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オンラインsideM学会コメントへのレスポンス


オンラインsideM学会お疲れ様でした!

私は登壇側で、好き勝手サイバネについて話をするという形での参加になりましたが、視聴してくださった沢山の方々(MAX200人越え!)も、他の登壇者のみなさまも、そして何より主催のあくにんさん、兎爺さん、本当にお疲れ様でした。
とっても楽しいイベントに参加させていただけて、とっても幸せでした。

発表のアーカイブはこちらからご覧いただけます。どの発表も爆裂面白いのでぜひ見てみてください。 → 4:48:28頃


さて、私の発表中にも沢山のコメントをお寄せいただき、ありがとうございました。楽しんでいただけて、本望です。

今回、発表を作る中で、制限時間に納めるため、だいぶ話を削ぎ落としてしまったので、わかりにくかったところもあったかと思います。
いくつかユーチューブやツイッターハッシュタグのコメントにお返事させていただく形で補足させたいただきます。

(もっと体系立てた補足はまた日を改めて……)


本記事は、みなさまの考察を否定するものではありません。みなさまの考察の参考になれば幸いです。


>普通のアンドロイドはバックアップ取ってなさそうなのが意外だった

ご指摘の通り、私もこれが気になりました。
ロイの行動から、身体の唯一性があることを想定すると、そもそも、バックアップがとれない(とりにくい)身体なんだろうな、と推察できます。

バックアップがとれない身体とは即ち、物理的に経験を蓄積する=成長する身体です。(具体的には神経のような器官の発達を指します。)

物理的に成長する身体を持つ自我ある存在にとって、自身のアイデンティティとは、身体に蓄積された経験を含めます。

ヒトの身体には、「使いこなす」という概念があります。幼児から大きくなるにつれて、だんだんと身体の使い方がうまくなっていくに連れて、発音が正しくなり、力加減ができるようになり、細かい作業ができるようになります。また、ピアノを引く、絵を描くなどの行為も、「使いこなす」事例に該当します。これらは、経験が物理的に蓄積された結果、神経が発達していくため、うまくなるのです。
これができる、あれができる、という「使いこなす」感覚は、自分自身のアイデンティティの欠くべからざる重要な要素です。

そう考えると、本気でバックアップをとろうとした場合、バックアップをとった時点の身体を、発達した神経まで含めて完全なコピーを作らなければなりません。
そうでなければ、復元されたものは身体と心の不一致に苦しむことになり、自我が変質していく結果になるでしょう。
(身体と心の不一致については、具体的には、VR等で擬似身体を得たときの不自由感や違和感が近いです。また、身体の一部を失った方の幻肢痛という現象も、これに近いものだと推察されます。)

そういった諸々の問題をアンドドロイドが抱えていた場合、サイバネ世界でアンドロイドのバックアップがないのは、コスト的な問題に集約するのでは、という気がします。

即ち、バックアップをとるのがかなり面倒が伴うこと、そして、そんな手間をかけるくらいなら使い捨てにした方がトータルで見て安い、ということに起因するのではないかなあ、と考えております。


>例えバックアップしても、クローンイーサンみたいに、オリジナルの本心は理解できないのかもしれない

面白いご指摘です。

イーサンクローンの場合は、あくまで人間のクローンなので、記憶の継承はできないのではないかと考えています。
(していても、映画を見ているみたいに、他人事になると思われます。なぜなら、イーサンクローンの身体は、その体験をしたことがないからです。)

しかし、アンドロイドの場合は、先ほども述べた通り、バックアップをとろうと思えば、過去のバックアップをとった時点での自分と同一の存在を残すことができるかもしれません。(手間はかかると思いますが。)

ただし、そのアンドロイドは目覚めた時点で、オリジナルとは異なる体験が始まります。
具体的には、まず、オリジナルが破壊されたことを知るでしょう。
バックアップをとってから破壊されるまで、オリジナルが何を経験し、何を思っていたのか、それは失われてしまったら帰ってきません。

その意味で、オリジナルの本心は理解できないかもしれません。


>サイバネ世界のロボットの3原則はどうなってるの?

