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宝蔵門

雨が落として行く音を聞きながら

急に強くなった風雨を宝蔵門で雨宿りする

焼失を繰り返したこの門は

昭和三十九年に再建された

空襲があった昭和二十年まで

入母屋造、本瓦葺の楼門で

威容を誇っていたそう

仁王様の阿吽形に睨まれながら

雨が静まるのを待つ

中央の巨大な提灯の

小舟町の文字はその文字の通り

日本橋小舟町の人たちにより寄進された物

雨に濡れない様に門をぐるっと周る

宝蔵門裏の大わらじは

仁王像吽形制作の村岡久作氏の出身地

山形県村山市の奉賛会による奉納された

触れると魔が去って行くらしい

段々と静まってきた雨風に歩き出そうとする

昔も今も変わらず門を突き抜ける風は

この地を訪れる人々に吹いている


-完-

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