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連載『オスカルな女たち』

《 すったもんだで 》・・・3

 臨月を迎え、いつ生まれてきてもおかしくない状態であることと、このところ世間を騒がせている自分の主演映画のことが気がかりで早く病院を出たい焦りが弥生子(やえこ)の気を荒立てていた。

「悪かったと思ってる。でも」
 患者に関してとやかく言うことはできない。それは弥生子も承知している。ただタイミングが悪かったとしか言いようがなかった。
「もういいわ。とにかく、細心の注意を払って貰わないと」
「わかってる。こっちだってそれは承知の上だ。充分気をつけるよ」
 真実(まこと)としてもここまで来てすべてを台無しにしたくはない。ましてや今は、弥生子ばかりでなく織瀬(おりせ)の今後の人生にも関わることなのだ。必要以上に神経質になっていい。そして、
「操(みさお)先生もね」
「それはもう、口を酸っぱく…」
 一番危ないのはそこだと言わんばかりに否定した。
「とりあえず、あたしもなるべく会わないように気をつけるわ」
 それが織瀬の精一杯だった。
「そうだな。そこも気を遣った方がいいかもな」
 あまり興奮させないよう「今日はこれで」と、織瀬はバッグを手に取った。
「もう、出産まで、来なくていいわ」
 そっぽを向いたまま弥生子が答える。
 そんな弥生子に、微笑みを返し、
「それじゃぁまた…」
 ふたりは静かに病室を後にした。

*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)

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