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2. 病気になるのは、それだけで本当に大変なことⅡ~看護師のキャリアによって、病気の見え方が決まる



初めての有料記事配信にあたって

Noteマガジン<看護師を長く続けてわかること>の記事も今回で3本目となります。今回から初めて有料設定をしますが、書きながらドキドキ。私自身が有料記事って買い方がよく分からず、敬遠してしまうので………。

そんな方が困らないよう、無料部分で概要が掴めるよう、設定しておきます。そして、いずれすべての文章を1冊にまとめてお届けできるよう、がんばります!

慢性疾患と急性疾患

「病気になるのは、それだけで本当に大変なこと」。私がそのように言う時の「病気」とは、どのような病気なのでしょうか。

病気には大きく分けて、慢性疾患と急性疾患があります。慢性疾患については、世界保健機関 (WHO)が「長期にわたり、ゆっくりと進行する疾患」と定義していますが、急性疾患は定義していません。

私にしっくりくるのは、慢性疾患は<すっきり治らない長わずらい>。一方の急性疾患は、<長くとも月単位ですっきり治る病気>。そんなイメージで、慢性疾患と急性疾患を捉えています。

また、同じひとつの病気でも、急性期と慢性期を移行する症例もあります。統合失調症を長く患いながらも落ち着いている人が、急に妄想が活発になる場合、それを急性増悪(再燃)と呼び、急性期の治療を要します。

これとは別に、急性疾患が慢性疾患の経過をたどる場合もあります。新型コロナ感染症は、基本的にはウイルスの活動性がなくなれば、治癒する病気です。しかし、重症化して肺のダメージが残る場合や、軽症に経過しても、さまざまな不調が長くが残る場合があります。

このように、急性疾患と慢性疾患はすっきり分けられるとは限りません。基本的に、慢性疾患はなるべく急性増悪をさせないように。急性疾患は慢性化しないようにするのが、治療の目標です。

ちょっとややこしい話しになりました。言葉の説明になるとついしつこくなってしまいます。病気と一言で言っても、いろいろな経過があり、一筋縄ではいきません。そのあたりが伝われば幸いです。

慢性期と付き合うキャリア

看護師が働く場は多様で、そこにはいろいろな健康状態の患者さんがいます。以下に私のここまでのキャリアをまとめた図を載せておきます。


ちなみに、私が「キャリア」という時の「キャリア」は、「私が選んできた経歴」という程度の意味合い。働きながら学んできた経過もあるので、職歴と学習歴両方が書いてあります。

私が看護師になって最初に配属されたのは内科病棟でした。

今更ですが、内科とはどのような診療科かというと、ずばり、手術をしない診療科。逆に手術をするのは外科で、脳外科、消化器外科、というように扱う臓器別に分かれています。

同様に、多くの病院では内科も、消化器内科、循環器内科というように分かれていて、内科系、外科系というような言い方をします。

内科病棟のあとも、私は外科系と全く縁がなく、よって、手術を受ける患者さんとは無縁に働いてきました。

一般に、仕事の専門性が高いほど、知っていることと知らないことの差は開くものです。これは医師を考えればわかるでしょう。がんセンターで働く医師は、がんのこと以外の知識は乏しいのが当たり前。逆に、いろんな病気を見る市中病院の医師は、広く浅い知識が求められます。

私の場合、がんセンターほど専門性の高い職場ではなかったので、いろいろな病気をみてきました。それでも、手術をしない、長わずらいの患者さん多く、そのため、「病気は治らない」という感覚がとても強いのです。

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