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ねぶた祭で思い出すこと

ねぶた祭のニュースを観ると思い出すことがある。亡くなった祖父は欲しいものや行きたい場所を何度聞いても「おじいちゃんはいいよ」と言うような人で、気もアクも強すぎる祖母の陰に隠れているような印象の人だった。言いつけられた家事を真面目にこなし、祖父の生活に彼自身がやりたいとかほしいという要素なんて1ミリもないのでは、と思うほどだった。新聞やニュースや大相撲は好きで観ていたかな、くらい。

そんか祖父が一度だけ、行きたいと言ったことがあった。亡くなる2年前くらい、ねぶた祭のニュースを観ながら「いいなぁ」と言った。「おじいちゃん、こういうの観に行きたいの?」と聞いたら「行きたいよ」と答えた。

その頃はかなりトイレが近くなってしまい、屋外のああいう場所に長時間外出するのが、そもそも長距離移動ができるだろうかという感じで、なんとかできないかと思ったけど難しかった。

もっと早く言ってくれたら、おじいちゃんに行きたい場所や観たいものがあるのなら、他の何をおいても私が叶えたのに。

たぶん祖父には、自分の希望を誰かに伝えて、叶えてもらうという発想がなかったのかもしれない。

私のことが大好きで、亡くなる前に妹に「(私の名)が一番かわいい?」と聞かれてうなずいたおじいちゃん。社会人になってからも頻繁に祖父母宅に会いに行っていたし、たぶんわりと孫としてはいろいろしてたほうだと思う。滅多に私を褒めない母も、祖父が亡くなった時に「あんたが誰よりも面倒見たのはほんとう」と言った。

でも、ねぶた祭、連れて行ってあげたかったなぁ。
ちょうどその時期は他の予定が入りがちですぐには行けないけれど、いつかこの目で観ようと思ってる。

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