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パートナービジネス成功までのプロセス徹底解説



1. はじめに

みなさん、こんにちは。
パートナーサクセス株式会社の佐々木です(@chiho_relations

大手、スタートアップ企業にて営業職を中心としてキャリアを積み、直近数年はパートナービジネス特化で仕事をしております。
加えて、今年9月よりパートナーサクセス株式会社に所属し、パートナービジネスのコンサルティングPJにメイン担当として携わっています。
おかげで「ゴリゴリ」音が聞こえるくらいパートナービジネスの言語化が進んでいます。ありがたい!


今回パートナーサクセス社にて、「パートナーセールスアドベントカレンダー2023」を企画し、なんと21名に参加いただいております!
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございます!

今回はクリスマスまであと数日という23日にnoteリリースさせていただくこととなりました。そして、今回のnoteは今年さらにパートナービジネスの言語化ができた部分を一部みなさんへお伝えしようと思います!

よろしくお願いします!



参考)今までのキャリアと人物像


2. みなさんに伝えたいこと

「パートナービジネスのノウハウって他の営業職に比べて、市場に情報がない」とよく聞きます。
なぜか?パートナービジネスは他の営業職と比較し、関係する組織、人が多く、とにかく変数が多い!
よって、言語化しづらいんです。

なので、よく職人芸と言われます。
でも、それだと再現性がなく、パートナービジネスの成功って望めないですよね。
しかし、世の中にはパートナービジネスで成功している企業もあるんです。

よって、今回は私がこの4ヶ月どっぷりパートナービジネスに浸かり言語化しまくった内容をみなさんにお届けします!

そうすることで、パートナービジネスやってみたい!パートナービジネスに力入れよう!と思ってくれる方が増えたり、
パートナービジネスで成果でたよ!という方が増えてくれることを祈っています。




3. パートナービジネスを始めるべき目安は?

まず本題を始める前に、前提としてみなさんに伝えたいことがあります。
パートナービジネスを始めるべき目安は?

・直販で一定の成果がでている
・サービスがおおよそ固まっている
・サービスがPMFをむかえている

こういった目線を伝えています。
それはなぜか?
「パートナー企業が自社のサービスを担いでもらう」
その際にパートナー企業が自社サービスについての情報をインプットしていただく必要があります
よね。

・そもそも直販での事例が少ない
・数ヶ月で大きくサービス内容が変更となる

こういった場合だと、パートナー企業は担ぎづらい。
さらに、せっかく自社サービスについて理解いただいたのに、改めて教育をする必要がある。
双方手間でしかないですよね。
そうなった場合、パートナー企業のモチベーションはダウン。
自社としても「パートナービジネスって意味ないんじゃないの?」という温度感となります。

なので、パートナービジネスを「簡単!売ってくれる人が増える!」と思うことは本当に間違いで、自社のサービスを冷静に「パートナービジネスを進めるべきか?」を考えた上でGO!となるのであれば、進めましょう。



4. パートナービジネスの遷移

パートナービジネスやろう!もしくはやっているという方は、ここからのnote読んでください。

パートナービジネスはご存知の通り、大きく2つのフェーズにわかれます。
基本的には下記です。
①開拓期
②深耕期

パートナービジネスのフェーズ


この2つのフェーズについて、それぞれ説明していきますね。

①開拓期

パートナービジネスにおける開拓期とはなにか。
パートナー企業が0〜10社未満で、まだまだパートナー企業からの顧客紹介もチラホラしかない状態の時期です。
社内のリソースとしては専属でパートナーセールスがいれば最高ですが、多くの企業はフィールドセールスと兼任といった状態が目立ちます。
(でも私の持論としては、立ち上げの時こそ専属で人を置いたほうが良いと思ってます)

そして、その開拓期「パートナービジネスはじめよう!」となった際に重要なのが、パートナー企業選定。

パートナー企業選定で重要な点は少なくても下記2点です。

・自社のターゲットとしたい顧客をすでに既存顧客で抱えている企業
・自社の事業ドメインやサービスと相性の良い事業を運営していること

上記と置いている理由としては、まず自社がパートナービジネスをやる意義を考えてみてください。
主には下記点があげられます。
・直販でアプローチできない、アプローチが難しい顧客セグメントへの効率的にアプローチするため
・商談後高い成約率を創出し、効率よくターゲット顧客にアプローチするため

