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【アーセナル】PremierLeague/第27節/vsFulham(A)【ごとこの備忘録】

試合前展望

 怪我人の影響、弱点になりつつあるセットプレーの問題などが重なり、ヨーロッパリーグではスポルティング相手に少々苦戦したアーセナル。

 そんな問題と戦いながらも間髪空けずにプレミアリーグフラム戦。現在7位につけている好調フラムはウィリアン、レノ、ローン中のセドリック等アーセナルにとっても馴染みのある選手が数人在籍している。彼らに胸を借りるつもりでアウェイの地で快勝を収めて欲しいところ。

試合結果

FUL 0-3 ARS
ARS:ガブリエル 21'(Aトロサール) マルティネッリ 26'(Aトロサール) ウーデゴール 45+2'(Aトロサール)
PL公式,Arsenal公式,個人的MOTM:トロサール
https://www.premierleague.com/match/75174

スターティングメンバー

左フラム、右アーセナル

試合展開

 試合前の段階ではマルティネッリやスミスロウのCF起用も厭わない状況という厳しい台所事情だったが、蓋を開けてみればトロサール、同様に出場が危ぶまれていたウーデゴールが共にスタメン起用、そして病欠明けのティアニーと長期離脱を経て復帰したジェズスが満を持してベンチ入りを果たすこととなった。加えてスミスロウ、ネルソンらも控えから出番を伺う形に。近年のアーセナルでは例を見ないほどスカッド層が厚くなった事を実感するオーダーとなった。

 対するフラムは攻撃における連携の要ウィリアン、パリーニャが欠場。保持時における引き出しの少なさという面では彼らの不在を色濃く感じる試合となった。

 試合はアーセナルがボールを持ち続ける展開からスタート。フラムはバックラインからの配給を制限するようにアンドレアス・ペレイラがミトロヴィッチと並んでプレスをかけることもあり、4-5-1と4-4-2を使い分け前傾のブロックを形成した。これに対しアーセナル側は真っ正面から受けて立つ格好。しぶとく繋ぎ低い位置からの打開を目指した。

 また守備面でも負けじと前プレスを敢行、高い位置で奪う回数も多く互いに守備強度の高い入りに。質の高いゲーゲンプレスはアウェイサポの熱い応援も追い風となり何度も成功していた。

 そんな攻守一体の組織的な動きが出来ていたアーセナルとは対照的に、フラムは中央封鎖型の守備路線にリソースを割きすぎた事とウィリアンの欠場が合わさったのか、ポジトラ時思うように攻撃へ転換できずロストが多発。よって試合はアウェイアーセナル側の優勢、クレイヴンコテージを飲み込むほどのパフォーマンスを発揮していた。

 その流れの中から16分、ジャカのスルーパスに抜け出したマルティネッリが中央へ切り込みニアへ放ったシュートをレノが一度は弾くものの相手選手にディフレクトして先制。ただこれはVARの介入によりマルティネッリのオフサイド判定。流れの中で奪えた得点なだけに悔しい取り消しとなった。

 だが今季のアーセナルは意気消沈する暇もなく畳みかける。それからたった5分後に今度こそ先制点を挙げることに。

21' トロサールの左CKにガブリエルが頭で合わせファーへ、アーセナル先制

 最近の試合で不用意なGKへのホールディングでゴールを取り消されたホワイトがファールを取られない程度の妨害を成功させたことも功を奏し、20/21シーズンから数えて2桁得点に到達した得点力抜群のCBガブリエルが先制パンチを成功させた。

 得点直後もいつも以上にゴールに直結するプレーでマルティネッリがゴールを脅かし、セットプレーから2人躱しジャカ砲ならぬサリバ砲を放ったりと間髪入れずフラム陣内に攻め込み続けるアーセナル。そして先制から5分後、続く得点でチームに更なる勢いをもたらす。

26' 自陣でプレスにハマったかに見えた状況からサリバが大きく左へ展開、受けたジャカからトロサールへと渡ってロブ性のクロスを放ち、マルティネッリが冷静に頭で合わせアーセナル2点目

 まさに完全にアーセナルペース。加えて、攻撃面の迫力に目が行きがちだが今季の好調を支える即時奪回もかなりの高頻度で発生、波状攻撃への大きな足掛かりとなっていた。

 その後もピッチ全体を使った見事なショートパスの前進からジャカ、トロサールら多くの選手に決定機が訪れる。ひたすらに繋ぐアーセナルらしさを土台に据えながらも速攻を織り交ぜつつ多彩な攻め手を披露。そして前半のうちに3点目を決めることに成功する。

