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読書感想文(伊沢拓司『クイズ思考の解体』:第二章 早押しの分類(P.309~P.126))其ノ③

前回のノートはこちらから↓

以下、読むのと同時進行で殴り書きしたメモを元に作成。(2021/11/2)

  ◇  😆  ◇

・戻ろう。

・クイズのお約束ごとの2つめが出てきた。
・「答えが一意に定まる」ね。その存在意義も丁寧に解説している。知識豊富な人を損させないというやつね。にゃる。

・確定ポイントの話だ。
・確定”ポイント”ではなく、確定”要素"として節まで広げることで諸問題を回避したか、なるほど。適用するメタ制約だけじゃなく、単語レベルのマルコフ連鎖メタ制約によって確定ポイントの場所は微ブレするからね。これは、議論をわかりやすくするために、うまくやったな。うん。

・クイズ問題文を制約の束とみるクイズ問題観は、説明が難しそうだもんね。なにそれ?制約って?となると、難しいなぁ、、。

・ああ、、このマーキングの仕方は、次元の整理に失敗しているな、、。
・前置きという構文構造次元の要素を「背景色」という要素に対応させた一方で、それとフォース制約がない(被りうる)「確定要素」という限定力に関する次元を、同じく「背景色」という要素に対応させてしまっている。前置き(前フリ)のもう一方は、後置き(後フリ)である。古川本の「前フリ」と「後限定」の壁を越えたと思ったが、越えた一歩先で届かんかったか。むぅ。

・あと色で分けたけど、色々と宜しくない。
・ひとつは、色と概念とが説明なしに対応していないからだ。”確定要素”が橙である必要性、”前置き”を黄色とする必要性、”確定後補足”を空色とする必要性が直感的にわかりづらい。せっかくカラーページで刷ったのにもったいない。
・先日の配信によると、古文の参考書の色分けを参考にしたということだが、一見して、こういうことか!と、凡例をみなくてもわかるようになっていないデザインは、すべからく激萎え残念丸である。残念。

・色の選びかたも、寒色←→暖色、淡色←→濃色といったように、限定力や重要度の高低と対応するような色づかいをしてほしかった。
・あと、単純に濃色の赤背景に黒文字は見づらい。配色は若干ユニバーサルデザインを意識したものに寄せられているのを感じるが、全体的にデザインセンス(読者へのやさしさ)が不足している、編集側で何とかならんかったのか?残念。

・苦言を呈してしまったので、埋め合わせとして、代替案も残しておこう。元のアイディアを生かしたうえで、次のように伝わりやすくできよう。

・原案の主な問題点として、「①色と意味との対応がひとめみてイメージしづらい」、「②背景の明度が近く文字が見づらい」、「③網掛けになっている箇所が形式と実質のどちらに対応してるかわかりづらい」といった点が挙げられるので、これを解消していこう。

・ポイントは、説明に「段階を踏む」ことと、「場所や色形に意味を対応させる」こと。あと、「凡例を示すときにちゃんと解説する」こと。わかりやすく落とし込み、わからないまま持ち越させない。「手に持つオモチャはひとつまで」の原則だ。
・ということで、こんな感じにしたら、どうだろう?

◯みんなで いっしょに 早押しクイズ♪

・よいこのみんな~!こ~んに~ちわ~!クイズ大好きクイズおにいさんだよ♪みんな、げんきにクイズしてるかな?

・きょうは、とってもつよいクイズプレイヤーたちが、どうやって早く押しているのかを、特別におしえちゃうよ~♪

・じゃあ、さっそく早押しクイズを出題するよ!みんな、早押しボタンはもったかな~?

(ピコーン、ピコーン。鳴り響く、ボタンチェックの音。)

・おっけー!準備は万端だね!
・クイズの問題をよんでいるときは、しずかにしてね。おにいさんとの約束だよ♪

・問題を差し上げます、クイズのおねえさんです。
・今日もパリを目指して頑張ってください。

・おねえさん♪今日も問い読みよろしくね!
・それじゃあ、参るよ~!問題を~、どうぞ!

