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何度もビキニアーマーの利点を誰かに問いかけてみたくて:パンツ編

僕はこの防具の話をするのが大好きでね…まぁ、所謂性癖話で恐縮だけど…

ビキニアーマーとは、おっぱいと大事な所を僅かに保護するだけの、文字通り水着のような鎧のことさ。
素材は薄いし大事な所以外は素肌を露出しているから、普通なら攻撃を防ぎようがないんだ。
元々、鎧とか軍服とかは身体を守るものだろう?
ビキニアーマーはそれを拒み、露出して戦う力を持っている。どうだい?面白いと思わないかい?

フフフ…ビキニアーマー…!ビキニアーマー…!!皆ビキニアーマー着続けろ!

激しく、もっと激しく!

ブラとパンツを装甲化して、血と汗を飛び散らせて、肉と肉をぶつけあって戦い続けろ!

いずれはギルド中の冒険者たちにも装備させてやる!清楚ヅラした騎士たちもだ!

ギルドの次はこの街すべてを巻き込んでやる。

ただすれ違っただけの見ず知らずの奴ら同士をいきなりビキニアーマーにさせてやる。

たとえそれが戦士であろうと、魔法使いであろうと、僧侶だろうと、踊り子だろうと、侍だろうと、忍者だろうと、村娘だろうと!ビキニアーマー…ビキニアーマー…ビキニアーマー…!どいつもこいつもビキニアーマー姿にさせてやる!

服や鎧が脱げ落ちて、丸裸になっても戦い続けさせてやる!傷と返り血と汗にまみれた体を晒しながら、下が脱げたらボロ切れを纏わせ、胸が露出したら、鎧の破片を宛がわせる…!そして延々着続けさせてやる…ビキニアーマーを…!

ンッフフフフフ…!ビキニアーマーだ…!ビキニアーマー!!ビキニアーマー!!ビキニアーマー!!ビキニアーマー!!ビキニアーマー!!ビキニアーマー!!ビキニアーマー…ビキニアーマー…ビキニアーマー…ビキニアーマービキニアーマービキニアーマービキニアーマービキニアーマービキニアーマービキニアーマービキニアーマービキニアーマービキニアーマー……

僕は…正常だよ…?




◆前書き  -スーパー系ビキニアーマーとリアル系ビキニアーマー-

呼んだかねッ!マァ~イリトルスウィ~トア~マ~!!!

さて、前回に引き続いてビキニアーマー考察を進めていくとしよう。

Q:貴様はそうして性癖を撒き散らすことしか出来ない男だ!所詮、フェチズムでしか書いていない!前編で何回「ビキニアーマー」という単語を使ったと思っているんだ!?

A:聞きたいかね?本文中では、106回だ。


ちなみに茶番パートは別に声優ネタで揃えたという訳ではない。そもそも月島パイセンの声は田中大輔さんダルルォ!?

本稿は二部構成の後編となるので、前編を読んでいない方は是非こちらをどうぞ。

ビキニアーマーの基本的な利点、疑問点への考えられる回答についての前回考察を元に、今回はより具体的に「ビキニアーマーとはどういう防具なのか?それが存在するファンタジーの世界ではどういうコンセプトで装備として運用されるのか?」を考えていこう。

大前提として、ビキニアーマーと通常の鎧を性能的に比較した場合、どうしても後者に及ばない、致命的なハンデを背負う部分が存在する。

そう、防御力である。いまさら言うまでもないとか言うな。

これまたわざわざ言うまでもないことではあるが、あの見た目で甲冑として十全に機能するだけの防御力を実現することは、現実の物理法則においては間違いなく不可能である。

何故かって?

やっぱりわざわざ言うまでもないことではあるが、そもそもビキニというデザインそのものが防御力において致命的な不利を抱えている、というあまりにも単純であるが故に覆すことの出来ない問題が存在するからだ。どんな攻撃でも破壊不可能で、衝撃も完全に吸収する夢の超素材でビキニアーマーを作ったところで実質的な防御力としてはほぼゼロに近いだろう。丸出しのところに食らったら何の意味もないからである。そしてたとえ心臓などの急所でなくても、素肌に斬撃や刺突、矢傷を負えばよほどの掠り傷でない限り、戦闘能力は大きく削がれるし、出血が続けば間違いなく命取りになるであろう。剥き出しのお腹なんかとっても危険なゾーンである。

故に、もしもビキニアーマーに通常の鎧と同等以上の防御力を持たせたかったら、魔法や神の加護など現実世界には存在しない何らかのバリア的存在を前提とする以外にない。この点(魔法や加護)は他のビキニアーマー考察でも頻繁に触れられるものではあるが、本稿ではここがビキニアーマーという存在を考察する上で最も根本にある分岐点であるものとして、以降考察を展開する。

そこで、ビキニアーマーと同じくファンタジーの存在であり人々のロマンを惹きつけてやまない上、考察そのものが一種の知的遊戯としてジャンルを形成している人型ロボット兵器に倣い、魔法や加護といったファンタジー的なバリア要素の存在を前提とし、それらによって防御面の不利を克服しているものとする路線を「スーパー系ビキニアーマー」、逆にそれらの要素をないものとし、防御力で不利を抱えることを前提とした上でその存在意義を考察する路線を「リアル系ビキニアーマー」と規定し、具体的な考察に移りたい。



◆A.  スーパー系ビキニアーマー  -バ~リアバリアバ~リア防壁!バ~リアバリア高防御!-


まずは、魔法や神秘的な効果の存在を前提に考察するスーパー系ビキニアーマーからである。先述の通り、本路線では何らかの超自然的概念(魔法、加護)による防御効果(以下「バリア」とする)により、ビキニアーマーは一般的な鎧と同等あるいはそれ以上の防御力を持つものと定義する。超自然的概念故にバリアの具体的原理は問題としない。この場合、ビキニアーマーの防具としての問題点は完全に解決されることとなる。理屈抜きの魔法や神サマの力によって守られているのだから、そりゃ何だってアリになる。
仮に現代の兵器でこのスーパー系ビキニアーマーを何かに例えるとしたら、既存の兵器体系を覆すような未来技術を前提とした新兵器、それこそ人型機動兵器やパワードスーツのようなものになるだろう。

◆スーパー系ビキニアーマーの利点1.  防御力を取れば遅くなる…そんなふうに考えていた時期が俺にもありました

なんと言ってもこれである。前編で定義したビキニアーマーの利点をそのままに、十分な防御力を持たせることが可能なのである。
人類が武器を手に取って戦い始めた遥か昔の戦から、ハイテク兵器が乱舞する現代戦に至るまで、時代を経るごとの技術革新はあれど基本的には防御力は重量、機動力とのトレードオフである。古代の歩兵から現代の装甲戦闘車両に至るまで、この制約から完全に逃れることはできない。「軽装」「重装」とはすなわち文字通りの意味であり、我々人類は「軽いけど脆い」「丈夫だけど重い」といったようなジレンマに絶えず苦しみながら戦ってきたし、今も戦っているし、これからも戦い続けていくのである。

スーパー系ビキニアーマーは魔法という力によって、この現代兵器ですら超えることが出来ていない壁を乗り越えられる可能性があるのだ。戦いの道に生きる者にとっては喉から手が出るほど欲しい代物だろう。

◆スーパー系ビキニアーマーの利点2.  炎、冷気、雷撃、何で苦しめてやろうか

加えて、バリアによる防御を行う利点として同じ魔法による攻撃に対しても効果が期待できる可能性が挙げられる。項目名にも出した一般エネミーもよく言うスカイリムの魔法3属性にしても、一般的な鎧では到底防げそうにないものばかりである。同作を始めとして、大抵のファンタジー系RPGでは物理攻撃に対する防御力と魔法に対する防御力は分けられていることもこれを意識したものであろう。というか本来の意味で「物理的でない」攻撃ってなんかあんの?という疑問は胸の内にしまっておくことにする。
これらの攻撃手段を防御するためには、スーパー系ビキニアーマーのような同じく魔法を前提とした装備が必要になるであろう。

以上がスーパー系ビキニアーマーに顕著な利点である。これでビキニアーマーの道を阻むものはもう何もない…

と思っていたのか?

残念ながら、スーパー系ビキニアーマーにも超えるべき壁はいくつか存在する。臆せずその壁を乗り越えていくこととしよう。

◆反論1.  そこにワンダーはあるのかい?

バリアの力を以ってすれば、ビキニアーマーであっても実用レベルの防御力を得ることが可能なのはわかった。

では、そのバリアを付与する対象は何故ビキニアーマーでなければならないのだろうか?