そうするとおのずとどんなパートナー企業と組むべきか?が見えてきますよね。


加えて、このフェーズの注意点としてお伝えしたいのが、自社にとってなぜパートナービジネスをやるのか?は組織内で必ず揃えておくと良いです。

背景としては下記です。

・パートナービジネスは中長期戦
パートナービジネスの立ち上げ〜成果創出するまでは1〜2年ほど時間がかかる。よって、会社として中長期的な施策として捉える必要がある。成果創出までに時間がかかるという場合、パートナーセールスメンバーのモチベーションが下がるケースも多々あるため
・パートナービジネスは顧客紹介〜成約まで一般的に直販に対して成果創出までに時間がかかる。加えて、パートナー企業の立ち上げ時(オンボーディング時)にはお付き合い商談(※)が発生し、成約率も下がるケースもある。よって、短期的な事象を捉え、パートナービジネスが意味ないと捉えないようにするため

・社内ルールやオペレーション整理
・今まで直販しかやってこなかった組織においては、直販とパートナー企業からの紹介顧客バッティングが発生する場合がある。そういった場合、安易に「直販」を優先すると、パートナー企業および自社のパートナーセールスの大きくモチベーションを下げる可能性がある。特にパートナー企業のモチベーションを下げるとよっぽどの場合、再度顧客紹介は発生しない。結果、パートナー企業がアクティブ化にならないという事象が起こる
こういった事象を社内調整する際に、「なぜパートナービジネスをやるのか?」を組織内で揃えておかないと、無駄な争いが起こる
・オペレーション整理においても、社内バックオフィスや他部門との調整が必要となる。パートナービジネスを立ち上げながら、社内調整も!オペレーション整備も!となってくると本当に大変です。なので、事前に組織としてやる意義を揃えて社内で協力体制をつくれる形にしましょう

上記の背景としては、よくパートナーセールスのみなさんから、こんなお悩みを聞きます。
・経営層の理解が得られなくて…
・すぐ成果を求められていて…
・直販との調整が必要で…

「パートナービジネスをやる!」と決めたならば、組織でのパートナービジネスをやる意義を絶対に揃えましょう。
それは経営層や営業統括の仕事ですよ。
パートナービジネスをやる!と決めたからには、メンバーが一心不乱に事業成長に向かえるようにサポートしてあげてください。


ちなみに、
パートナー開拓期の重要要素となる、「パートナー企業の選定」においては、下記noteに過去書いたので、ぜひ読んでみてください。
基本は自社、パートナー企業、ターゲット顧客が3方良しとなる関係性をつくることができるか?が重要です。


②深耕期

みなさんが頭を抱える、多くの企業様で「パートナービジネスうまくいかないだよね…」といった状態となっている「深耕期」についてお話しします。

正直パートナービジネスは深耕期にならないと、成果は出ません。
みなさんもおわかりのように、パートナー企業100社契約しました!といっても、そこからの顧客紹介→成約が発生しないと成果0ですよね!

深耕期とは、下記状態をさします。

・パートナー企業数社とのパートナー契約の締結が完了もしくは見込みの状態
・パートナー候補企業との提携に向けての商談件数5件以上
・パートナー企業からの顧客紹介等のスキームをスタート(パートナー契約締結、未締結に関わらず)

では、パートナービジネスをグロースさせたいけど、そのために何したら良いの?まずは、パートナープログラムを整備するべき?などと聞かれますが、私としては下記と考えます。

深耕期における重要な項目としては、下記3点です。
a. パートナーセールススキルを持った人材がいる
b. パートナービジネスを可視化できるような仕組みがある
→もしくは正しいKPIが設定と確認できる仕組みがある
c. パートナー営業の仕組み化(パートナーセールスイネーブルメント)ができている
→商談ステップ定義、ステップのゴール設定、必要な資料の整理


パートナービジネスグロースのために必要な工程




a. パートナーセールススキルを持つ人材がいる

パートナーセールススキルの一覧としては、一般的には下記項目が必要です。一般的な基礎営業力に加えて、パートナー企業に対しての理解が必要と捉えてください。
※営業職としてのカテゴリだと、エンタープライズ営業と持つべきスキルセットが似ていると考えています。

パートナーセールススキル


直販のみをやってきた営業の方が陥りやすい課題としては「相手が自社サービスを担ぎたい!と思えるにはどうしたら良いか?」を提示できないということ。

何が不足しているか?
パートナー企業のことを理解していないんです。
・なぜ自社とパートナーを組むべきなのか?
・なぜ目の前のパートナー企業の営業マンの方が自社サービスをお客様に紹介すべきなのか?
を自分の言葉で言えないこと。

これがパートナービジネスで成果をだしている営業とそれ以外の違いです。

パートナーセールススキル 1. 営業設計力
1-2. パートナー企業の把握力



パートナープロファイリング

前項で直販とパートナー営業の違いを「パートナー企業のことを理解していない」「自分の言葉でパートナーベネフィットを説明できていない」とお伝えしましたが、そうするためには何が必要か。
それはパートナープロファイリングです。

