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一枚の自分史:お大師さんが守ってくださる

 お遍路をしていると不思議なことが起こります。この年もそうでした。
2018年の3月、徳島でマンダラエンディングノートファシリテータ養成講座のお仕事が入りました。3/16、早朝の高速バスで向かって、3/16は午前中、3/17は午後の講座です。空いた時間を利用して、昨年、12番まで打っているので、続きの13番~23番札所まで廻りました。その時のことです。

 2004年(平成16年)54歳から春のお彼岸限定で区切り打ちしています。一応、歩き遍路なのと、日程も限られるので打てるところは限られてしまって、おのずと乱れ打ちです。
お彼岸となるといかに片手間主婦とはいえ何かと用が重なります。定年退職してからはと思っていたら、フリーでの仕事はそれまで以上に忙しく自由がききませんでした。

 この年、ありがたいことにお大師さんからのお呼びがかかりました。
お遍路する。特に歩き遍路は贅沢遍路と呼ばれているように、体力、気力、経済力、そして私の場合は家族の理解が必要になります。でも、それだけでもだめでして、それはお大師さんからのお呼びがかからないことにはお遍路には行けないのです。

 ですから、仕事に絡めてお遍路できるのは、お大師さんのお呼びがあった、それ以外考えられません。
そして、大阪まで行けないから、自坊で講座をやってくれませんかとお呼びくださったお大師さんのお弟子さま、鳴門の観音寺の一善さんのおかげでした。

 さて、どんなことが起きたかですが、高知は早々と桜開花宣言🌸、それなら徳島も期待できそう、お花見遍路といきたかったのですが、あいにくの雨でした。雨のせいにして、ショートカットしまくっていました。
 お遍路を始めたころはストイックに歩くことにこだわっていたのですが、今はそうも言っていられません。

 朝7寺に太龍寺のロープウエィまでお宿から送っていただきました。さすがに、朝一番、雨も降っていて人が上がってこられないので、西の高野山と言われる伽藍を独り占めあまりにも荘厳で清冽でした。

 大師堂でお線香は何とか点ったけれど、どうしてもろうそくに火が点らない。諦めてどなたかどうぞ点してくださいねと立てておきました。
 朝早いのと雨が降っていて薄暗く、まだ燈籠には火が灯っていました。どこかで獣が吠える声が・・・、空耳かな・・・。人っ子一人いない、怖いと思いました。

 びくびくしながらも納経を終えて大師堂を出た時、あれ、自分は何をしていたんだろう、ここはどこなんだろう。一瞬、時空が捻じれた感覚がやってきて、その時、何かに護られている安堵感が胸に迫りました。有難くて泣いていました。

雨の中、誰もいない、有難くって涙が流れる。有難うございますと何度も唱えながら・・・。
 お遍路をしているとこういう状態になることがあります。お遍路の醍醐味ですね・・・。有難いことです。

 雨の中を山の中を歩くのを避けてロープウエイを下って車道を行くことにしました。前日から、右足の親指が悲鳴を上げていました。だましだまし歩いていました。
 すると、気になる蛭子神社。二本杉のパワーがすごくて、ここに呼ばれて、このコースだったのかと妙に納得がいきました。宮司さんから枌(へぎ)の折敷でカロリーメイトのお接待をいただいて、恐縮いたしました。この地区には大塚製薬の工場があってカロリーメイトを生産しているそうです。有難いことです。

 下りのロープウエィを下りて車道を行き、途中、阿瀬比から遍路道に入ります。
 一人雨の中、大根峠を超えて郷に出ると、一瞬、道がわからなくなっていると、白鷺が表れて、行く手を教えるかのようにすーと飛んでいくのです。思わず「ねぇ誰なの?」と話しかけていました。今回のご案内役は誰なんでしょうか?またです。こういうことはよくあるのです。
 ひとり遍路の旅は、真の自分をさがす旅です。そして守られ、導かれる旅なのです。

 雨は本降りになりました。23番、ここで打ち止めとしました。徳島をコンプリート!やっとでした。続きは高知室戸から始めます。

 〜我が計らいにあらず〜、お遍路はやめられない。今年はお呼びがかかっています。もうすぐに四国に舞い戻ります。私のお遍路は、ついでにお花見の遊び遍路🌸なので、寄り道だらけですが。

 時間のある時に、これまでのお遍路をマガジンにまとめています。
残すのは33カ所、すでに自分の足だけでは難しくなっています。これからはこだわりを捨てて、歩けない自分を認めていこうと思います。

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