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業界別エリマ裏話を大公開!~スーパーのマーケティング施策を知りたい編~

皆さん、こんにちは!
技研商事インターナショナル カスタマーサクセスチームです。

普段何気なく利用しているお店がどのような戦略で出店したり、販促活動をしているかご存知でしょうか。
今回はスーパー業界でのエリアマーケティング、略して「エリマ」の裏話を商圏分析GIS(地図情報システム)を開発する我々の目線で語っちゃいます!


■スーパーのエリアマーケティングってなにをするの?

エリアマーケティングといってもその手法は多岐に渡ります。
大きく分類すると以下の3つが挙げられます。

・出店戦略:どんな場所に出店することで売上が見込めるかを分析します
・販促施策:顧客数を増加させるためにより効果的な販促施策を実施します
・店舗別の営業戦略:周辺の居住特性などから店舗ごとの施策を立案します

これらを実施するためには非常に重要な要素として、「ターゲット設定」をおこなう必要があります。

一般的にスーパーは店舗周辺に居住するファミリー層をターゲットとされるように思われがちですが、地域のターゲットに合わせた店作りは不可欠になっています。
その際に、経験と勘を頼りにターゲット設定している店舗もありますが、エリアデータをもとにターゲット設定を行うことが一般的です。

例えば、隣り合う既存店舗の世帯人員別の傾向をみてみると、店舗Aは単身世帯が多く、店舗Bは3人以上世帯(家族世帯)が多くなっています。
このようにして、店舗ごとの特性を把握することで、エリアマーケティングの際に活用することが可能となります。

店舗ごとの世帯人員の違い

お店を出す場所ってどうやって決めているの?

スーパーが出店する際、どのようにして出店場所を選定しているかご存知でしょうか。

主な出店分析の手法は①出店余地の探索 ②ハフモデル ③重回帰分析 です。

まずは、どのエリアに出店すべきか・出店する余地があるかを調査します。
出店余地と言ってもターゲット層の多いエリアだけを探すのではなく、自社・競合店舗と商圏のかぶりのないエリアを検索することで、より精度の高い出店余地を検索することができます。スーパーの場合は単にターゲット層が多いエリアに出店できるかというと、そうではなく、生鮮食品を取り扱うため、物流の兼ね合いも含めて出店候補地を選定していく必要もあります。

次に出店余地エリアや出店候補エリアに対して、どれだけの売上が見込めるかを調査します。売上予測の手法としては2種類あり、「ハフモデル」または「重回帰分析」を用いることが一般的です。

ハフモデルは、各店舗の魅力となる値と各店舗から各エリアまでの距離から、各店舗の勢力範囲や店舗に吸引できる値を計算し売上予測を実施できます。
店舗の魅力となる値の具体例としては、売場面積や駐車場台数などが挙げられます。

ハフモデルのロジック

一方、重回帰分析は既存店舗の売上傾向から予測式を構築し、その式から出店候補地の売上予測をおこなう手法です。

重回帰分析式イメージ

どちらも売上予測の手法ですが、各企業の保持するデータや考え方により、どちらかを選んで運用したり、両方の手法を採用して運用されている場合もあります。

店舗に来店してもらうにはどんな施策をしてるの?

習慣的に利用してもらう必要があるスーパーにおいて、顧客数を増加させるためにより効果的な販促施策は必要不可欠です。

スーパーの販促手法については、折込チラシをイメージされる方が多いかと思います。たしかに折込チラシは主要な施策のひとつですが、新聞購読率の低下にともない、他の施策を併用することも多くなっています。
特に、高齢化が進んでいる影響やライフスタイルの多様化から、ネットスーパーに対する需要も向上しており、LINEなどのSNS広告やネット上でチラシを配信するスーパーも増えてきています。
SNS広告を用いることで、特売情報の周知だけでなく特典を付与することでさらなる来店客の増加に繋がっているようです。

また、ポイントカードなどの顧客データとエリアの居住傾向から、顧客属性の深掘りが可能です。

顧客データと居住傾向を示すエリアデータの可視化イメージ

これらの分析を実施することで、狙った地域へのアプローチが可能になり、効率的な販促施策が可能となります。

顧客層にぴったりの品揃え、施策を打つには?

スーパーの周辺には必ずしも同じような嗜好性の人が居住しているとはかぎりません。

店舗周辺にどんな属性の人が居住しているか、会社などの事業所などが多いのかなど、店舗周辺の状況に応じて顧客のニーズに応える必要があります。
スーパーは様々な商品を扱っていますが、店舗周辺の傾向によって売り場の割合を工夫することによりニーズに対応しています。

例えば、下記のようなイメージです。

しかしながら、多店舗展開しているスーパーの場合、店舗数に応じた店舗数通りの施策を実施することが難しいため、周辺の傾向が似ている店舗ごとにグルーピングし、グループごとに施策を実施することが一般的です。
グルーピングの方法としては、クラスター分析※という手法を用いることでエリアデータや店舗の属性項目を使ってグルーピングすることも可能です。

※クラスター分析とは
大量のデータがあるとき、異なる性質のものが混ざりあっている集団(対象)の中から互いに似たものを集めて集落(クラスター)を作り、それぞれの距離を計算することで対象を分類する手法です。商圏分析では、店舗の属性や商圏特性に応じた品揃えを行うために店舗を分類し、商品構成の欠落(売れるはずなのに品揃えしていない)を防止したりしています。

既存店舗を様々なデータを用いて分類することができるため、クラスターに応じた品揃えが可能となり、より顧客の獲得や売上向上が見込めます。

■まとめ

ここまで出店戦略、販促施策、店舗別の営業戦略の3つについてご紹介しましたが、スーパー業界の特徴をまとめると下記のとおりとなります。

■最後に

今回はスーパー業界のエリマについてご紹介しました。スーパー特有の分析手法を知っていただけたのではないでしょうか。コンビニやドラッグストアなど、生鮮食品を扱う小売店の多様化が進む中、スーパー業界が今後どのような施策を実施していくかは気になるところです。

今回のコラムにてご紹介した分析はすべてMarketAnalyzer®5で分析が可能です。