パートナー企業のことを理解するために?の指標としてはパートナープロファイリングが必要
となります。

パートナープロファイリングとは
「パートナー企業の顧客基盤・地域特性・人数など、パートナー企業の基本情報について分析・調査を行うこと」
簡単にいうと、パートナー企業のことを理解していますか?ということ
おまけに商談をしている目の前の方のことを理解していますか?ということ。

・パートナー企業はどういった事業をしているか
・何人の営業マンが所属しているか、どこの営業組織が花形部署なのか?
・今期力を入れている製品やサービスは何か?
・組織における今期の目標は何で、進捗はどうか?
・組織における現状の課題は何か?
・目の前で商談している方のミッションはなにか?
・自身の今期の目標は何か?
・自身の目標に対する現状の進捗度はどうか?

ざっと書きましたが、こんなこと聞かれた時にすんなり答えられますか?
パートナー企業のことを理解しないうえでは、上部だけでのパートナーベネフィットしか提示できないですよね。

基本情報はパートナー企業のホームページや時事ニュース、採用ページなどに書いてあります。
それを事前に調査したうえで、パートナー企業の方に複数人に質問し、情報収集していく。

ただ、パートナー企業の方に質問ができない。
尋問になってしまう。という方は多い。
それは自分よがりで質問展開しているから
です。

目の前の相手を理解しよう!その相手とその先のお客様へより良いものを届けたい!この地域を変えたい!と考え、Win-Win-Winの関係性をつくるためにどうしたら良いのか?を考えましょう


そして、パートナープロファイリングの結果としては下記の情報が得られます。
特にこの中で必要となるのは、2. 組織深耕率のうちの①パートナー企業の企業、組織理解です。

パートナープロファイリング結果 要素


また上記情報をもとにパートナー企業をマッピングしてみてください。

パートナープロファイリングをもとにしたパートナー企業深耕評価


基本的にはパートナー企業への深耕スタート時は「深耕評価D」からスタートしますが、プロセスとしてはD→B→Aに遷移するのがベスト
です。

なぜD→C→Aではダメか?
営業員開拓率(営業員との名刺交換数、接触数)が増えても、上部だけでの関係性や企業、組織、相手への理解しかなかったら、適切なパートナーベネフィットは提示できないですよね。

なので、多くの部署に自社サービス勉強会たくさんやったのに、顧客紹介が生まれない!パートナー企業の営業マンの方から問い合わせなどがこない!

こういった状態は、「ただパートナー企業に所属している人にあっているだけ」です。
そりゃ成果も出ない

おまけに営業活動において作成することもあるでしょう「アカウントプラン」作成しても、なんだか具体性がない。一般的なことしか書けない。そして、商談でも勉強会でも何でも手応えがない。

結果、「パートナービジネス難しい、成果がでない」となるんです。


D→B→Aと遷移した場合、何が違うか。
・狙いを定めて部署、人を特定しつつパートナー企業の深耕ができるので、成果を創出できるスピードが早まります
・成果を創出できるとパートナー企業内に「あの会社は良い。あのサービスは売れる」と良い評判がたつ
・結果「パートナービジネス」の目的を果たすことができる

良いサイクルを回すことができますよね。


では、D→B→Aに遷移させるにはどのような活動が必要かというと下記です。

▼D→Bへの遷移

<組織理解>
・パートナープロファイリングをもとにパートナーベネフィットを設定(仮説設定)
・パートナー企業の方との商談や勉強会の際に、パートナーベネフィットを提示し、パートナー企業の方に確認しながらパートナーベネフィットの精度を高めていく
・パートナー企業との商談は複数人同士の対組織での商談実施と個別商談(1on1)での商談を実施し、パートナー企業の組織理解、商談している相手のミッション理解などを通してパートナー企業およびそこに所属している方への解像度を上げていく

<成果創出>
・上記をもとにアプローチすべき組織、人を特定し、アプローチを実施
・アプローチ実施したのち、実際の成果(顧客紹介等)を創出するための活動に遷移
・実際の成果を創出するための活動としては、パートナー企業顧客への自社サービスの導入およびその成果をつくりだすことが一番の活動
・上記をパートナー企業へ事例として展開できるレベルまで昇華させることが必要

<成功事例展開>
・よってパートナー企業の現場(営業パーソン)と成功案件創出しつつ、パートナー企業の窓口担当へ事例展開の打診をしていく
・そうすることで、事例創出後一気にパートナー企業へ事例を広めることができる
・パートナー企業との本格提携後、半年間ほどで事例展開まで持っていくのがベスト

▼B→Aへの遷移

・成功事例をもとに一気にパートナー企業の組織内へ展開する
・その際に基本のパートナーベネフィットはおさえつつ、パートナー企業の組織毎、人ごとにカスタマイズする
・組織内展開にあたっては、パートナー企業の窓口部署と連携、協力し進める
→報告、相談等はパートナー企業の窓口担当者へ欠かさず実施をする


参考)パートナープロファイリングについては下記記事内で説明をしていますので、良かったら読んでください!


