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【読書】田坂広志の 死は存在しない を読む

死は存在しない
田坂広志
2022年10月30日発行

ゼロポイントフィールド仮説というものを軸に生と死を科学的に説明しようとしている
シンクロニシティやコンステレーションなどの
神秘的体験、不思議な現象を説明できるかもしれないとする

宇宙のインフレーション理論は量子真空から始まる
その中のゼロポイントフィールドに波動情報として宇宙の出来事の全てが記録されているとする仮説だ
起こりうる未来の情報も含まれる
著者は波動干渉によるホログラム原理で記録されているとする考え方に合理性があるとしている
量子的な場なのでエネルギーの減衰が起こらないので情報が永遠に残り続けるのだという

量子物理学では物質は全てエネルギーであり波動だとしている

古代インド哲学のアーカーシャという思想や仏教の阿頼耶識という意識の次元なども似た考えだという

意識の場が量子的なものでゼロポイントフィールドにつながっていたとしたら
トランスパーソナル心理学での意識世界の階層
🔸 表面意識
🔸静寂意識
🔸無意識   運気で言う引き寄せの法則
🔸超個的無意識  トランスパーソナル
     直感、以心伝心なども起こる
🔸超時空的無意識  
     ゼロポイントフィールドと深くつながり、予知、予感なども起こる

無意識では、類似情報が集まる
ポジティブにはポジティブな情報が
ネガティブなところにはネガティブな情報が集まる
フラッシュバックや走馬灯
天才やアーチストに降りてくるアイデアやイメージ
ゼロポイントフィールドとつながる能力の違い

死の問題については
死後もゼロポイントフィールドに全ての人の意識や生きた記録が情報として残り影響し合っていると言う考えを提示している

苦しみは自我意識のためであり、ゼロポイントフィールドに残る情報や記憶には自我はないので絶望も苦しみもないという
著者は物理学的に表現しているとはいえ
非常に哲学的、宗教的な論考になってきた

この超自我意識は拡大して行くとしている
ユングの言う集合的無意識であり、トランスパーソナルだという
個人から拡大して他人も含め全人類規模へ、さらに動植物を含めた地球規模へ拡大し、宇宙規模へも拡大する
エコロジーの考えなどを見るとわかりやすい

心とは生きていることの証である
宇宙が138億年かけて育ってきた宇宙意識は量子真空のゆらぎから始まった
個の意識も宇宙意識に戻って行くという
自分の可能性とは何かを問い続ける過程が宇宙の歴史だという
宇宙とは何か
自分とは何か
私とは自我意識である
しかし私とはこの肉体であると考えてしまうと死は訪れる
自我意識は宇宙意識に他ならないと気がつけば、死は存在しない
人生は宇宙の歴史の中の一瞬の夢なのだという

生きることは魂の成長があるということだ
生きることは深い意味があるということだ
一瞬の夢から醒めることを急がないでほしいという

著者は科学の知識と宗教の叡智の統合を期待して話しを締め括っている
死を語ることへのニーズはいつの世でも高いと思う
著者ならではのビジネス感覚なんだろうと思う

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