Q.動物園にいるこどもたちの人気者で、まどみちお作・團伊玖磨作曲の童謡『ぞうさん』にも歌われている、長鼻類に属する鼻の長い動物は何でしょう?

  𓃰  𓃰  𓃰  𓃰  𓃰

・はい!みんな、わかったかな~?

・そうだね!正解は・・・、ぞうさん!ぱお~ん!
・問題文の中でこたえを言っちゃってるから、かんたんだったかな~?

・みんなは、どんなふうに考えて、こたえをだしたかな?
・きょうは、クイズプレイヤーのおにいさん、おねえさん達が、どんなふうに考えているか、いっしょに勉強していこうね!

・じゃあ、さっきみんなにあそんでもらった、ぞうさんのクイズ問題でせつめいするよ!

(ピカーン!ゴロゴロゴロと、雷のような音が不穏に鳴り響き、スタジオ内の照明が、急に暗くなり始める)

・うわあ~~!!

・お、おにいさん、どうしたの~?

・おねえさ~ん、助けて~😵
・むずかしいクイズ問題がやってきたよ~!

・まってて!いま助けてあげるね!
・えっと、なになに~?

・「背たかのっぽで、目がみっつ。足がいっぽん、これな~んだ?」だって~。
・なんだろう~?みんな、なにかわかる~?おねえさんに教えてくれるかな?

  🔵  🟡  🔴

・え?なになに?
(耳をそばだてる仕草をし、途端に笑顔になる。)
・そっか~!!こたえは、「しんごうき」だね!みんな、すご~い!

・きいろは注意、気を付けて~😣。あかはストップ、止まれ~😫!あおは安心大丈夫☺️!
・きいろと、あかと、あおいろ。みんな交通ルールは守ろうね!

・じつはね、クイズプレイヤーのおにいさんやおねえさんは、クイズ問題をきいているときに、「信号機をみるように」クイズをみているんだよ!
・わかりやすいように、さっきのぞうさんのクイズ問題を、ぬりわけてみたよ!はい!みんな注目!

・うへぇ。どっ、と、疲れた。。もどそう。このままだと、「しんごうきのうた」とか歌い始めかねない。

・まず、この章の主題は、早押しクイズの思考の解体である。なので、最初に地の文として説明されるのは、「クイズプレイヤー的には、どこで押しても大丈夫か?」という基準についてだろう。
・こたえの候補がまだ複数あれば注意して押し控えねばならないし、こたえが一意に絞れるポイントが来れば他者に押し負けないようボタンを点ける必要がある。押して大丈夫かどうかの基準は、クイズ問題の内容だけを考慮するに限れば、このように、問題文の「限定力」によって決まる。
・「限定力」とは、あるクイズ問題のヒントがどれだけ答えを絞り込めているかを表す指標であり、ヒントとなっている命題に対応する概念の数量の逆数で簡易的に表現することができる。例えば、「鼻の長い動物」というヒントに対応する概念は、ゾウのほかにアリクイやバク、テングザル、ボルゾイ(犬の品種)、ゾウムシ、エレファントノーズフィッシュなど、10個程度は挙げることができるので、このときの限定力は、対応する概念の逆数なので、0.1(10分の1)となる。
・一方、「長鼻類に属する鼻の長い動物」というヒントでは、「長鼻類」を形成する種は「ゾウ」しかないため、限定力は1(1分の1)となる。
・一般に、限定力が1となる場合を「限定が効いている」とか「完全限定(well-pinned)」、限定力が1未満の場合を「限定が甘い」とか「不完全限定(ill-pinned)」、限定力がNULL(0分の1)となる場合を「嘘問(Fake)」とか「空(くう)限定(φ-pinned)」などと、Quizologyでは呼び分けられている。
・そこで、限定力に対応して、クイズの問題文を節毎に、信号機にたとえて背景を塗り分けてみた。それぞれ、次のように色と意味とが対応している。