「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」ってやつですね。

端的に言うと、自我が生まれた存在に3原則を仕込むのは不可能ではないのかな〜〜と、首を捻っております。

というのも、最後の自己防衛の本能については、身体の唯一性が獲得された時点で、自身を失わないようにしようとする動機を作るのは難しくはないのですが、残る2つが問題です。

人間への安全性、命令への服従を厳守させようとした場合、
①規則で縛ること
②物理的な安全装置として、緊急停止装置を組み込むこと
が考えられます。

ロイの反逆が止まらなかったことから、どう見ても②がハード面にも、ソフト面にもないのは明らかです。
そして、①を己の意思で破ったからこそ、反逆は起きました。

この辺り、原因は不明ですが、イーサンが誰よりも、それこそケヴィンよりも先にアンドロイドをヒトと同一視していたからこそ起きたちぐはぐさの匂いがして大変興奮します。(イーサンは兵器=道具扱いされるアンドロイドが「かわいそう」だと最初から認識していることが設定資料からわかっています。)

では今後はどうしていくのかなのですが、②緊急停止装置を改めて搭載するのは、心あるものの自由を脅かす行為ですし、本人に承諾を得ない機能の停止は、所有権の侵害に当たるのではないかと思われます。

つまり①規則によって守るしかないのですが、アンドロイドが社会的に対等な存在になったことを考えれば、そもそも服従という条件の達成自体が困難です。

残る安全性については、規則=法律によって地道に守っていくしかないのではないでしょうか。
ヒトと同じように。

>まるでではない

「まるで流星のPARADE」に対してのコメント。

ほんとだ。


>ボイジャーの話

宇宙開発の話の延長に置こうとして、泣く泣くカットしたネタです。

そもそも、ボイジャー計画とは、1977年にNASAが打ち上げた探査衛星ボイジャー1号・2号による太陽系外惑星探査&太陽系外探査計画(現在も継続中)のことです。
この計画に使われたボイジャー2号には、探査計画以外に、もう一つミッションが課せられています。

それが、異星人とコミュニケーションをとることです。

具体的には、ヒトや地球を紹介する音楽や画像が焼き付けられたゴールデンレコードが搭載されており、それを載せたまま、太陽系の外まで旅を続けます。
そして、いつか異星人に拾われたときにレコードを読み取ってもらって、地球のことを、そしてヒトのことを知ってもらおうという計画ですね。

キースの夢を見ていて、ふと思いつきました。
ヒトを知り、ヒトと対等になり、ヒトを語ることができるようになったアンドロイドたちなら、より具体的なヒトの写し身として、ゴールデンレコードの代わりとなるのではないかと。

ヒトが夢見ても到達ができない宇宙領域に、アンドロイドなら行ける可能性があることについては、発表でお話した通りです。

時間はかかるかもしれませんが、いつかはアンドロイドがその強靭な身体で宇宙を旅し、ヒトが見たかった宇宙の果てをその目で見るのかもしれません。
そしてヒト近しい存在として、宇宙人に出会ったとき、ヒトというものを伝える語り部としての役割を果たすのかもしれません。

それが例えばキースなら、ソルという、ヒトの友人がいたことを語るのかも。

そんなロマンを感じてしまいますね、というお話でした。


コメントへの簡単なレスポンスは以上になります。

他にもケインの改造考察や、アンドロイドの社会的普及の過程の考察、アンドロイドの社会性の考察など、今回発表に入れたかったのに泣く泣く切った箇所や、説明を省いたところが沢山あります。

そのあたりは、日をみて、またポツポツnoteで書き溜めて行けたら幸いです。


お読みいただき、ありがとうございました。

サイバネはいいぞ。

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