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【読書】松村涼哉の 監獄に生きる君たちへ を読む

監獄に生きる君たちへ
松村涼哉
2020年12月25日発行

良い
殺人ミステリー仕立てで読ませてくれる児童福祉問題といった感覚の小説
過去の苦しみを背負ってはいるが未来に向けて前向きになれる子供たちを期待させてくれた
気持ちの良い締め括りになっている

万引きを繰り返す子供、暴力を繰り返す子供、両親の喧嘩を見続けてきた子供、親が離婚して片親に暴力を受ける子供、親からの性的暴力を受ける女の子、先生から性的嫌がらせを受けた子供、親の生活力がなく汚ない部屋で暮らしている子供、、、
団地の小学生たちを連れて夏休みに旅行を計画した児童福祉司の女性が宿泊先で崖から落ちて死んだ
旅行に行った子供たちが年を経て、高校3年生になった時に、その事件を解明しようと集まる

実際に児童相談所への相談件数は、この20年間で14倍以上に増えている
対応する人員が増えているわけではない
🔹2000年   36,200件
https://www.stat.go.jp/data/nenkan/back61/zuhyou/y2028000.xls
🔹2020年   527,272件
https://www.stat.go.jp/data/nenkan/72nenkan/zuhyou/y722322000.xlsx
☆総務省統計局統計データより

子供たちが、ひとりひとりの置かれていた当時の状況や抱えていた苦しみを語り、児童福祉司が亡くなった日のことを語る
もし殺人であれば犯人は集まった者の中にいる
何度も、矛盾点を指摘し合い犯人に辿り着く
同時に、児童福祉司が子供に向き合っていた本気の気持ちが改めてはっきりと描き出される

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