ビキニアーマーに十分な防御力を持たせられるバリアがあるのなら、そのバリアを普通の鎧にエンチャントすればより高度な防御力が期待できるはずだ。それに何より、魔法バリアの存在が認知されている場合はそれに対抗する手段(魔封じ、防壁貫通武器etc)が存在する可能性も十分にある。こうしたメタ手段に対し、バリア付きビキニアーマーでは無力だ。身軽さと防御力の両立?だったら普通の服にバリア掛けろよ。というか鎧が重いってんならそこも質量軽減とか筋力強化の魔法でカバーしてしまえば同様の設計が達成できるはずだ。

所謂ロボット物で言うところの「人型兵器作れる技術があるならその技術で戦車とか戦闘機作れよ問題」と同様の壁が、ビキニアーマーにも立ち塞がるのである。まずはここを越えねばならない。

ビキニアーマーがなぜ「ビキニアーマー」でなければならないのか、という本質問題については前編で既に解説したため、以下にこのバリアを前提とした可能性を列挙する。

 ◆再反論1-1.  露出しなければバリアが使えないから

前編で述べた内容と重複するが、「極めて希少な素材にしかバリア効果を付与することが出来ず、それ以外のものを同時に身に着けると効果が阻害されるため希少素材のみでビキニアーマーとする必要がある」、「可能な限り肌を露出し、大気中のマナを取り込まなければならない」など、肌を露出することがバリア効果と不可分になっているとする解釈である。脱げば脱ぐほど強くなる。脱がなければ強くなれない。同じく前編で述べた通りよく使われるアプローチであり、一番手っ取り早い。

 ◆再反論1-2.  もとより理外の存在だから

作中最終装備となるような伝説級の存在である場合、理屈付けなどこの程度で十分であろう。神またはそれに類する超自然的存在に起源をもつ装備であり、元々そういうものであるが故に人間の常識など当て嵌まらない、という解釈である。

もとより理屈抜きで最強の存在であるため、いくら防御力がなさそうな見た目をしていようが何の問題もなく、むしろ戦いの場に似つかわしくない肌を露わにしたヒロインが傷一つ負うことなく圧倒的な強さを発揮することでそれが理外の超常的なものであることをより印象付けることができる。

理屈抜きの存在であるが故、理由など必要ないのだが、強いて肌を露出している必要を挙げるならば神々の露出に対する認識が人間のそれとは大きく隔たっている(神は完全なる肉体の持ち主であり、人のように衣服を纏って隠す必要などは感じないのだ)、あるいはビキニアーマーに加護を与える神々がスケベ野郎だから、等が考えられる。実際、多神教の神々は往々にしてなかなか立派な(もちろん皮肉)性格をお持ちの方々ばっかりなので割とこの線は行けるだろう。何?神様がそんなことする筈がないって?ちょっと君のスカイリムのMODロードオーダーを見せてもらおうか。そこに装備MODはどんなのが入ってるんだい?

また、この路線をとる場合、ビキニアーマーが有効な装備であるならば何故男はそれを着てはいけないのか、という少し前に漫画がバズった問題もクリアできる。もっとも、ビキニアーマー自体がコナン・ザ・グレートに代表されるようなヒロイック・ファンタジー、ソード&サンダル系作品における半裸マッチョ主人公の女性版としての性格を持つが故、男性の露出系装備については本稿では特に否定するつもりはないのだが、気になる方は気になることだろう。

 ◆再反論1-3.  何らかのアピール目的だから

バリア付き装備がビキニアーマーである場合、その形態ゆえに当然のことながら一目見てそれはバリアに防具としての機能を依存していることが瞭然である。この点を活かしたのが以下に述べる説である。

即ち、ビキニアーマーであること自体が「バリアの力があればこんな裸同然の格好でも防具としてちゃんと機能するんだぜ!」というアピールとして機能するのである。従って、バリアの効果を前面に押し出した一種のコンセプトモデルとしてビキニアーマーを位置付けることが出来るだろう。

さらに、バリアの効果が着用者の魔力に依存するものとする場合、この効果は一層顕著なものとなる。ビキニアーマーを着て戦うことで防御という生命線を完全に委ねることができ、小手先の対抗手段では封じられない程に自分の魔力に絶対の自信を持っていることを誇示できるからである。特に個人単位で活動する戦士や冒険者の場合、実力をアピールして「目立つ」ことは極めて重要であることは想像に難くない。鎌倉時代から南北朝時代にかけて、武士たちの間では野太刀が流行の武器の一つであった。それを振るうことで自分の財力と腕力、技量を示すことが出来るからだ。高価な大型武器を買えるだけの金があり、かつ重い武器を振り回せる程腕っ節に優れ、扱いが難しい得物を使いこなすテクニックまで持ち合わせていることを一気にアピールできるのである。ビキニアーマーもその目立つ外見故、そういったステータス装備の一環となり得る可能性があるのだ。

このように単なるエロ要素に留まらず、着用者のキャラクター性を表現する装いとして深みを持たせることが出来るだろう。肌を露出する恥ずかしさと魔力の高さをアピールできる誇らしさが同居する、なんてのも面白そうである。

 ◆再反論1-4.  燃費の都合

着る方とてMPは無限ではない。魔法バリアに何らかの制限が伴う場合、それにも配慮しなければならないという事は十分考えられる。
フルプレートに魔法バリアを付与し、重量軽減効果のエンチャントも掛けて…なんてやっていたら魔法だらけで燃費が悪くなることは明白である。よくフルアーマー系のMSがやる「武装や装甲を追加して重量が増えた分スラスターを追加して機動性を補って…」みたいなアレを真面目に考えると燃費がマッハになるのと似たようなものだ。じゃあプロペラントタンクも追加すればいい?そしたらもっと重量が増えてスラスター増やす羽目になるぞ。

故に魔法による効果は防御力の向上に絞り、機動性の改善は装備そのものの重量削減によって達成すべきである、とする設計思想を取った結果がビキニアーマーと考えることが可能である。

よし。これでビキニアーマーである必然性は十分に証明できた。これで女の子はみんなビキニアーマーを着て戦う桃色のファンタジー世界がやって……

こないんだな、これが(栃木県民)

突然こんな事言ってごめんね。でも多分本当です。残念ながらバリアがあっても女の子の標準装備がビキニアーマーとなることは恐らくはない。最も、先に述べたように本稿の目的は「ビキニアーマーを『装いの多様性』の一つに位置付けること」であるため、それでも問題ないと言えばないのだが。

◆反論2.  このビキニアーマーが不良品だったという苦情は一件も寄せられておりません

スーパー系ビキニアーマーを先の再反論1-2で定義したような一種のSSR装備(古来より伝わる伝説の装備、神からの贈り物etc)として規定する場合は、何の問題もない。問題となるのは、バリア付与が一般的な魔法技術であり、スーパー系ビキニアーマーが普通に店売りされているものとする場合である。この場合、バリアが掛かっていると偽って只のビキニを高値で売り付けるあぶないみずぎ商法が横行することは多分避けられないだろう。

当然のことではあるが、ステータス画面やスキルを見られることが明確に示されているような作品でない限り、防具の性能は可視化されないし、そもそも具体的に数値化すらされていない筈だからだ。よって全ては買い手の目利き頼みとなり、それならば素人を騙して何の防御効果もないものを魔法の装備だと偽り、高く売ってやろうと考える不埒な輩が出たとしても不思議ではない。それに被害者が騙されたのに気付くのは致命的な一撃を素肌に喰らった後である。偽ブランド品に★一つレビューをつけようにも、君はダンジョンで無惨に屍を晒しているのだ。まぁビキニアーマーなら死体を持ち帰って蘇生してくれる可能性は高くなりそうだけど(天原理論)。
バリアが目に見えて分かるようなものであれば話は別だが、そういうものがなければとんでもなく手を出しにくい代物になる可能性が高い。なんせ自分の命が懸かっているのである。そこで冒険が出来るのは目利きの能力もさることながら、よほどの大胆さの持ち主だけであろう。

また、アカシックレコードか何かに接続する魔法でもない限りは現代のようにネットで何でも簡単に調べられる、という訳にはいかない作中世界において、登場人物が得られる情報は人から人へと口伝えされた噂話など、極めて限られていることは想像に難くない。え?ネットの時代でも不確かな噂話はガンガン飛び交ってるんじゃないかって?お前はまた俺にR-TYPE脳だけ四肢切断デマ野郎に対する説教をさせる気か?

そういった満足に予備知識を得られない状態で「見た目はビキニだが、魔法が掛かっていてしっかり防御力がある」とスーパー系ビキニアーマーを売り込まれたところで、まともな頭をしている人間ならばまず詐欺か何かだと疑うことだろう。故に、そもそもスーパー系ビキニアーマーはニセモノの横行以前に初めから商品として成立するかどうかすらも怪しいと言わざるを得ないのである。

 ◆再反論2.  あ、そうなんだ?で、それが何か問題?

実際のところ、この問題点はそんなに深刻ではない。これらの問題点を内包したとしても、ビキニアーマーは成立しうるからだ。例えば、もとより防具として広く流通しているものではなく、真贋を見分けられる者にだけ売られるとっておきとして細々流通している、あるいは何らかの組織が独自の装備として用いているなどの「レア物」であるならば何の問題もない。また、人間同士の戦いであれば先に述べたような事情を前提とした上で「ビキニアーマーを着ている=騙されて大枚はたいた挙句恥ずかしい格好しているアホ」だと思い込んでいる敵の不意を突く、などの心理戦に利用できる可能性もあるだろう。

加えて、そういった前提のもとビキニアーマー自体が眉唾扱いされるところに再反論1-2で述べたような正真正銘の伝説装備が存在する…という展開も考えられる。

想像してみてほしい。


遥か古代から伝わる伝説のビキニアーマーを手に入れたヒロイン。
「こんなもので身を守れるわけがない」とその伝説を訝しみ、せめてお守り代わりにでもなればいいと下着の代わりとして身に着けることにした彼女。その後の戦いで、彼女はドラゴンのブレスを正面から浴びせられてしまう。一瞬で消し炭にされてしまう鎧。
そして、爆炎の中から傷一つないビキニアーマー姿で現れるヒロイン。
彼女は伝説が本当であったことを身をもって知ったのだ…

なんてのもまことドラマチックだ。

◆番外.  理由付けをバリア以外のファンタジー要素に求める場合

また、これまで展開したようなバリアの存在を前提とするもの以外にも、それ以外のファンタジー的な要因によりビキニアーマーを装備として選択しうる場合も考えられる。

  • モンスターへの変身、あるいは巨人化などの能力を使用する際、変身に耐えきれずに衣服が破れてしまうことを防ぐためすぐに脱げる服装をする必要がある

  • もとより巨人であるため人間サイズの服や鎧を装備することが出来ず、必要最低限のビキニアーマーしか身に着けられるものがない

  • 炎属性の魔法を使用する際の発熱が膨大であり、熱を逃がすため衣服を着用することが出来ない

  • 服を着られない呪いを掛けられているのでビキニアーマーしか装備できない

などなど、理由は多数挙げられるが、これらの場合ビキニアーマーそのものに利点があるのではなく、何らかのやむを得ない事情により利点の有無に関係なくビキニアーマーを選択せざるを得ない、という形になるためあくまでも番外とした。無論、これら以外にも理由としてはさまざまに考えられるため、創作者としての腕の見せ所である。


◆B1.  リアル系ビキニアーマー①  -当たらなければどうという事はない!-


さて、お次はもう一つの路線、リアル系ビキニアーマーである。こちらは付随する要素としてファンタジー的要素(魔法、モンスターなど)の存在を設定する場合もあるものの、ビキニアーマーそのものには何の超常的効果もなく、本当にただの半裸で戦うことを想定するものとなる。

よって当然ながら、ビキニアーマーは普通の鎧には到底防御力で及ばないものとし、その利点は偏に身軽さにのみ求めるものとする。

◆リアル系ビキニアーマーの利点1.  聴け!聴け!鉄が目覚めるぞ!

