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一枚の自分史:私と九重・・・山恋やまず

2018年(平成30年)6月12日、60代も残すところ1年もない夏。
九重の平治岳の頂上でバンザ~イ!

真っ盛りのミヤマキリシマの山に逢うために九重にやってきました。
九重は、これまでで一番足を運んだ山系で、大喜びしたり、がっかりしたりした山系です。

わたくし、この回は結構無理しました。
たぶん、これからは連れて行ってもらう方に廻ることになりそうです。
リーダーで登るにはギリギリだったようです。

山ではよくある事なのですが、ここには残念ピークがあります。
硫黄山、三俣山と雄大な眺望ですが、平治岳のピークは、まだ、そのまた向こうにあるのです。このピークには、え~、ここじゃないの!という大勢のため息が溜まっています。
残念ピーク手前ですでに悪戦苦闘して、前回登ったときにもこんな鎖場があったのか?記憶にないということは、以前は苦もなく登っていたのにという嘆きがありました。

正真正銘の平治岳のピークは360°の展望でした。梅雨の晴れ間の透き通った空気が美味しい。
そこにいる人たちとハグしたい気分でした。

一人は初めてこの季節に登る、もう一人は初めての登山。
山に入る初日が雨で苦労させたこともあり、このピーカンの大展望と一面のミヤマキリシマに大いに感動している姿を見ることができてやれやれでした。それにしても、初めてやってきてこの景観を得るなんて、なんともラッキーな人たちです。

下りについてもなかなかのものでしたが、そこは語らずにおきましょう。
無事に帰ってきました。いつも守られている。有り難いことです。
加齢劣化の身ながらも、永年やってきたことで、膝をごまかし、体力を補う騙し方を知っていることは大きいと今回も思いましたが、いつまで続くことでしょうか。

22歳の3月卒業前に登った一人の星生山と久住山。
その頃の私は一人旅にはまっていました。でも一人の山ってやっぱり寂しいなと・・・。

山仲間のサークルで登ること数回。
すでに五十歳を回っていましたが、まだまだ元気一杯でしたが、若いころのような先鋭な山登りはもうできない。百名山を目指すのもいいけれど、私は自分の名山を百回登りたい。
そのあたりから九重の魅力にはまったようでした。

好き過ぎて、好きな人たちをここに案内したくなる癖止めないとね。

全山を染めるミヤマキリシマ、紅葉の山。
特に坊がつるの草っ原が好きで、そこに身を置いて、日がな1日ぼーっとしていたい。
早朝に歩くと、山の肩から日が昇る直前の空が青に染まる一瞬がたまらない。
やがてオレンジに辺り一面が照らされて、露に濡れた草が朝日にキラキラと輝いて眩しい。
ミヤマキリシマの開花を待って、チンする(沈滞する)テントの住人に勧められて酌み交わした美酒の味。
やがて四方の山を染めて落ちてゆく夕陽。
法華院温泉の灯ともしころの人恋しさ。
山のいで湯で癒されて、せせらぎの音に眠る。

一緒に歩くメンバーの足が揃わず、法華院温泉に着いたのはとっぷりと秋の陽が落ちて危ない目に会ったこともありました。雨に遇うこともしばしば。ミヤマキリシマ、全山紅葉には見事にフラれることもありました。

必ずその盛りに出会えるわけではない。
何度、振られても、それでも諦めずに通いたい。山恋止まず…。

いつかと思っていた坊がつるでのテント泊がまだ叶っていない。
とうとう食料から全てを担いで入る体力がなくなってしまったけれど、誰か担いでくれないかなと諦めたわけではありません。
これからも、せめて法華院温泉までは何回でも通える体力だけは維持し続けたいと思っています。

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