🟡黄色→「答えが定まってないので注意!」
🔴赤色→「ここで押して問題文を止めろ!」
🔵青色→「ここならどこで押しても安心!」

・色の使い方は、元の伊沢本の使い方を元に、信号機のアナロジーを持ち出すことで、伝えやすくした。また、従来のビタビタとした色で視認性が悪くなっていた部分を、淡めの色で網掛け背景とすることで、改善をはかってみた。

・これにより、従来の問題点だった、「①色と意味との対応がひとめみてイメージしずらい」、「②背景の明度が近く文字が見づらい」という点が解消される。
・黄色だからまだ押したら確定しないんだな。赤だから押さないと負けるな。青だからあんしんして押せるな。と、色と指針とが直結したデザインとなっている。

  ◇  🐘  ◇

・そして、残る問題点。「③網掛けになっている箇所が形式と実質のどちらに対応してるかわかりづらい」。これを、解決してしまおう。
・形式と実質という用語をつかって、事実制約充足要件のみを考慮した際の限定力と、その他のメタ制約を考慮した際の限定力とを分離して示したのは市販本としては史上初であり、画期的な試みである。
・それだけに、網掛けでいっしょにせずに、分離してしまえばもっと伝わりやすくなったのになぁ、と非常に惜しい。「クイズプレイヤー的には、こんな思考で進むよ~」、「形式的に神の視点でみたら、こんな感じで確定してるよ~」と、それぞれのコード進行を並列進行させれば、これは解決する。
・具体には、次の「2wayマーカー方式」という表記手法を使うと、いろいろとうれしいだろう。

・問題文に網掛けがかかっている部分が、今回のメインである”クイズプレイヤーの思考のコード進行”である。それに対し、上部を平行して流れるのが、本書でいうところの形式にあたる”事実ベースのコード進行”である。
・普通に問題文を読む感覚で、文字のところに目線を置いて読み進め、背景が赤くなったら、上の方に目を移して形式的に確定しているかどうかを確かめるという使い方ができる。
・上記の例題でいうならば、たとえば、冒頭の「動物園にいるこどもたちの人気者で、」という部分では、パンダ、ウサギ、コアラ、ゾウ、キリンなどなど、こたえになるのが幾つもあるなと考えて、押さずに続きを構える箇所なので、背景色が黄色になっている。
・そして、次の行の「まどみちお作詞・團伊玖磨作曲の童謡」という部分では、有名な楽曲で動物園の人気者に関するのは『ぞうさん』しかないので、メインストリームであるクイズプレイヤーの思考は赤背景になっている。例えば「まどみちお作詞・團伊玖磨/」あたりでボタンを押してスラッシュをつけるとよいだろう。
・一方で、スラッシュをつけた上部に目を移してみると、事実ベースのコード進行では、背景色が黄色となっており、こたえが確定していないことがわかる。主観的には、「え?『ぞうさん』しか、無くない?」と思うだろうが、「まどみちお作詞・團伊玖磨作曲」の楽曲は、他にも『やぎさんゆうびん』もあり「ヤギ」も答えになりうるのだ。動物園の人気者かという点も、金沢動物園のシロイワヤギなんかは、こちらのランキングページに載るほどに人気があるので、嘘ではない。そのため、実質確定だけど他の可能性もあるのだなと、上下の背景色を見比べることで知ることができる。どこで確定ポイントが来るかという議論をする際には、共通理解を深めるためのツールとして役立つことだろう。

・以上、苦言の代替案を示してみた。元々のQuizologyには、もっと汎用的で拡張性が高いやつがあるんだけど、今回の伊沢本に近づければ、こんな具合だろうか。他にも、構文マーカーは背景ベタ塗りじゃなく、下線部波線のほうがよいとかあるけど、また後で出てきたときに触れよう。
・以下に、元の表現方法との違いがわかるように、図を作ってみた。クイズ問題は、伊沢本のp.200の例題Q・コを引用させて頂いた。