実のところ、リアル系ビキニアーマーはそれに近い例とおぼしきモノが現実の歴史上、幾たびも登場する。男だけど。そうか…人類おれは…人類おれはずっと…ビキニアーマーを纏って…共に……共に戦っていたんだ!!

有名な例を挙げるならば、古代におけるガリア人の傭兵集団「ガエサタエ」などがある。彼らを含めた古代ケルト、ゲルマン系民族の戦士にとって鎧は死を恐れる臆病者が身に着けるものであり、そうした装備に頼らず裸で戦う事こそが強者の証だったのである。マッパで戦ってた奴らすらいたんだからビキニアーマーくらい何だ、という話である。

また、より時代を遡れば古代ギリシャの歩兵が描かれた絵画などでも下に至るまで丸出しのメロススタイルの姿で描かれており、古代オリエント等他の地域に目を向けても「裸に近い最小限の着衣+盾」という装備は決して珍しいものではない。もっとも、例に出した古代ギリシャの歩兵はあくまで芸術作品だと考えた場合、それは一種理想化されたものであり、どこまで現実に即しているものなのかどうか留意する必要はあるだろう。つまり、あのフルチン戦士こそが彼らのとっての陽子でありアテナ姫でありブレイブエリザだった可能性があるという訳である。だってあいつら芸術は基本裸だもん…

これらを鑑みれば、ビキニアーマーというスタイルはあくまで防具のメインは盾にあり、身体に装備する防具は補助的なものに過ぎないというありふれたコンセプトに属するものであり、別にそこまで非現実的なものではないと言えるかもしれない。

更に遡るところまで遡ってしまえば、もともと人類は裸に石槍一本でマンモスと何万年に渡って戦っていたのである。

また逆に時代を下れば中世にも、14世紀に活躍したスペインの傭兵集団「アルモガバルス」が知られている。彼らは満足な防具も着けていない山賊スタイルながら、ただ敏捷さと勇猛さで重装備の騎士を狩りまくったのである。余談ながら、本項目のサブタイトルも彼らの鬨の声とされる文句である。


そして、一気に時代は飛んで1990年代のリベリア内戦でもカルト思想にドハマリして全裸で少年兵を率い、全裸でドン引きするレベルの蛮行の限りを尽くした「お尻丸出し将軍」というふざけた通り名で知られるジョシュア・ブライなる男がいた。全裸基地作戦部隊(ガンギマリ)
我が国では名だたるビキニアーマーキャラの多くが一世を風靡して久しい時代であり、なんなら筆者も既に生まれている頃である。

とまぁ長々例を出した上に最後のは色々とツッコミどころが満載だが、要するに戦場に身を置き、戦う者にとっては「裸」は別にそこまでアンリアルな姿ではないのである。こいつらみんな男だけど。


◆リアル系ビキニアーマーの利点2.  回避こそ最大の防御

加えてファンタジー世界を前提とした場合、人間であるにせよモンスターにせよ、その攻撃力は大きくインフレしている傾向にある。剣士はとんでもない大技を放つし、魔法使いは派手な魔法を撃つし、ドラゴンやゴーレムなど大型モンスターの攻撃は一撃食らったらほぼ死にそうなものばかりである。

それならば防御を切り捨て、回避に特化するよりほかに生き残る道はない。章タイトルになっている赤い彗星の台詞も別にビームライフルを華麗に避けながら言ってる台詞とかではなく、ビームライフルという攻撃力が未知数の武器に対して取れる対策が他になかったことから出た台詞である。こちらのHPが10だとして、鎧装備時の一撃ダメージが5、裸時が9ならば共に2回攻撃喰らえばアウトであることに変わりはなく、前者には何の意味もないのである。

これは同じく現実にも起きたことであり、銃が新たなメインウェポンとなったことでそれを防げない鎧は有用性が薄れ、衰退した。それと同じことが中世レベルの文明の内に起こった、ということである。

こうした状況に適応すべく、完全に回避に特化した極限の軽装がビキニアーマーである、とするものである。要するにフロムゲーガチ勢スタイルだ。

やったぜ。つまり防具を着ても重くなって結局やられるだけだ!
やっぱり守りを捨て、殺られる前に殺るビキニアーマーこそが最強なんだ!

……

………

などとその気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。

ハッキリ言って、ここからが本当の地獄だ。心して掛かろう。

◆徹底検証.  ビキニアーマーとプレートアーマー 最後の戦い



さて、夢を見るのはここまでだ。
夢を見るのではなく、夢を叶えるためには現実を直視せねばならない。

まず、利点1であるが、リアルはリアルなれど一点懸念がある。後の方に述べた例を除き、だいたい古代の事例なのである。対して、これまでの考察で前提としてきたJRPG的なファンタジーは一般的に中世ヨーロッパ「風」の世界として描かれる。時代に大きな隔たりがあるのだ。裸の戦士が戦うことが出来た古代ではプレートアーマーのような実戦的な全身甲冑はほとんど存在せず、装備面で不利となることはなかったと言っていい。「裸かそれに類する最小限の着衣+盾という装備は決して珍しいものではない」と書いたが、要するにそれが答えなのである。なお、最初に挙げたガエサタエは古代ローマ軍との戦いで惨敗を喫している。まぁローマ側の得物が盾メタ武器だったから当然なのだが、裏を返せば「裸に盾」というスタイルは古代の時点で既に対策されつつあったとも言えるだろう。

古代ローマ軍が使用した投槍「ピルム」。隣のクマちゃんは関係ないゾ。
盾に刺さった後は重みで曲がるので、敵は盾を捨てざるを得なくなる。
大勢で投げれば盾依存戦士ぶっ殺しゾーンの出来上がりだ。

そもそも、防具を装備して戦えば素っ裸で戦う敵よりも優位に立てるからこそ防具が発達したのであり、仮に素寒貧スタイルが最適解であるのなら騎士も侍もみんなパンツ一丁褌一丁で戦っていたはずである。前編でチラッと触れた通り、特に重装備の甲冑にはコストや疲労などの制約が伴うため、その制約に見合うだけのメリットがなければ到底選択肢に入るものではないからだ。

重装備の敵と互角以上に戦ったアルモガバルスにしても、それがおいそれと可能なことであったのなら別に彼らの強さ、勇猛さを物語るエピソードとは見なされない筈だ。我々のような凡人に出来ないことを平然とやってのけるからこそのシビれる、あこがれる英雄なのである。

極論すれば、「古代ではみんな裸で戦ってたから中世でもビキニアーマーで~」という発想は、理屈の上ではジェット戦闘機がミサイルを撃ち合う現代の戦場で「第二次世界大戦ではこれで戦えていたから」とレシプロ戦闘機を持ち出すようなものになりかねないのである。

もっとも、それでアルモガバルスよろしく勝てたら英雄であり、その英雄を描くことこそがフィクションの醍醐味であることは間違いない。何らかの信条のもと古代からの装備を守り続けている連中が装備の性能の不利をものともせずに現用の中世装備の敵を圧倒する、あるいは何を捨ててでも身軽さを取りたい極限の状況で全てを脱ぎ捨て身一つで武器だけを手に決死の突撃を敢行する、なんてのは浪漫であるし、ビキニアーマーを鮮烈に印象付けられるだろう。


利点2も正直、というかかなり怪しいところである。少なくとも、ドラゴンなどの対大型モンスター戦では完全な特化装備と割り切れば妥当な発想ではあるかもしれない。実際中途半端な防御は役に立たないからだ。最も特化装備なので、そこに至るまでの間にゴブリンなど小型モンスターの相手をしなければならない場合でも最適装備か?と言われると疑問符が付く。装備に劣るゴブリンは無論、より小型のモンスターによる噛みつきなどであれば防具が十分に機能すると考えられるからだ。特に多勢を相手取る場合は意識の外から思わぬ攻撃を受ける可能性も高く、回避が間に合わない可能性も想定すると、完全に防御を捨てるのは余程の自信がなければ避けた方が良さそうである。ドラゴン狩りに赴くような実力者であれば多少のハンデは容易く撥ね退けられるかもしれないが、敵の物量によっては肝心のターゲットに挑む前に不覚を取らないよう万全の注意が求められるだろう。

しかし、人間が相手となった場合状況は一変する可能性が高い。

話は逸れるが、皆様は「戦車不要論」はご存じだろうか?

