花茶

連載『オスカルな女たち』

《 ブレインストーム 》・・・21

「悪かったわね、織瀬(おりせ)。でも、本当にありがとう。助かったわ。私ひとりではあぁはお兄様も感情をあらわにしたかどうか…本音が見えないものほど怖い物はないわ」
「わかるけど」
「…実はいつかの女子会の時に、明日香さんが夜の不満を漏らしていてね。今回の家出はきっかけに過ぎなかったのだろうと思ってたから…」
 言いながら数か月前の居心地の悪い『女子会』の様子を思い返す玲(あきら)。
「まぁ、なんとなく…そんな気はしたけど」
「でしょ? 織瀬なら理解してくれると思っていたわ」
 さすが私…と自画自賛の玲。
「それにしたってよ、初対面のお兄様の前であんな話、つい興奮して…絶対嫌われたよね、あたし。もう会うこともないだろうけど」
 というよりむしろ、もう2度と顔を合わせたくない…と思う織瀬。
「そんなことないわ、織瀬に感謝するはずよ。お兄様も引っ込みがつかなかったんでしょうよ、すぐに戻ると高を括っていたのでしょうから。あのふたりも、これで少しは砕けた関係が築けると思うわ」
「いまさら? だって、夫婦じゃない」
 少し大げさに感じる織瀬だが、
「そう思う? いつまで経っても『聖さま~』の明日香さんよ? 夫婦だからこそ言えないことがある…そうじゃなくて?」
 含んだ言い回しをする玲は、その一言で織瀬に白羽の矢を立てた理由のすべてを語ったも同じだった。





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