正しい情報の罠
はじめに
我々は多くの情報に晒されて生きています。
もちろんこの動画でお届けしているのもその一つ。
そしてみなさんは常に情報に基づいて物事を判断し、またそれを人に伝えています。
トレーナーの方であれば運動指導の一つ一つも全て情報から成り立っています。
それではみなさん、日々受け取っている情報、そして発信している情報は本当に真実と言えるでしょうか?
そもそも情報を受け取った時、その情報は真実だと言えるでしょうか?
今回は「世間に溢れる情報の真偽」について書きます。
最近の主な情報源は?
今回はその情報源がなんらかのメディアからのものと想定してお話しします。
メディアと言っても現在は多岐にわたっています。
・テレビ
・新聞、雑誌、書籍
・ネットニュース
・ウェブサイト
・SNS
これらが情報発信する目的はなんでしょうか?
情報を発信する目的とは?
情報を受け取る側に「真実を伝えること」でしょうか?
それとも別の意図があるのでしょうか?
当然、純粋に真実を伝えるためにあるのではなく、なんらかの意図があると考えた方が自然ではないでしょうか?
その意図とは
・特定の集団、法人、個人の利益につなげる
・そのための思想、方法、常識、視点などの情報を流布・普及・浸透させる
次に私の職業にも関連するテーマを例に挙げて説明します。
例1「コンドロイチン グルコサミン」
この成分が入っているサプリメントが膝の関節の軟骨に作用し、痛みを軽減すると信じている方は多いのではないでしょうか?
確かにテレビの通販番組やサプリメントの販売会社が発信するネットの情報だけを見ていると効果があるように感じてしまいます。
サプリメントの場合は薬事法の規定があるため、広告としては直接的な表現は禁じられています。
しかし販売会社が自社のウェブサイトなどに広告とは別に「コラムページ」をもち、「ある実験による」という表現で少数の被験者しかいない自社の商品に有利な実験結果を引用したり、利用者アンケートの結果「90%以上の人がリピーターに」などと謳うことは禁じられていません。
そしてテレビで流れるインフォマーシャル。
簡単に言うとテレビショッピング。
ここでは視聴者であり、そのサプリメントの購買層であるシニア世代と同年代の人が登場し、膝が痛かったのに「コンドロイチン グルコサミン」のサプリメントを飲んで改善した実話を話し、視聴者に「貴方もそんな悩みをお持ちでは?」と呼びかけ、「そんな貴方に最適なコンドロイチン グルコサミン!」と宣伝する。
この「私はこんな悩みが→貴方にも同じ悩み?→みんなの悩みをこれで解決」という順番で訴求効果を狙う手法を「パブリックナラティブ」という常套手段なのです。
この際も最初の体験談には必ず「※個人の体験です」という字幕が入り、また効果に関しても完全に言い切ってはいません。
しかし「膝の痛みに悩んでいる人」は「痛みを解消したい」と強く願っているため、ここまで巧妙に情報を伝えられると「コンドロイチン グルコサミン」=「膝の痛みに効く」と脳内で変換され購入してしまいます。
例2 「SNSのエクササイズ動画」
こんな動画に溢れていますよね。
ここでは「たった1分で腹筋の10倍痩せる」とうたっています。
みなさんならもうこの表現自体が日本語としても意味をなさないのはお分かりでしょう。
しかし一般の人はこの意味のない表現を深くは考えずにそのイメージだけで「きっとすごく効果がある」と思い込んでしまう。
そこにはきっと「つらい腹筋運動をやったがお腹の脂肪が落ちて細くなる効果はなかった」という経験があり、その人たちにはこの文章が
「たった1分だけしかやらないのに、あの辛かった腹筋運動よりも10倍も早く、10倍楽に、10倍の脂肪が減り痩せられる」と変換されてしまうわけです。
常識的に考えてあり得ないことなのですが、こんな非常識な表現がまかり通ってしまうのが今のメディアであり、SNSなのです。
これらの情報の目的は?
ではそれが「製薬会社」であっても「インフルエンサー」であっても、純粋に自分が発信する情報の効果性や消費者・視聴者の利益を信じ情報を発信しているのでしょうか?
そんなわけはありません。
この例を見ていただければわかるように
「製薬会社はサプリメントが売れること」
「インフルエンサーは再生数が稼げること」
が優先順位の1位であって、ある意味そのためには消費者・視聴者を騙すような手法をあえて用いていると言えます。
その手法とは何か?
それについて次回詳しく書きたいと思います。
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