もの凄く掻い摘んで説明すると「戦車は対戦車ミサイルで簡単に撃破されるから不要!」という正直アホらしい思想である。こんなのをうっかりXで呟いてしまったうっかりさんの引用リポスト欄が「その戦車がいるからこそ敵はわざわざ高価で持ち運びが大変な対戦車ミサイルで攻撃しなければならず、仮にそれが戦車ではなく非装甲の車両だったら機関銃で蜂の巣にされてもっと簡単に撃破される。ニワカ乙」みたいな俺達のようなミリヲタどものマジツッコミで埋まるのは定期的に見られるXの風物詩である。

もうお分かりだろう。

安易な「鎧着ててもやられる時はやられるからビキニアーマーでいい」論は、これと同じになってしまうリスクを孕んでいるのである。少なくともモンスターはこちらの装備を見て戦い方を変えてきたりする知能はなさそうだが、人間が相手になるとそうもいかない。知能を持っている以上、こちらを観察し、分析した上で手を変え品を変え、戦術を駆使して有利に立とうとしてくるからだ。本能のままに戦うモンスターや、プログラム通りの攻撃パターンに終始するゲームの敵キャラと大きく違う部分である。奴らは馬鹿でもないし、間抜けでもない。

特に大胆不敵にしぇくしぃーぼでぃーを露わにしているビキニアーマーであれば敵は一目見てその装備の意図を理解し、それに適応した戦術に切り替えて対応してくるだろう。鎧をものともしない強力な攻撃を繰り出せる程に戦い慣れ、戦術眼を磨いているであろう敵ならば尚更である。すなわち、鎧を無効化できるほどの強力な技や魔法を繰り出すのを止め、どこでもいいから一撃を入れて弱った隙を突いてトドメを刺そうとしてくるか、あるいは威力は低くとも回避が困難な範囲攻撃系の魔法を放ってくるか、弱い魔法を連射して手数を増やすことで対抗してくるだろう。いずれにせよ、その時点で「当たらなければどうという事はない」という前提は崩れ去る可能性が高い。

視点を変えるならば、鎧という防具の存在によって敵はそれを打ち破る手段(強力な攻撃、魔法)を講じることを強いられており、そのためのリスク(隙、魔力の消費)を冒すことを余儀なくされている、という事になる。これまた戦車不要論に対するツッコミと同じである。相手が戦車を出してくるからこそ、こっちは一発2000万円もする聖ジャベリン様で迎え撃たなければならないのだ。これが非装甲車両だったらばずっとずっと安くてお手軽な機関銃で蜂の巣にしてやるだけなのだ。

また、仮に強力な攻撃を繰り出してくる一部の相手に対して鎧が無意味だったとしても、そういった攻撃を使ってこない大多数の相手に対しては依然有効な選択肢であることに変わりはないはずだ。銃が甲冑を衰退させたのも、扱いを体得するのに血の滲むような修練を要求する剣や弓と比べて段違いに戦力化しやすく、雑兵にまで行き渡るメインウェポンとなったからである。魔法で例えるなら、その辺の一般村人でもちょっと練習するだけで誰でもファイアボールとかマジックミサイルとかその辺の魔法が撃てるようになったレベルの事が起きたのが、現実の銃器の普及である。なので「鎧は銃によって衰退した」というのは半分正解で、より正確に表現するならば「高価な鎧を着て、扱いが難しい剣で戦うことができる騎士の戦力価値そのものが銃によって下がった」といった感じになる。

そもそも、先ほど例に出した「こちらのHPが10だとして、鎧装備時の一撃ダメージが5、裸時が9だったらどっちも耐えられる回数は同じ」理論に至っては完全なネタである。まだ半分は体力が残っている状態と、殆どの体力を失った瀕死の状態で同じように戦えるのはゲームだけだ、ってことは流石にみんな分かった上で生存バイアス被弾箇所画像みたいなジョークとして言ってると思っていいんだよね?

なんだか雲行きが怪しくなってきたところで、項目名の通りビキニアーマーとプレートアーマーの戦いについて考えてみよう。

互いに実力は同程度で、得物も同様に片手剣、そして盾とする。ビキニアーマーはその身軽さで防御力の不利を巻き返せるのだろうか?果たして「回避特化こそが最強」は通用するのか?

結論からぶっちゃけてしまうと、その身軽さを考慮したとしてもビキニアーマーの天敵は他ならぬプレートアーマー等、重装備の人間である。

ここで重要になるのは、人間同士の戦闘は常に相手の意図を読み合う駆け引きである、という点である。アクションにせよRPGにせよ、ゲーム的な戦闘のイメージだけで考えるとここで躓くことになる。

まず、互いの条件を整理してみよう。

ビキニアーマー(以下「ビキニ」)
・敵の攻撃は「剣で受ける」「盾で受ける」「避ける」の三択
・スピードで敵よりも優位
・限定的な装甲部位を除き、どこに攻撃を受けても致命傷になる

プレートアーマー(以下「プレート」)
・敵の攻撃は「剣で受ける」「盾で受ける」「避ける」「鎧で受ける」
・スピードで敵よりも劣位
致命傷になるのは鎧の隙間のみ

日本風に言ってみれば素肌剣法と介者剣法の異種格闘技戦となる訳だが、なかなかに厳しい条件である。というか前者の方が有利だったら誰も戦場に鎧なんて着ていかないだろうし。

特に問題となるのは「装備の差により、戦いで取れる選択肢において彼我に大きな差がついてしまっている」という点である。

まず、攻めに出るビキニ側は鎧の隙間に攻撃を入れなければならない。当然ながらプレート側はそれを予期し、弱点個所を狙われないように防御の神経を集中する。そのため、ビキニ側が致命傷を負わせるにはフェイントを織り交ぜるなどせねばならず、簡単なことではないだろう。シールドバッシュなどで組み伏せるにしても鎧+着用者の重量を考えれば多大な隙を晒さねばならず、一か八かの賭けになるだろう。そもそも、身体の大部分を装甲化しているという事は敵は全身に凶器を纏っているも同然なのであり、安易に肉弾戦に持ち込めば素肌剥き出しのこちらが手傷を負わされかねない。また、防御するプレート側は剣を鎧で受け、怯んだ所にカウンターを叩き込むなどビキニ側には不可能な対抗戦術を取ることが可能である。

逆にプレート側が攻めに出る場合は、ダメージを与える手段はとても分かりやすい。どこでもいいから肌が露出している部分に攻撃を浴びせればよい。手傷を負わせ、弱ったところでトドメを刺せば勝ちである。余程の脳内麻薬ドバドババーサーク状態でもない限り、即死するような重傷でなかったとしても痛みや出血は間違いなくパフォーマンスを大きく削ぐことだろう。
更に、ビキニ側からしたら弱点個所が広域かつ明瞭であるため、敵がどこを攻撃してくるか予測して対処することは困難を極めるだろう。鎧で受けることを前提としてダメージ覚悟の攻めに出られることも、ビキニ側にはない選択肢だ。

もちろん、これほど極端な防御力の差が生じないケースもあるだろう。ビキニアーマーでも手足はちゃんと防具を装着しているかもしれないし、プレートアーマー側も全身を板金鎧で覆っているのではなく、チェインメイルやレザ―アーマーの上に部分的に鎧を重ね着した折衷的な装備である可能性も考えられる。むしろプレートアーマーの高価さを考えればそちらの場合の方が多いだろう。

この場合、とても残念なことを考えなくてはならない。ビキニアーマーのアイデンティティとも言える大胆な露出それ自体が足を引っ張ってしまいかねないのだ。

言うまでもないが、敵との戦いは一刻一秒の世界である。じっくり考えるより先にまず身体を動かさなければならない。兵は神速を貴ぶのだ。だったら尚の事動きやすいビキニアーマーが最強装備なんじゃないか?と言いたくなるが、そう簡単には勝たせてくれなさそうだ。

あなたの目の前に、チェインメイルの上に胴鎧、籠手、脛当てなど板金の防具を重ね着した敵の戦士がいます。雄叫びを上げてこっちに突っ込んできて、動きながら攻撃してくるそいつを見て、どこに、どんな攻撃を叩き込むのが効果的か「咄嗟に」判断できますか?

まぁ、そういうことである。胴鎧他のプレート部分が最も堅いのは明白だが、チェインメイル部分はどうだろう。少なくとも斬撃は効き目が薄そうだが、突きだったら有効かもしれない。また、その下の布服部分でももしかしたら部分的に厚い布地で補強がなされており、掠り傷程度なら防いでくるかもしれない。

このように、防御されている部位とされていない部位の境界はグラデーション的だ。しかも着ていることは着ている訳だから、簡単にそれぞれを見分けて判断することは困難になる。現代の装備に例えるならば、一種の迷彩のような効果だ。敵に見破られるまで稼げる時間が数秒か、あるいはほんの一瞬だったとしても、その隙にこちらが先に撃つのだ。

翻って、ビキニアーマーはどうだろうか?

言うまでもなく、防御されている部位とされていない部位の境界はハッキリしている。装甲があるか、完全に剥き出しかのどちらかだ。しかもその見分けはこれまた明確だ。なら後者を狙えばいいというのが即座に分かりやすい。

肌見せて戦おうとしただけで血も涙もねぇ!救いは…ビキニアーマーに救いはねぇのか!?オレらこのまま死…死んで…ッ…!