やっとここまできたときに、安定的に顧客紹介をしてくれるパートナー企業が現れたり、その先の関係性となるOEMなどの戦略敵パートナー関係を築くことができたりというパートナー企業があらわれてきます。
そうすることで、自社のパートナービジネスの基盤は安定化していくことでしょう。



b. パートナービジネスを可視化できるような仕組みがある
→もしくは正しいKPIが設定と確認できる仕組みがある

パートナービジネスのKPI設定についてです。
実は多くの方がパートナービジネスの経験があまりないが故、直販のKPIを設定してしまっているケースが多いです。

例えば、KPIの設定項目として一番多いのがパートナー企業との商談数です。

しかし、パートナービジネスの目的とは何でしょうか?
パートナー企業様の顧客リソースをお借りし、自社のターゲット顧客に効率的にアプローチできること。

ですよね。

しかし、パートナー企業との商談数や勉強数のみ設定するとどうでしょうか?
何度も商談を重ねても顧客紹介は進まないというケースが増えます。

一番狙いたいのはパートナー企業からの顧客紹介数および商談数であったり、その成約率ですよね。
パートナー開拓期から上記KPIを設定するのは厳しいのではないか?という意見もありますが、基本的には下記が良いと考えます。(非常にシンプルなパターン)

  • パートナービジネス開拓期

    • パートナー候補企業先との商談数、提携数

  • パートナービジネス深耕期

    • パートナー企業からの顧客紹介数、商談数

    • 上記における成約率

参考)パートナービジネスにおけるフェーズ毎のKPI


加えて、上記KPIを正しく計測する仕組みがあるという点が重要ですが、これは弊社が提供しているPRMでも良いですし、スプレッドシートなどを用いて計測するのも良いと思います。
とにかく日々計測し、活動を見直ししていくことが大切であるため、社内で仕組みを構築するもしくは社外システムを利用することをお勧めします。


c. パートナー営業の仕組み化(パートナーセールスイネーブルメント)ができている
→商談ステップ定義、ステップのゴール設定、必要な資料の整理

パートナー営業の仕組み化(パートナーセールスイネーブルメント)ですが、
パートナービジネス開拓→深耕時(立ち上げ時)は活動しながら整理していく形でOKです。
というのも、こちらができていないからパートナービジネスを進められない!というものではなく、基本的なパートナープログラム案などがあれば良いと思っています。
あとは、パートナー企業を開拓、深耕しながら作り続ける。
まさに私もパートナーセールス第一線で働いていたときは粗々でパートナープログラムをつくり、パートナー企業候補と相談しながらプログラム完成させ、それ以外に必要となる資料を随時揃えていきました。
最初からある、作れるというのはベストですが、やりながら進む。まずは最小限で行動してみるというのも早く成果を出すコツなのではないでしょうか。
※イネーブルメントは商談ステップの定義や資料整備のみではないと考えていますが、今回区分けする意味で上記のみの範囲としています。

加えて、下記の項目を深耕時に必要と捉えるケースが多いとは思いますが、安定的に顧客紹介をしてくださるパートナー企業が増えてからでも問題ありません。
下記のうちで「パートナー問い合わせ先の設定」があれば、便利かとは思いますが必須ではありません。

・パートナープログラム設定(複雑なもの)
・パートナー問い合わせ先の設定
・パートナーポータルの構築
・パートナーランクやアワードの設定



5. さいごに

パートナービジネスで絶対いえるのは「傲りは衰退」です。
パートナー企業からの信頼を失墜したらすぐに関係性は途絶えます。
そして、パートナービジネスは崩壊します。
意外とあっけないものです。
そして、火をつけるのにも時間がかかる。

しかし、一ついえるのは自社以外の外部(パートナー企業)に同志ができることがパートナーセールスの醍醐味だなと感じます。
パートナー企業の先のお客様に良いものを届け、その地域を変えるんだ!と思い、一緒に喜びを分かち合えること。
難しいからこそ面白い!と思える人は非常に向いています。

パートナービジネスは変数も多く、言語化されていない領域がまだまだあります。
でも私は様々な営業職種をやってきたからこそ思うのが、こんなに面白い仕事はないということ。
もっともっと自信もパートナービジネスを極め、世の中にノウハウが溢れ、それをもとにパートナービジネスを成功することができた!
パートナーセールスになりたい!という方が増えるよう、今後も地道に活動をしていきたいと思います!


長文になりましたが、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


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