・ふむ、どうだろう?これで、だいぶ視認性が上がったのではなかろうか。以降、問題例を出すときは、この表現方法を使うこととする。


  ◇  🦒  ◇

・読んでいて、意図がわかりかけてきた。
・これ、「確定要素」を中心に論を組み立てているからこうなっているのか。

・先ず、文中のどこかに答えが一意に定まる「確定要素」があって、その前に節があれば、それは情報量が乗りきらない「前置き」になって、その後に節があれば、そこでは情報量は増えないので「確定後補足」になるよってやってるんだな、これ。にゃる。

・そのうえで、キリンの例題をみてみるか。ちょっと検証するか。

・このクイズ問題の要素を、答えであるキリンについて並び立てると次のようになる。

①【身体的特徴】ワンダーネット@後頭部
②【特徴】頭部への血流を制御byワンダーネット
③【身体的特徴】首が長い
④【何か?】動物園の人気者

もっと細かくしたり、分け方は色々あるが、丁度よいサイズに区分けてみた。①~④のヒント(clue)を命題として捉えると、各clueの限定力の内訳は、次のようになる。

clue① : { キリン、オカピ、シバテリウム、パレオトラグス }

clue② : { キリン }

clue③ : { キリン、フラミンゴ、ダチョウ、ツル、プレシオサウルス、ナッシー(アローラの姿)、ろくろくび }

clue④ : { パンダ、ウサギ、コアラ、ゴリラ、キリン、ゾウ、コツメカワウソ、カピバラ }

・因みにワンダーネットは、カモなどの鳥にもある、足の付け根部分にある毛細血管もワンダーネットというらしい。

・ってことで合ってるな、うん。
・一問目の方は「器官で/頭」だし(その前だと、オカピやシバテリウムが答えになりうる)。二問目の方は、「後頭部/にある」でスラッシュが入る(その前だと、フラミンゴ、ダチョウも答えになりうる)。なので、確定要素である。たしかに。
・しかし、だとすると、一問目の3行目以降は「確定後補足」で青くなるだろうし、二問目の3行目以降も同様に「確定後補足」とならないだろうか?同じ節だからいいのかな?
・ここらへんは、「クイズの問題文を構成する最小単位は何か?」という議論をちゃんと経てないので、こんな感じになるのではないかと思う。

・ガスパチョの問題だ。
・これあれね、clue1とclue2のそれぞれ単体では限定しきれないけど、両者の積集合だと限定しきれるパターンね。ベン図にするとこんな感じね。

・ここも、スラッシュを入れる場所としては、「~いる、栄養/価」ですね。節がまるごと確定要素になるから、後半前側が全部赤なのね、ふむ。
・徳川慶喜ねぃ。確定後補足か。
・「難易度」という概念の分析が済んでいないから、こんな感じなのだろう。とりあえずこれで、確ポの前に来るのと、後に来るのとが揃ったわけだ。

  ◇  ◇  ◇

・んで、構文マーカーか。ディスコースマーカーね、目印。『Brainiac』を読むとき、むちゃくちゃお世話になるやつだわさ。
・にゃる。やっぱこれ、「早く押す」思考技術のための分類だね、うん。本書のスタンスが見えてきた。
・お!やっと最後。形式と実質の解説がきた。えっとアミカケが実質ね。接触可能性の話だな。事実ネットワークに照らすと確定してるけど、難易度が高すぎてヒントになりきらないというやつね。
・このギミックは何に使うんだろうか?嘘フリクイズあたりの分析に応用できたりするよね、ここは。

・これあれね、、
・一番はじめに、ごじゃじゃ~って説明しきってしまうよりも、だんだんと拡張して、StepUpしていくような本の書き方の方が、読者としてはわかりやすいのかなと思った。
・後々でてくる25個の構文を見てみないと何ともいえんけど、今時点の感触はそんな感じだねぃ。
・色々とかいたけど、なんか、「伝わりやすさ」とか「デザイン」の話が多いな。いや、大事だと思うのよ。中身はモチロン、中身以前のものって。

・さて、25の構文。みていくか。

続く
(読書感想文(伊沢拓司『クイズ思考の解体』:第二章 早押しの分類(P.309~P.126))其ノ④)


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