密告(密会)(内科医律 vol15)
桜の開花も聞こえてきそうな春分を間近に控えた3月中旬、律はいつものように午後の外来を終えて医局に戻っていた。しばらくやり残した雑務などを片付けてから帰宅しようと考えていたのだが、18時近くなったその時電話が鳴る
「はい、神宮寺です」
「あ、事務の者ですけどメルカディオファーマの真中さんという女性の方が先生に御面会出来ないかとのことなのですが」
メルカディオファーマの真中とは冬の社内講演会の後に律の話に興味を持ち、帰りのタクシーの中でも話し足りずにもう一件付き合って飲んだM