「自治体向け手数料は無料」という常識が崩れる

こんにちは!

このnoteでは、現役銀行員や銀行出身者の方向けに役立つ情報をお伝えしています。

今日は、以下の記事を取り上げたいと思います。

無料での請負が前提となってきた銀行の自治体向け取引が変わる。全国銀行協会は18日、2024年10月から自治体からの送金に手数料を新たに適用すると表明。自治体に代わって税金を集める収納代行業務では、QRコードの活用により納税者の来店を減らす仕組みの検討が進む。コストを度外視してきた業務の見直しは銀行の役割の変化も映す(前掲記事より引用・全文はリンク先)。

先日の40年以上にわたり同一水準を維持していた手数料(銀行間手数料)の引き下げとあわせて、全銀協は自治体向け取引において、手数料を導入することを決めました。また、収納代行業務においても、QRコードの活用による効率化の検討も進めています。

これに先立つ昨年の12月に、三菱UFJ銀行は18都府県の194自治体について、今年末を持って税公金の収納業務を終了することを発表しています。
従来同行は、税公金にかかる収納代行業務を1件あたり無料もしくは数円で自治体から請け負ってきましたが、自治体によって異なる様式の納付書を整理し、送付する業務が煩雑であり、採算性が悪いことから自治体と値上げ交渉をしてきました。しかしながら、交渉した約200の自治体のほとんどが同行との取引の打ち切りを決めています。

全銀協の調査によると、全国の金融機関が負担している収納関連費用は622億円に上るとのこと。

かつては、銀行が自治体と取引をすることで、その地域における存在感を確保できたのと同時に、多額の預金を得ることで預金金利収益をあげることができていました。

しかし、昨今の低金利環境下、円預金をいくら集めても儲からず、煩雑な事務作業に伴う事務コストのみが積み上がる状況を、今の銀行はそのまま良しする理由も体力もないということです。

今後は収納代行の担い手は銀行だけでなく、Paypayなどの決済事業者にも裾野が広がることも十分考えられ、銀行業務のアンバンドリング化がますます進みそう、ということを感じたニュースでした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?