びじゅチューン礼讃

びじゅチューンって井上涼さんが全部作ってるっていうからなんとなく言い出しっぺも彼かと思ったらそんなことはなかった。DVDのあとがきに書いてあるのだけど、プロデューサーからの依頼があって着手したもので、最初はたくさんダメ出しがあったそうだ。私はこういうものの作り方というかでき方がわからないのだけど、そういうものなのだね。

で、プロデューサーは倉森京子さん。日曜美術館や美の壺のプロデューサー。ここにインタビューがあります。びじゅチューンのことも触れられている。
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2017/06/nhk-nichibi-kyoko-kuramori-tokyo-art-goer-research.html

以下抜粋。

あの番組は、アーティストの井上涼くんが「テクネ」に登場した際に「小人ピザ」という謎の歌を映像に合わせて作ってくれて、それが頭から離れなかったことから生まれました。そこから、こんな歌をお子さんが歌って、いつか美術や歴史を勉強したときに思い出し、本物を見てみようという気持ちになったらいいなと。題材としては、「日本」と「西洋」、それに洋の東西問わず「立体」という三つのジャンルが均等になるように作っています。1年くらいでネタが尽きると思っていましたが、尽きないですね。

そういう狙いね、よくわかる。そして、自分と同じように子ども美術に興味を持たせたいという親のエゴ丸出しの私にぴったり。びじゅチューン、そういう「子どもに見せたい」の視点がなかったころに見たときはあまり私の心に刺さらなかったのだけど、その視点をもって見るとこんなすばらしいコンテンツはない。そしてよく見ると大人が見ても作品としてちゃんとおもしろい。

最初に気に入ったのは「委員長はビーナス」で、次は「風神雷神図屏風デート」、「夢パフューマー麗子」、今のマイブームは「富士御神火文黒黄羅紗陣羽織」。ジ・ン・バ・オ・リ!に出てくる暴龍鶏王って、難陀龍王みたいに実在?する仏教のキャラの一種かと思ってググったらでてこない。なるほど、井上涼の創作であった。ボルケーノ、ね。おもしろいじゃないか。

どうでもいいんだけどちょいちょい適当な情報をはさんでくるのもご愛嬌。陣羽織!は秀吉が着たものなのに「我が家の将軍様が」と言ってみたり。

びじゅチューン、海外展開しないのだろうか。海外でもウケると思うんだけど。ただ、ネタが日本文化に寄りすぎてて理解しにくい点はあるかも。保健室とか学級委員長とかそういうの、海外の方にわかるかな?わかるか。

びじゅチューンの作品自体が現代アートととして評価されてもいいのではないかと思う。過去のアートを現代の文脈に照らして再解釈し、音楽とアニメーションで表現したもの。そういうつもりで作られてないからこそおもしろいのだろうけど。

#アート

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