大前提として、甲冑は我々が想像するほど着用者の動作を妨げるものではなく、余程の超人バトルでなければ実戦で通用するだけの機動性は確保されることは前編で既に述べたが、念のためもう一度動画を紹介しておく。

所謂「プレートアーマーを着たら殆ど身動きが取れない」は実戦用と馬上槍試合用の混同によるものであり、言ってみれば「西洋剣は殆ど斬れないので実質鈍器のようなもの」だとか「中世では腐った肉を胡椒で誤魔化して食ってた」とかいったような中世俗説の一つである。

以前R-TYPEの設定デマについてこんだけ偉そうな口を利いた手前、斯様なデマにコミットすることは如何にビキニアーマーを肯定するという崇高な理想のためとはいえ到底容認できるものではない。目的は必ずしも手段を正当化しないのである。フィクションだからと割り切ったところで、同noteで晒した例に出した「M16は欠陥ライフル。ソースはゴルゴ13」みたいにどっかのバカが本気にした挙句あちこちで触れ回って「情報の悪魔」にしてしまうだろうし。

広告は以上です。話を戻して、ビキニアーマーによるスピードの優位で防御力の低さを埋め合わせることは口で言うほど簡単ではない可能性が高い。こちらは確かに素早く動けるかもしれないが、その分当たり判定もデカいことは先に述べた通りである。加えてどのみちビキニ側の最終的な狙いは急所に絞られる、という事が予期されるため、プレート側は最小限の動きで対応できることを考えればこの優位も事実上相殺されてしまう可能性すらある。大ジャンプして一気に相手の背後に回るレベルの意表を突いた動きが出来る、とかでなければビキニアーマーの身軽さを直接勝利に繋げることは困難であろう。また、スピードや柔軟さを活かそうとしても不用意に大袈裟な動きをすればそれだけ隙を作るリスクも生じる。素肌を晒しているビキニアーマーにとっては僅かな隙を晒すことも命取りになり得るのだ。

他のプレートアーマーの弱点となると、同じく前編で述べた通り体力の消耗から長期戦に向かないことが挙げられる。そこを突いてへばった所を倒す戦術に持ち込めば見込みはあるかもしれないが、敵もその弱点を承知しているのであれば一気に勝負を決めにくることだろう。一撃が命取りになるオワタ式で攻撃を躱しつつ相手が疲れ果てるまで耐えるとなるとなかなかハードである。逃げようにも、背中を見せるのは特大の隙たり得るため、相当うまいことやらなければならない。

このように、ビキニアーマーで鎧装備の相手と打ち合えば、余程こちらが実力で上回っていない限りは不利を覚悟しなければならないだろう。

さぁ、どうしよう。

◆重要な注意事項.   みんな違ってみんな着たい 

賢明な読者の方は「は?そもそもファンタジーの話をしてるのになんで現実の鎧が仮想敵なんだよ?ファンタジーに無理矢理現実当て嵌めるのは悪手だってお前いつも言ってんじゃねーかよ!!頭空想科学読本かよ!!」とお思いのことだろう。それでいいのだ。間違っても誤解しないで頂きたいのだが、筆者は前編で述べた通りビキニアーマーに対して「リアル」を押し付け、その存在を否定するつもりは毛頭ない。だが、この点に関してはどうしてもそうもいかない、リアルスペックの甲冑を仮想敵として設定しなければならない事情があるのだ。

本稿の考察は「ビキニアーマーという装備がファンタジー世界に存在する以上、そこには何らかの必要とされる理由があるはずであり、故にその存在を無意味だと断じるべきではない」という前提に基いている。

この前提は、ビキニアーマーのみならずファンタジー世界に存在するあらゆる装備に適用されるのだ。

前編において、プレートアーマーを始めとする重装備の鎧には様々な欠点(長時間の戦闘時の疲労、高いコスト、維持の煩雑さなど)があることは指摘したが、こういった欠点を背負っている時点でビキニアーマーに対する非対称性を持っているのだ。

せっかく高い金を出して買った装備を、クソ重いのを我慢して着てるのにも関わらず、その装備の得意分野となる正面切ってのどつき合いですら安くて軽い装備を着た同程度の技量の相手に簡単に負けてしまう、としたら?

もうお分かりだろう。

なら、そもそもそんなものを着る意味はない

君が「鎧を着ないで戦うのは体力に自信がない軟弱者だ!全身に重い鎧を付けても戦えるのが屈強な戦士の証!!」みたいな思想をお持ちであるのなら話は別だけど。

にもかかわらず、ビキニアーマーが存在するようなファンタジー世界にも重装備の騎士など、プレートアーマーないしそれに相当する露出ゼロの甲冑を着込んで戦うキャラクターは同時に存在している。そしてビキニアーマーと並ぶこれまたフェティッシュな魅力を放つものとして押しも押されぬ存在感を発揮している。

であれば、彼ら彼女らはビキニアーマーのキャラクターと同じく、欠点を背負ってでも得たい利点のためにその装備を選択していると考えるべきだ。

ファンタジー世界は我々から見れば空想の世界だが、そこに生きる人間は命がけで戦っているのである。であれば戦いに勝ち、生き残るために装備の選択も含めて出来る限りの手段を講じようとするのは当然のことなのだ。架空世界を通り越して、現実世界の過去に生きていた人間たちに対してもこういった想像力を働かせることが出来なかった結果が、今日氾濫する中世暗黒時代俗説の数々なのである。お前らは中世の人間がメイス使えばいいものをなぜかそれをせずに剣でバンバン殴るような、当時は貴重な香辛料を普段使いできるくらい裕福なくせにわざわざ腐った肉なんか食べるような馬鹿だと言いたいのかと…

それでは、何故仮想敵となるのが「現実の中世に存在した甲冑」なのか、の話に移ろう。

それは即ち、現実中世レベルの甲冑が、ファンタジー世界において想定されうる甲冑の『最低』スペックだからである。

先に述べた通り、ファンタジーにおける甲冑がそれこそ現実世界の俗説にあるような「ろくに身動きが取れない、防御力も見掛け倒し」程度の命を託すに値しないものであるなら、モンスターや魔法と言ったような現実の中世以上の脅威が存在するファンタジー世界では無用なものであり、誰からも見向きされないはずだ。であれば、ファンタジーの甲冑は現実世界にかつて存在したそれと同じく、運用面での制約こそあれど実戦で通用する、それを手に入れられる者にとっては十分選択肢に入る装備だと考えられる。

そして何より、架空世界の存在であるビキニアーマーを現実世界の「リアル」な常識で考えてはいけないと言うのなら、それはビキニアーマーと対になる架空世界の甲冑だってそうなのだ。

つまり、ファンタジー世界のプレートアーマーはリアル中世のプレートアーマーと違ってメイスでぶん殴られても平気で、長時間着ててもラクチンで、動きもさっきの動画以上に軽快で、しかもお値段までリーズナブルというチート装備であるという可能性すらも、本来だったら想定しなければならないところなのだ。

実際、JRPG的なハイファンタジー世界に登場する重装備のキャラクターはちゃんとその重装備で戦えているし、ゲームならその辺の武器屋で普通に買える程度の値段で売られているし、更に作劇上の都合とはいえ長時間の徒歩移動を含む長旅でも特に不自由している描写は見られないことから、この蓋然性は非常に高い。なんなら現実に存在した甲冑以上に豪勢な見た目してるし、絶対すごいやつだ多分。

こうなってしまっては、ビキニアーマーの想定スペックも盛ってやらなければ対抗できない。その場合、それは先述のスーパー系ビキニアーマーと同じであり、リアル系ビキニアーマーの考察はここで終わりになる。
先に述べたようなファンタジーという前提のもと現実世界のそれよりスペックを高く見積もったプレートアーマーは謂わば「スーパー系プレートアーマー」であるため、対するビキニアーマーにだけリアルな条件を課すことはフェアではないからだ。

ビキニアーマーも着たい。プレートアーマーも着たい。

ビキニアーマー着て汗飛び散らせてる女の子も見たい。プレートアーマー着て蒸れ蒸れになってる女の子も見たい。

プレートアーマーの子がビキニアーマー着せられて恥ずかしがってるのも見たい。ビキニアーマーの子がプレートアーマー着せられて窮屈そうにしてるのも見たい。

そんなあの子のボディ並みにわがままな欲求を両立させられるギリギリのラインとして、甲冑の性能想定に現実中世レベルを持ってきたという点を、どうかご理解いただきたい。

前編含めてここまでに述べたように、本考察においてビキニアーマーの存在を支える土台は「装いの多様性」である。ビキニアーマーの目先の優位性を創出することに拘泥するあまり、逆にこの土台が揺らぐような事態は避けなくてはならないのである。

話を戻して、そんな鎧を着た相手とビキニアーマーでどう戦うのか、身軽さ全振りのリアル系ビキニアーマーとはどのように活かすべき装備なのか、について可能性を模索していくとしよう。

そう。まだ考察は終わっていないのだ。勝負はここからである。

 ◆可能性1.  らめぇ、その太くておっきいモノを突っ込まないでぇ

先の前提は防具の対照実験とするため、両者ともに同じ得物での戦闘を想定した。しかし、実際の戦いではわざわざ得物を相手に合わせてやる義理はない。初めから対甲冑を前提とした装備で挑めばいいのだ。
実際にこれを成し遂げた成功者に学ぶとして、先に挙げたアルモガバルスの例に倣うとしよう。彼らの武装は重い投槍と短剣であり、前者を馬にぶち込んで落馬させたところを後者で隙間にブスリ♂、というのが基本戦術である。要するに「落馬」という衝撃で敵を無力化させたうえで倒す、すなわち徹底的な先制攻撃、先制撃破である。馬鹿正直に真正面から打ち合えば鎧の恵みをナマでイかされることになる、というのなら打ち合うのではなく、こちらが一方的に「打つ」のだ。

この答えに関しては、意外と身近なところにある。

貴方が今宵のオカズにしたビキニアーマーの女の子、どんな武器を持っていましたか?

