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グダ読書録1『超ミニマル主義』

ジャンルを問わず、読んでおもしろかった本を紹介する読書日記です。
というか、自分に対するメモみたいなつもりもあります。
ここがよかった、というところを書き残しておきたいので。
よかったらおつき合いください。

四角大輔『超ミニマル主義』を読んでみました

この本を読んだのは、「ミニマリズム」に興味があったからです。
著者の四角さんについてはあまり存じ上げませんが、もとレコード会社のプロデューサーで、ケミストリー、絢香、superfly などをスターダムにみちびいた人だそうです。いまは長年の夢をかなえて、ニュージーランドで自給自足にちかい生活をおくりながら、フリーのライターとして活躍しているのだとか。

本書の帯によれば、本書は「余計なコト・モノを手放して、身の回りをミニマル化し、楽でシンプルな働き方を手にするための教科書」です。
わたしは今年、まさにそういうことに挑戦したいと思っていたので、本書を手にしたわけです。
いくつも有益なアドバイスを得られたので、さっそく実行してみたいと思っています。

ここでは本書のなかで、とりわけわたしの心にのこったことを1点だけ、あげてみましょう。

たった1人に届けるピンポイント理論

四角さんはプロデューサーとして多くのアーティストと接するうちに、大ヒットした曲に共通する特徴をみつけたそうです。
それは、「大ヒット曲はたった1人に聞いてもらいたいために作られる」ということ。
その1人というのは、アーティストにとって大事な友人とか、恋人とか、家族であったりする。
でも、とくに圧倒的なパワーを生み出す曲は、「自分自身に向けて書いた」ものだったのだそうです。
四角さんは曲のパワーを引き出すために、編曲をするときにはなるべく余計なものを加えず、シンプルな編成にするそうです。
この原則が「ピンポイント理論」です。

藤井風さんにひきつけてみる

わたし自身もシンプルな曲のほうが好きなものですから、たいへん共感しました。
関連して思いついたのは、昨年の12月28日に見たテレビ番組「NHK MUSIC SPECIAL」。シンガーソングライターの藤井風さんを特集したものです。
番組によれば、藤井さんのファーストアルバムに入っている楽曲「死ぬのがいいわ」が、去年世界中でヒットしたそうです。youtube 上において、世界でもっとも聞かれた日本人の楽曲になった。

聞きたい方はこちらからどうぞ。

この曲は、ちょっと聞くかぎりでは思いつめた印象のラブソングです。
三度の飯よりあんたがいいと言いつのり、あんたといっしょにいられないなら「死ぬのがいいわ」と繰り返しうったえます。
間もなく80歳になるわたしの母などは、「死ぬ死ぬって気味が悪いわねえ」などと文句をいっておりました(笑)。わたしは好きな曲なんですが、聴き手にダークな曲という印象を与えるのは確か。

ところが番組で明かされたところによると、この曲はラブソングではなかったのです。
藤井さんは音楽活動のために20歳で東京に出てきましたが、出会ったひとたちに圧倒されて、自信をなくしてしまった。そうして自分を見失ってしまいそうなとき、自分のなかにいる「より高い自分(higher self)」を見失わないためにこの曲を作った、というのです。なるほど、そう言われてみれば、いろいろと腑におちるところがあります。

つまりこの曲は、自分のなかにある尊い自分に対して、決してあなたと離れたりしない、一生あなたのそばにいる、自分を見失ったりしない、と誓う歌だったのです。

シングルにもならなかったこの曲が、むしろ海外で評判をよび、日本に逆輸入されるかたちで2022年の紅白歌合戦で歌われたというのはなかなか面白いことですが、藤井さんについてはこれぐらいにしておきましょう。

とりあえずここで言いたかったのは、四角さんのいう「ピンポイント理論」が、確かに当てはまっているということです。

最後に

四角さんによれば、この原則は音楽だけでなく、あらゆるプロジェクトに通用するとのこと。
それでは、ということで、わたしも試してみました。
じつは、この文章自体、「ピンポイント理論」で書かれたものです。
感想をたくさん書き込みすぎず、自分にとって大切なことだけ、丁寧に伝えるように心がけてみました。
いかがだったでしょうか?
少しでも参考になったのなら、さいわいです。
それでは。






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