47' フラムのスローインをトーマスがインターセプトしたところから左サイドへ、インナーラップから受けたトロサールの浮き球クロスをウーデゴールが収め、タイミングをずらした技巧的なシュートからゴール、アーセナル3点目

 こうして今季ベストゲームクラスの前半を演出したアーセナル。なんだか久々に安心して見ていられる内容で、今季は本当に強くなったなと改めて感じる前半となった。

 そしてハーフタイムを挟み後半。やられっぱなしだったフラム側はここまでサリバに完封されていたミトロヴィッチに少しずつボールが入るようにはなった。またアーセナル側が強度を落とした影響か、セットプレーを獲得しクロスバー直撃ヘッド弾を放つなど、前半よりは見せ場を作った。

 ただそれでもアーセナル優勢の大局は変わらず。マルティネッリが右へ流れオーバーロードから連携を披露するなど、好調が守備予測の立てづらい自由な攻撃を呼ぶ好循環が生まれていた。

 加えて70分頃にネルソンとティアニーを投入、続けてマルティネッリとトロサールを下げヴィエイラと待望のジェズスが復帰を果たす。フロント3総とっかえでELスポルティング戦セカンドレグを見据えた交代措置を取ったアルテタは、80分冨安に最後の交代カードを余すことなくしっかり使用し疲労軽減の交代策をとった。

 そんな交代組も今節の圧勝劇をしっかりと引き継ぎ演出を続けて見せた。ネルソン、ティアニーら来季の去就が気になる面々は己が強みを発揮し、特にジェズスは流石の一言。ヌルドリと味方を生かすポストの動きは全く衰えておらず、決定機を一度逃してしまったものの圧倒的なパフォーマンスを披露。シーズン終盤に向けて欠けていた重要なピースが戻ってきたことを強く感じる復帰戦となった。

 こうして最後の最後まで隙を見せなかったアーセナルが意図的に強度を落としながらもクリーンシートで逃げ切りに成功。安定感抜群の試合運びできっちりと試合をクローズした。

ピックアップ選手

レアンドロ・トロサール

 まぁ一切の異論がない各所からの堂々たるMOTM獲得だろう。まだ記憶に新しいブライトン時代のアンフィールドでのハットトリック達成を彷彿とさせる、PLにおけるアウェイゲームの前半だけでA3という史上初の大記録を打ち立てた。それ以外でも小さな体躯を補って余りある足元のキープ力でCFとしてゲームメイクを担い、またプレスバックからショートカウンター発動の旗手ともなっていた。

トーマス・パーティ

 ELで休息の機会を与えられ体力満タンのトーマスは誰にも止められなかった。最高に近いコンディションの元、攻守両面で完璧に近いパフォーマンスでフル出場を果たしチーム全体を支えた。

マーティン・ウーデゴール

 体調不良で欠場が危惧された我らがキャプテンもトーマス同様に圧巻のプレーを見せた。よりゴールに直結するエリアで存在感を放ち、サカ、マルティネッリに続きリーグ2桁得点を達成。また、大量リードしている場面でも懸命に守備に奔走しタクティカルファールをも厭わない献身性を見せた。

全体雑感・次戦に向けて

 トロサールの大記録やリーグ最多となる複数名の2桁得点者という結果に加え、アルテタ就任後100勝目やPL史上初アウェイロンドンダービー5戦連続CS勝利という記録をマークするなど、完勝にふさわしいいくつもの功績を残す節目となった今節。選手サポーター共に大満足の試合となっただろう。

 またその試合運びも、前半に大量得点を奪ったあと後半はインテンシティを落とし試合をコントロール、疲労蓄積組のケアと復帰組の慣らし運転を兼ねるなど完璧に近い内容であった。

 さて良い雰囲気の中次節は中5日でのELノックアウトステージvsスポルティング第2節。交代で入り良いパフォーマンスを見せた控え組や出番のなかったジョルジーニョらが満を持しての出場が予想される。シーズンも終盤に差し掛かった今文字通り総力戦の様相を呈してきており、選手全員が能力を発揮し結果を残す必要がある。

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