クッソでっかいグレートソードとか長槍とか、ハルバードとかじゃありませんでした?

そう、よくビキニアーマーとセットにされるやや誇張気味なサイズの大柄武器である。でっかい武器が女の子に振り回せるのか?という難点は残るが(そもそもここ真面目に考えるとビキニアーマーに関係なくファンタジーの戦闘そのものが破綻するため、本稿では問題にはしないものとしている)、これほど向いている得物はないだろう。特にモンスターが存在するファンタジー世界では、それらとの戦闘を想定して現実世界以上に打撃力を重視した大柄武器にウェイトが置かれている可能性がある。こんなクソデカ武器で質量に任せた攻撃を受ければ鎧と言えども致命傷は免れない。

これは現実にもあった発想で、西洋のフレイルや、日本の金砕棒などが対甲冑戦において有効に機能した打撃武器として知られている。「鬼に金棒」の金棒は本来ならば「金で出来ている棒」ではなく、「金(鎧)を叩くための棒」なのだ。

加えて、この種の武器を持ち歩き、振り回すとなれば他の装備重量は極限まで削りたいところであり、ビキニアーマーは適した組み合わせであるとも言えよう。無論、武器の重量でビキニアーマーの生命線ともいえる身軽さを相殺してしまう上に盾で防御面を補うことも不可能となるため、先手必勝で相手を倒し切ることは絶対であり、攻撃を外した隙を狙われることは決してあってはならない。ハイリスク・ハイリターンではあるにせよ、先に述べた「鎧ではガード出来ない強力な一撃」を放つ側にこちらがなる、というのは有効なアプローチであろう。

もちろん、それさえ使えば誰でも簡単に重装備の敵を仕留められるという訳にはいかないだろう。もしそうなら、それは現実世界における銃と同じであり、先に述べた通り本稿のタイトルを「何度もプレートアーマーの利点を誰かに問いかけてみたくて」に変更せねばならなくなってしまうからだ。

この他、ファンタジー世界であることを前提とするならば少々お下品なやり口になってしまうが男に渡しておけば喜ぶ服だけ溶かす薬など、対装備に特化した手段を用いて条件を対等にしてやるというのも有効となるだろう。あとはお互いに裸の付き(突き)合いだ。鎧に甘えた相手に「一身の戦い」というものを教えてやろう。

 ◆可能性2.  ビキニアーマー戦士はね、服なんて着ないし装備に頼らないしやること全部がめちゃくちゃでなきゃいけないの

では、ビキニアーマーの着用者ががこれまでに述べたような理屈を力ずくで吹き飛ばせるくらい、べらぼうに強かったらどうだろうか?先ほどはアレコレと机上の空論を述べたが、それでもアルモガバルスの連中は実際にやってのけたのだ。ローマ軍に負けたガエサタエのみんなが泣いてるぞ。

同じく先に述べた通り、フィクションの醍醐味は不可能を可能にする英雄を描くことにある。ビキニアーマーを着て半裸若年女性となることを決心したら、自分自身に従い世界と和解しようとしてはいけない。英雄的なものは一般的になりえないし、一般的なものは英雄的たりえないのだ。つまるところ、これまでダラダラと述べてきた道理を無理でこじ開けるくらい強くなってしまえばいいのだ。防御力が劣っている程度の不利など、実力でカバーしてしまえばいいのだ。先に述べたような状況下で負けるようなら、所詮君はビキニアーマーに選ばれなかったというまでの話なのだ。所詮装備の利点欠点がどうのこうのとか言うのは常人の戦いでの話だ。こっちはその常人をやめるのだ。この考察のテーマ、ビキニアーマーの何だっけ?

想像してみてほしい。


君の前に一人の女戦士がいる。
申し訳程度に僅かな防具を付けただけの、殆ど裸だ。
なんとバカな女なのだろう。
お前、もしかしてまだ自分が死なないとでも思ってるんじゃないか?
噂に聞くところによるとあんなアホみたいな装備で暴れ回ってる化け物がいるらしいが、どうせそんな化け物に憧れた英雄気取りの三下だろう。
君がそう思ってその女の滑稽な身なりを嘲笑おうとした瞬間、
君の首は宙を舞った。
君の人生最大にして、最後の大失敗。

それは、本物の英雄を英雄気取りだと勘違いしたことだ。

いいじゃねぇか。

もっとも、そんな奴はそうそういるものではないだろう。だが、だからこそ物語の主役となり得るのである。たとえ10000人中、9999人にとっては不向きな装備であろうが、たった一人でもそれが向いている者がいるのなら、その世界にビキニアーマーが存在する意義はあるのだ。

スーパー系ビキニアーマーの方が道理が通っていて、こっちはリアル系なのにゴリ押しの力任せかよ、って気がしないでもないが、世の中とは得てしてそういうものである。スーパーロボットのマジンガーZは気合でパワーアップなんてしないが、リアルロボットのガンダムは人の心の光で奇跡を起こしてしまうのだ。

 ◆可能性3.  エクドロモイに…付いてくる…だと…

そもそも、別に鎧とのガチンコ対決で不利だったとしても、だからといってビキニアーマーが装備として劣る、役に立たないと決めつけるのは早計である。チョキがグーに弱く、でんきタイプがじめんタイプに弱いように、単に相性が良くないというだけである。「○○でやられるから、××と戦ったら負けるから不要、役に立たない」という短絡的な判断はそれこそ戦車不要論の発想である。その理屈を突き詰めればあらゆる兵種、兵器が不要となり誰も戦うものがおらず、平和が訪れることだろう。

だいたい、先の思考実験では「ビキニアーマーで重装鎧と戦うのは不利である」という結論に達しただけで、俺は一言も「だからビキニアーマーは実用的でない」などとは言っていない。アレを読んで「そうか!つまりプレートアーマーと戦ったら負けてしまうからビキニアーマーは役立たずなんだ!」などと思ったそこのキミは戦車不要論者の素質がある。公務員試験を受けて財○省に就職してはどうだろうか。きっと天職だろう。

何のことはない。要するに甲冑には甲冑の、ビキニアーマーにはビキニアーマーの得意分野が、苦手分野が、必要とされる状況が、避けるべき状況があるというだけの話だ。

正々堂々正面からのシバキ合いは重装備のタンク職連中に任せて、そいつらが苦手とする長距離の偵察や伝令、身軽さを活かした破壊工作、遊撃戦を担うアーチャーやレンジャーのための装備としてビキニアーマーを活用するのだ。所謂JRPG的な「冒険者」の活動もどちらかといえばこちらに近いものがある。

例えば、古代ギリシャの戦争の花形は重装歩兵同士のぶつかり合いだった訳だが、それとは別にエクドロモイと呼ばれる軽装歩兵が存在し、敵の密集陣を側面から攻撃する、もしくは反対にこちらの陣の脇を固める役目を負っていた。「エクドロモイ」だ。「エクモロドイ」や「エクドモロイ」ではない、注意しろ621。

ビキニアーマーとは、正面戦闘よりもそういった機動力が求められる用途に使うべき装備だとすれば重鎧と共に同じ世界に存在させることが出来るだろう。仮に不利を強いられる重装備の敵と正面からカチ合わざるを得なくってしまったとしたらそれはこちらの見通しが甘かったか、運が悪かったかである。ビキニアーマーに罪はない。

また、重装備では足を取られやすい湿地帯や、ただでさえクソ暑いのがもっとクソ暑い高温多湿の地域における戦闘でも活躍が見込まれるだろう。

更に言えば、ファンタジー世界なら戦う相手は人間だけとは限らない。先述の通り、ドラゴンなど大物モンスターとの戦闘だけを考えて防御を捨てた特化装備であるならば、さっきは今一つ実感できなかった身軽さという利点を生かせる可能性がある。獲物以外の雑魚との戦闘は回避するか、他の連中に相手を任せればいい。

想像してみてほしい。


「竜殺し」と呼ばれる最強の戦士が、王国騎士団にいる。
彼女の任務はただ一つ。ドラゴンを殺すこと。ただそれだけだ。
故に彼女はドラゴンと戦うためだけに作られた、完全に防御を捨てた装備、すなわちビキニアーマーだけを纏って出陣する。
全てはとにかく機先を制し、殺られる前に殺るため。
彼女の出陣には、重装備の騎士たちが付き従う。
彼女を護り、妨げるもの全てを排除して血路を切り開き、彼女を「獲物」の元まで無傷で送り届けること。それが彼らの役目だ。
配下の騎士たちが露払いした道を女王の如く堂々と進み、彼女は「獲物」の前に立ち、同じく竜を狩り殺すためだけに作られた大剣を構える。
「獲物」と相対した彼女は、強敵を前に笑みを浮かべる。
ここまでの長いお膳立ては、すべてこの一瞬がため。
この一瞬のためにここに立つ、生きた決戦兵器。
それこそが「竜殺し」なのだ。


滾る。滾るぞ。部下の一人になって「姉さん!いい狩りを!」とか言ってみたいぞ。

スーパー系ビキニアーマーに倣い、リアル系ビキニアーマーも現代兵器に例えるならば、装輪戦車や偵察戦闘車、オフロード四輪駆動車、全地形対応車といったような軽装甲、ないし非装甲の軍用車両あたりだろう。正面切っての戦闘では主力戦車に及ぶべくもないが、その分戦車を上回る機動力でその苦手分野を補って活躍し、時には対戦車ミサイルの一撃による格上殺しを狙う、といったような塩梅である。

◆番外①.  スーパー系とリアル系の複合

ロボットものにおいてもスーパー系かリアル系か、どちらかにハッキリと分類しかねるような設定の作品が少なくないように、ビキニアーマーにおいてもバリアを前提とするスーパー系と、回避を前提とするリアル系の複合的な設定が考えられる。

例えば、ビキニアーマーのバリア効果が専ら魔法耐性に特化したものであり、物理的な防御力を切り捨てて魔法への防御を得る装備だとしたら、どうだろうか。先に述べたような前提にこれを当て嵌めると、

  • ビキニアーマー戦士は魔法使いに対して有利(魔法無力化)

  • 魔法使いは重装鎧戦士に対して有利(鎧無力化)

  • 重装鎧戦士はビキニアーマー戦士に対して有利(物理防御)

といったような三すくみの関係性となる。なかなか面白い設定ではないだろうか?

