キジムナー

それが家にやってきてから二度目の夏が終わろうとしていて、三度目の秋が始まろうとしている。ふと眺めると、もうずいぶん大きくなって逞しいと、思っていた。でも気づくとすでに、弱々しい姿はもう見ていられないような感じになって、そしてそれから、葉が落ちきって、まだ陽気な季節だというのに、すっかり冬支度を始めた落葉樹のようになってしまっていた。
根が腐ってしまったのだろうか、水を含みすぎていないか確認する。
太陽光が足りなかったのだろうか、日当たりのいい窓際に置いてみる。
一日が過ぎ、二日が過ぎた、一週間が過ぎた。
元気は戻らない。心配になる、また水を少しやる。
病気になってしまったのだろうか。
瘴気を吸ってくれる植物だと聞いたことがあった。もしかすると、とても大きな災いが近づいていたのかも知れなかった。守ってくれたのかもしれないと思うと、とても心強い気持ちになり、そして申し訳ないという気持ちになった。自分のために身を挺してそれが守ってくれたと思うと、ひどく情けないように感じた。

夏二度目の夏はまだ終わってないさ、とそれは言った。
夏が好きなのだ。
初めて会ったのはまだ20代になりたての、頬がオレンジ色にてかっていた頃だった。若葉に溢れていて、太陽の光をうんと浴びて、そしてひどくおしゃべりな出会いだった。自分のことをひとしきり説明してしまうと、眠った。
時折自分勝手に目を覚ますと、好きな方角を言って移動してくれとせがんだり、ラジオの選局の主導権を争ったりもした。

初めて会った日から、色々な話をした、とても話を聞くのが上手だったし、初めての時から音色が噛み合うような気がしていた。

だから、このまま枯れてしまうことはとても悲しいことだ。
とても悲しい。


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