけれど、コーヒーが飲みたい。やっと見つけたカフェで昼食をとった。2時前になっていた。今日は80番で打ち止め、遍路宿「えびすや」さんに電話を入れる。4時半までに入れるならOKだった。3時半には着いた。10年前なら、もう1ケ寺進めているところだけど、無理はできない。

第80番札所 國分寺

15:40 国分寺にて納経
えびすやさんのお接待はお洗濯で、下着も全部出すようにと言われる。
普通なら、下着は遠慮する。ところが、遠慮してはいけない。そういう気にさせるのがこちらの女将さん。よーく考えたら、「下の子のお産の時、42年前に母に洗ってもらって以来のことだわ」とじんわりとした。女将さんはお遍路さんのお母さんやね。ご飯を食べてお部屋に戻ったら、乾いた洗濯物が置いてあった。ありがたいことこの上ない。

夕食の時も、朝食の時も遍路道の説明をしてくださる。そのままに歩いたらすべて上手く行ってた。ありがたい。また来たくなる。

28日、6:40 えびすや出発。
7:05  山道に取り付く、8:30 遍路ころがしは難なく通過したらしい。後でわかる。
1時間後には県道に出る。自衛隊演習地の柵沿いに歩く。
ぼちぼちとお遍路さんとすれ違う。ここで出逢うのは歩き遍路さんで皆さん足が速い。歩き付けていて、軽く歩いている。私たちのような区切り打ちは歩くことに慣れるまでが辛い、そして慣れる頃には終わる。
このあたりまで来ると結願は近い。いいお遍路をされてきたのだろう。終わりに近づいてどんどんいいお顔になるんだろうな。自宅に戻ってもそんなお顔だと家族も嬉しいだろう。

県道までの登りで、後ろにお遍路さんが一人、当然、追い抜いていくだろうと思っていたら、全く追いついてこない。なんだか自由なお遍路さんだったが、県道の下りで、あっという間に追い越していった。

8:45に遍路道に入る。そこで、自由なお遍路さんは、県道を行くか遍路道を行くかで迷って私たちを待っていた。当然、女将さんに聞いた道を選んだ。

暗くてぬかるんだ悪路だった。イノシシが掘り返した跡があって、二人だと怖かっただろう。道も先に歩いてくださる方がいて、気さくにおしゃべりしてくださると気が紛れて、嫌な下りも苦も無く通過。意外なぐらい早く到着していた。お互いに感謝しかない。

第81番札所 白峰寺

9:16 81番白峰寺着。山の気が澄み渡っていた。シャクナゲが新緑に得も言えずに美しく映えていた。
10:00 出発、遍路道を行く。イノシシがどれぐらい暴れてるのというぐらい道があれている。一人では歩けない。二人でも怖い。けれど、なぜか護られている感覚がある。丁石を数えながら歩く。小さなプロセスを越えていく。まるで瞑想をするようだ。
11:30 十九丁休憩場で無人お接待所のお茶缶をいただく。ひんやりとして甘露だった。
12:00 オレンジパーク休憩所の茶店で昼食して12.30には出発した。

13:00 83番一宮寺へ向けて下山道への分岐で件の自由なお遍路さんと再会。高野山へのお礼参りの交通情報を聞かれてしばし歓談する。アップダウンが厳しい道だと脅かされるが、難なく到着。が、さて山門を入って一瞬怯んだ。まずはドンと一端は階段を下って、それからドーンと上がる階段が待っていた。これを言ってたのかと納得。別れ際に「アップダウンがあるからね」と念を押すように言ってたのは、おふざけでもなく自身も怯んだのだろうなと。今は無事結願されたことでしょう。お疲れさまでした。

第82番札所 根香寺

13:17 82番 根香寺着 
大きなわらじと仁王様に迎えられた。山の中の清冽な空気が立ち去りがたくさせる。
回廊のある本堂では、この度の打ち止めで、何とか歩けたことへの感謝を込めて納経した。
まず一緒に歩いてくれた相棒ミキティに心から感謝しています。ありがとう。
お遍路の魅力を感じてくれたようで嬉しい。これからもよろしく。

14:00 今日中に帰阪するためタクシーで下山。高松からなんば行き高速バスに乗車して、あっという間に日常に帰還した。
今回は、最後の下りで苦しまなかった分、還ってからの筋肉痛もなく、すぐに膝も復活している。こういう方法もあるのだと、完全には歩けない自分を許す。それでも歩けている自分に満たされる。
今回は、また、すぐにお四国には戻るということもあって、帰ってきてから陥るやさぐれ感はない。やっぱりお遍路はいい。やめられない。

私のお遍路は遊び遍路。なので、寄り道だらけですが・・・。
今日も私のお遊びにお付き合い下さいましてありがとうございます。😊

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?