この他、魔法効果がバリアではなく身体能力の増強にあり、防御を度外視してなおお釣りが来るほどの超人的な機動力を発揮するための装備である、という可能性もある。言うなれば、パワードスーツのファンタジー版だ。例の漫画の彼もスピード強化の魔石を乳首に装備してたし。

また、当然ながらスーパー系ビキニアーマーとリアル系ビキニアーマーが同時に存在するという設定もアリだろう。この場合、同スーパー系の「反論2」で述べたような点を活かし、あえてそのビキニアーマーがどちらに属するものかを伏せておくことでインパクトを与えるような演出も出来るだろう。圧倒的な強さを誇るビキニアーマー戦士を登場させ、さぞ強力なエンチャントが掛かったスーパー系ビキニアーマーを着ているんだろうな…と作中人物にも受け手にも勘違いさせておいて、最終的に彼女のビキニアーマーは何の特殊効果もないリアル系で、その活躍はただ彼女自身の強さによるものであったことが明かされる、みたいな展開にすれば強キャラアピールとしてこれ以上のものはないだろう。

◆番外②.  世界は繋がっている

我々がビキニアーマーという装備を多様性の一つとして認めることの意義は他にもある。ビキニアーマーを肯定することで、ビキニアーマーがまた別の存在を肯定してくれる可能性があるのだ。

突然ですが、皆さんに質問です。

皆さんは剣と魔法のファンタジー作品で「レイピア」を使うキャラクターを見た事がありますか?あるいはそういったRPGでレイピアを使ったことがありますか?

ある?ほうほう。

銃のせいで鎧が廃れた環境に適応すべく、近世に普及した新しい剣であるレイピアを鎧全盛の中世風ファンタジー世界で、ねぇ…

いや、いいんだ。あくまで中世「風」ファンタジーだから。別にレイピア出したかったら銃も出せ、とかそんなジャガイモ臭ぇ話をしようってんじゃない。

でもど~してもそういう細かい事を気にしてしまう性分だっていうのなら、いい事を教えてやる。

先に述べた通り、アレは重装備の鎧を着て戦う奴がいなくなって、皆軽装で戦うようになったから剣も軽くした方がいいんじゃないか?というコンセプトの武器だ。だから鎧がまだまだ頑張ってる中世では正直言って出番が…

おや?あそこにとびっきり軽装の女がいるな?

そう、リアルでは近世以降の銃環境が前提の剣であるレイピアを、対ビキニアーマー用の武器として前倒し気味に登場させることが出来るのだ。

先に「鎧で防げない魔法に回避特化で対抗するためにビキニアーマー着てったら敵の魔法使いは範囲攻撃魔法に切り替えて対抗してくるんじゃねぇ?(要約)」と述べたが、魔法が使えない戦士タイプであれば武器の選択で同様にメタり返してくる可能性は十分に考えられる。

過去から現代、そして未来に至るまで、兵器開発というのは常にイタチごっこの繰り返しである。ビキニアーマーを着ることで何かに対抗すれば、逆にビキニアーマーに対抗するための何かが生まれる。それは人が戦い続ける以上、当然のことである。戦車不要論がナンセンスなのも、対戦車ミサイルなのかドローンなのかは知らんが、戦車メタが繰り出されたところでそのイタチごっこがなぜか終わってくれる前提になっているからだ。

メタ的な創作論の話をすれば、その血を吐きながら続ける悲しいマラソンこそがキャラクターの武器、装備に多様性を与えてくれる、という見方もできるだろう。

でも「お前のそのキレイなお肌を穴だらけにしてやるぜぇ~!!」みたいなこと言ってケヒャりながらビキニアーマー姿の美少女に迫るレイピア使いはちょっと見たくないゾ。いやそれはそれでアリか…?


◆B2.  リアル系ビキニアーマー②  -そんな装備で大丈夫か?-


さて、なんとかリアル系ビキニアーマーについてある程度の考察は出来た。しかしながら、ビキニアーマーの利点について理解を深めようとした結果、かえってその限界を見せつけられてしまった気分だ。なんか釈然としない。俺がやりたかったのはこういう考察だったのか?

否、勝負はまだまだこれからだ。

だが、どうすればいい?

…………
……………………
………………………………

成歩堂くん!発想を逆転させるのよ!

…そうだ!

という訳で、これまで伏せていたリアル系ビキニアーマーのもう一つのアプローチである。ついにこれを使う時が来た。このアプローチを一言で言うならば、

ビキニアーマーはただ貧弱な装備であり、利点などない。

以上である。

何だそれは、これまで散々利点利点言っといてふざけてんのか?今更最終回のイサミみたいに白旗掲げてアイサレンダーするんかお前は?と思われる方が大半であろう。
だが、世間で有名なビキニアーマーキャラの中にもこの類型に当てはまるキャラが存在する。彼女である。

我らがアテナ姫

彼女のトレードマークとも言えるこの赤ビキニであるが、実はこの姿は最弱装備なのである。装備がない裸の状態からスタートすることで、ゲーム中で鎧や兜を手に入れて強くなっていくことを表現する。それがこのビキニアーマー(布ビキニだとかいう以前にそもそも「装備がない」ことを表現した姿なのでアーマーと呼ぶのは違う気もするが、あえてこう呼ばせていただく)の意義であり、そこには魔法による防御も、鎧を超えるスピードも存在しない。ただただ裸一貫の姿であり、装備による利点を何も持たない状態なのだ。同じくレトロゲームの男キャラで例えるなら魔界村のアーサーが公式絵では常にあのイチゴ柄パンツ一丁みたいなもんである。

にもかかわらず、彼女は臆せず戦いに身を投じた。
その姿の、なんと勇ましいことか。
もう利点がどうとか、そんなことどうでも良くなってきたぞ。

すなわち、ビキニアーマーは満足な装備がなく、裸同然の貧弱な防具で戦わなければならないことを表現するものであるという前提に基き、むしろ装備としては劣ったものであるべきだ、というこれまでの考察とは方向性を真逆にするコペルニクス的転回だ。

よくビキニアーマーの話になると「そんな装備では戦えない」と言われるが、とんでもない。

彼女らはそんな装備でも戦わなければいけないし、なにより戦えるか戦えないかを装備に決めてもらうような軟弱者ではない。ビキニアーマーでも戦えると、自分で決めたのだ。


◆メタ的利点.   大丈夫だ。問題ない。(震え声)

繰り返しになるが、この路線を取る上で軸となるのは戦いに適した装備ではなく、むしろ戦えるか心配になるようなビキニアーマーという装備で臆せず敵に挑む主人公の姿を通してその勇敢さやハングリー精神、置かれた状況のスリリングさを掻き立てられるというメタ的利点である。

『ダビデとゴリアテ』(オスマール・シンドラー作、1888年)。
「裸同然の貧弱な装備しか持たない子供が、強力な装備に身を固めたマッチョ相手に
ジャイアントキリングをキメる」は旧約聖書から続く立派な古典的ジャンルなのだ。

前編において「主人公のファッションは受け手に大きな印象を与える部分である」と書いたのは、このための壮大な伏線だ。自分で壮大とか言うなタコ!!

同じく前編でこの説明をする際引き合いに出した「女ターザン」を例にとって言うならば、彼女らが皮ビキニ姿の代わりに秘境探検バッチコイな完全防備の服装をしていて、猛獣や密猟者と戦えるか心配な石槍の代わりに銃でも担いでいたら興醒めもいいところだ。危険だらけの極限環境を裸同然の姿で切り抜け、強大な敵を相手に素手にも等しいような武器で果敢に立ち向かうからこそ彼女らの逞しさ、力強さが引き立つのである。要するにビキニアーマーもこれと同じという訳だ。

想像してみてほしい。


「たった、これだけか……」
ドラゴンを狩るべく、長旅の末にようやくその住処までやってきた戦士は深く溜息をついた。
彼女はこの旅のため、得られる限りの最強の装備を調達した。最強の剣、最強の盾、最強の鎧……
しかし、今や何もない。
剣は折れて単なる金属のガラクタと化し、盾はどこかへと失い、ボロボロに毀れ、破れて防御力を失った鎧や服は動きを妨げるだけの重しと化した。

残骸と化した鎧を外しながらしゃがみ込んだ彼女は、ボロ切れと化した服を裂いて作った間に合わせの包帯で傷の手当てをしながら、近くに誰が落としたかも分からない荷物を見つけた。代わりの装備でも入っていればいいが、と中を検めたが、得られたのは簡易的な防具だけだった。駆け出しの冒険者が身に着けるような安物だ。しかも、錆だらけでところどころ欠けている。あとは同じく落ちていた棒切れと、最後の武器であるナイフだけ。
これが今ある全てだ。

そして現在に至る。

出来る限りの装備を整えるべく、彼女は裸の躰にその防具を宛がい、棒切れにナイフを括って即席の槍を作った。今にも壊れそうな防具を申し訳程度に着けた急所の他はむき出しのままで、身を守るには全くと言っていい程心許ない。強大なドラゴンと、万全な装備ですら勝てるかどうか分からない強敵と、こんな粗末な装備で戦わなければならないのか。だが、ここで引き下がってなるものか。何としてでも「竜殺し」の称号を手に入れてやる。むしろ、余計なものがなくて動きやすいくらいだ。

「これだけあれば、十分だわ」

彼女はそう独り言ちて、ドラゴンとの絶望的な戦いへと歩みを進めた。この戦いの後、ドラゴンの血を浴びた彼女がビキニアーマーで覆われた部分を除いて不死身の身体になったことはまた別の話である…

あぁ^~たまらねぇぜ。

また大前提として、そもそも主人公の装備は物語において右肩上がりに強化されなければならない、という決まりはない。要するに、最初は完全武装していた主人公が最後は素手でラスボスと殴り合うアレみたいなもんである。

みんな大好きコマンドーを思い出してほしい。シュワちゃん演じるメイトリックス大佐は、最初はどんな装備でアリアスの島に乗り込んだだろうか?最後はどんな装備でベネットと対決しただろうか?

