自分を恥じることという枷

いつも何かになりたがってる気がする

こうなりたい、こうだったらいいのに
そっから生まれるのは、持っている人への羨望、憧憬
それに醜い嫉妬心
それを抱く度に、私は私を諌めるのだ

私は自分が持っているものを大切にするのが下手くそだ
持ってるもの全て他者との比較の天秤にかけては
高く上がって飛んでいく自分の持ち物を眺めてる
上がって、上がって、落ちて、叩きつけられて
ぐしゃぐしゃに潰れたそれを見下ろして
私はそれを頑丈な靴の底で踏み躙る
そうやって泣いている
馬鹿げた癖だ

欲しがりな心はいつも周囲を見渡してる
あれは私の持っていないもの
あれも私が持っていないもの
いや、持てないものだ
触れもしないまま私は判断を下す
手を伸ばさなければどれくらい距離があるのかもわからないのに
私は届かなかった時の絶望や失望を恐れている
それは何の根拠もない自分への期待があるせいだ
「届くはず」と思いたいのだ
「届かなかった」時、「届くはず」と思った自分を恥じるのが
何より怖い

いつも先の先の先まで思い描いてしまう
こうありたい、のために走ったとして
すぐに息が上がってしまったら?
息を整えてまた走り出しても
靴紐が切れてしまったら?
靴を脱いで走り出しても
足を怪我してしまったら?
全ての言い訳を抱えて、私はゴールを諦めるのか?
ゴールさえできればいいなんて、嘘ばっかり
本当は先頭を走りたかったくせに
それが無理でも、前の方にいたかったくせに
何の努力もせず、そこにいられたらいいのにって
愚かな思いを抱えていたくせに
周回遅れでもゴールした人を
限界まで走って、最後は足が動かなくなってゴールできなかった人を
走らない私はその全てを羨んでただ立ち止まる

肥大化した自尊心の頂上で
望遠鏡を覗く私がいる
私はその背中を思い切り蹴り飛ばして
地の底に落ちてやろう
ボロボロで立ち上がれなくて
カッコ悪く這いずる私に
自分を恥じるなって言ってやろう
進めば勝ちだ
持ち物を愛せたら価値だ
こっからそう生きてみようと、言ってみる

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