そう考えると、あながち変な演出でもないのではなかろうか。

ゲーム作品においてこのような展開を取り入れるのは若干難しいところではあるが、これもやり方次第と言えるだろう。

例えばRPGにおいて「世界に散らばるnつの伝説の武具」と言ったようなよくある形で最強装備の存在が仄めかされ、それを集めることを当面の目標として物語が展開するとしよう。その過程でプレイヤーはその最強装備がラスボスに対抗するために必要なものである、という認識を抱くだろう。
そこでこれから最終決戦、というタイミングのイベントで最強装備が失われ、代わりに与えられるのは無いも同然の貧弱な装備(=ビキニアーマー)、といったようなシチュエーションがぶち込まれれば、その展開はプレイヤーの認識を裏切る衝撃的なものとなり、同時にそれでも諦めない主人公のタフさを強く印象付けられることとなる。
その後、ラストダンジョンの前半部分は装備の性能に頼らずに突破せねばならず(メタルギアソリッド123の脱獄イベントやANUBIS:ZOEのダメージドジェフティ、アーマードコア6のチャプター5冒頭のように、装備を失った状態、あるいは大幅に劣った装備で攻略しなければならないというイベントそのものはゲームでも見られるものである)、後半のイベントで本当の最強装備として、満を持して本稿で述べたようなスーパー系ビキニアーマーが与えられ、それと共にラスボス戦に挑むこととなる。

さぁ、どうだろうか。

また、ゲームの続編あるあるの前作で最強だった主人公が弱体化する展開と絡めるのもアリだろう。「ごめんね、ロックの装備全部売っちゃった」じゃねえんだよ!!

全てを失って裸一貫からやり直さなければならない主人公の状態を、これでもかと言うほどに雄弁にアピールしてくれることだろう。

想像してみてほしい。


かつて世界を救った勇者。
旅を続けていた彼女は、何者かに襲われて意識を失ってしまう。
気付いた時には、辺境の村の宿屋に担ぎ込まれていた。行き倒れていた彼女を、村人が救ってくれたという。
不運なことに、彼女が愛用していた装備は全て持ち去られていたという。
魔王を倒した伝説の聖剣もだ。
しかも何らかの毒を盛られたのか、身体も本調子が出せない。
代わりの装備を調達しようとしたが、満足に金もない今の彼女が手に入れられた装備は簡素なショートソードと木の盾、そして貧相なビキニアーマーだけだった。こんなものでは、間に合わせにすらならないだろう。

かつてあらゆる敵を打ち破り、世界を救った英雄には似つかわしくない、
あまりにも貧弱な装備。
しかし彼女は諦めない。襲ってきた敵の正体を突き止め、伝説の聖剣を取り戻すため、彼女は裸一貫からの出直しを決意する。

そして、冒険の「第二幕2」が、いま始まる。

おぉ良いカッコだぜぇ^~

ビキニアーマーはどこまで行っても、どんなに理屈を付けようと、所詮裸だ。「裸」という究極のファッションにより、主人公は何も身を守るものがなく、その身の他には何も持たないドン底に追い込まれたことを受け手に突き付けるのだ。

ビキニアーマーは、そのドン底から反撃する装備だ。

強そうな装備に身を固め、それだけで勝った気になっている連中に裸一貫で噛み付き、キャン言わせてやるための装備だ。

◆一応設定的利点.  神は言っている、一番いいのは無いと


利点1.  装備できる。

以上。

嫌なら全裸で戦えよ。

一応真面目な話をしておくと、これまでに展開したビキニアーマー考察ではあえて伏せていた前提がある。それは「作中のキャラクターはその能力を発揮しうる、戦う状況や環境に合致する適切な装備を選択する余地がある」という前提である。これからメスを入れるのはこの暗黙の前提だ。

先の章でもコストに関する非対称性について触れたが、重装備の鎧であれば高価であるが故にそれに見合う利点がなければ装備されることはない。しかし、安価なビキニアーマーであれば利点に関係なくそれを装備せざるを得ない、というシチュエーションは生じ得ると言える。

例によって現代兵器に例えるなら、世界のTOYOTAその辺の民間車両に武装をポン付けしたテクニカルのようなものだ。無論、兵器として見れば本格的な戦闘車両には劣るだろう。だが俺にはこれしかないんだ。だからこれが一番いいんだ。

また、その作品の対象年齢にもよるがファンタジー世界ではやたらとキャラクターの衣服、装備に対する攻撃力がインフレしている。相手の服だけを器用に斬ることができる剣豪、エログッズとしてよりもむしろ非致死性兵器や医療用途への活用が期待される服だけ溶かす薬品、徹底した不殺主義を貫く溶解スライム、夢いっぱいのギミックがひしめくエロトラップダンジョンetcetcetc…男ってのはね、こういうの出しておけば喜ぶんだよ。ってグロ中尉が言ってた。むふ~。

そもそも、ファンタジーに限らずバトル要素を含む創作物においては、キャラクターの衣服が破れたり、装備が破壊されたりすることは男女を問わず、ダメージ表現としてよく用いられるものである。耐久力はこれまた作品の対象年齢次第と言えるが。
極端な流血や人体の破壊といったようなゴア表現を伴うことなく、身に着けているものを失うという形で視覚的に分かりやすく、それでいて死亡や四肢切断、後遺症が残るほどの重傷などの不可逆性を伴わないため、ダメージ表現としては実際便利なのである。

そして現実の中世同様、衣服や武具はおいそれと代わりを調達できない貴重なものであるとしたならば、そもそも万全な装備で戦うことができる状況の方がレアケースなくらいであり、アテナ姫やアーサーのように十分な装備がない状態、最悪それこそ裸に近い状態でも戦わなければならない場合も想定しうる、と言えるのではないだろうか?そこに装備がなければないですね(ダイソー店員)。

特にエロトラップダンジョンのように装備の損失が半ば前提となる場合、そこに一張羅の最強装備を着ていくのはどう考えてもバカのすることである。どうせETDに行く時点で綺麗な身体では戻って来れないんだし。

そもそも論の連続になってしまうが、現実に存在した古今東西の戦士の中で「万全な装備」で戦うことが出来た者が、期待する通りの装備を身に着けて戦場に立つことが出来た者が、果たしてどれだけいただろうか?

例えば、古代ギリシャのポリス、及び共和制初期のローマにおいて兵士の装備は各人がその財産に応じて自弁せねばならなかった。まともに装備を買えないような貧しい者は、投石器だけを手に戦場に向かったのである。

中世にしても先の章でビキニアーマーと熱い戦いを演じてもらったプレートアーマーくんは極めて高価なものであり、下級兵士にとってはまず手が出ないものであったことは間違いなく明らかだ。さらに当時の最下層の徴集兵ともなれば、装備はおろか戦地までの旅費すらも支給されなかったために着ている服すらも売って路銀に変え、裸でやって来た者すらもいたという。

コイツ等に比べたら、程度にもよるがビキニアーマーでもあるだけマシと言えるだろう。

装備の利点がどうのこうのというのは、あくまで装備の選択肢がある状況での話だ。何もないのなら、裸をユニフォーム、裸足をスパイクにしてファイトひとつを装備に戦わなければならないのである。

また、先の章では所謂「身軽で回避に優れる方が強いのでビキニアーマーが最強」理論は厳しい、という考察を展開したが、その点もこの路線なら無理なく消化できる。粗末な装備で絶望的な戦いに挑まなければならない恐怖を打ち消すため、本当はこちらこそが優位なのだと半ば自分に言い聞かせるようにして言っていることにすればいいのだ。それこそプレートアーマーのような強力な装備に身を固めた敵の前に、裸同然の無防備な姿で立てば足は竦み、戦う以前に圧力で半ば圧倒されてしまうだろう。だが、優位にある敵に対してジャイアントキリングを狙うなら、自分が相手より弱いと思ってしまった時点で既に負けである。たとえそれが屁理屈みたいなもんであろうが、とにかく気持ちで負けないようにマインドセットを整えることは十分理に適っている。たとえ何も持っていなくても、闘志を持つことはできるのだ。


おわりに


長々と書いてしまったが、ビキニアーマーに関する考察は以上となる。すげぇな、後編だけで俺の卒論の字数超えちまったよ!

こんなクッソ長い怪文書に付き合って頂けたとしたら、本当に感謝を禁じ得ない。

この拙文を通して、ビキニアーマーが皆様の槍(意味深)を研ぎ澄ますためのオカズに留まらず、想像力をより膨らませる一助となることが出来たのなら、これほど光栄なことはない。

いつも心に、ビキニアーマーだ。

1st Lt.Gros

※見出し画像は「みんなの着せ替え!」を使用して制作しています。


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