秒トレ行政書士を基軸にした勉強法

秒トレ行政書士を基軸にした勉強法を紹介したいと思います。

(以前も同様の記事を書いたことがあるのですが、少し時間を空けてクールダウンした状態で再整理を試みたものです。)


序 秒トレ行政書士とは?

まず、秒トレアプリとは何かについて簡単に触れます。

こんな感じの最強アプリです。

以下、具体的な勉強法を段階的に深堀りしていきます。

1 結論

必要なのは、
(1)秒トレ⇔新必修115
(2)大原トレーニング問題集アプリ⇔ケータイ六法(民法は択一六法)
(3)合格道場の記述問題
の3軸となります。以下詳述します。

2 下準備

(1)トレ問アプリの条文問題(解説に「(〇法〇条)」と書かれている問題)に赤ラベルを設定。
(2)トレ問アプリの判例問題(解説に「最判〇年〇月〇日」と書かれている問題)に黄ラベルを設定(※2)。
(3)赤ラベル問題のうち、手持ちの六法に載っていないもののラベルを外す。
(4)黄ラベル問題のうち、手持ちのテキストに載っていないもののラベルを外す。
(5)メモ機能でテキスト(択一六法)の参照ページを記入する。

ポイント1
この作業で凡そ3周程度することになります。これで試験の概要とスケジュール感を掴みます。スタートアップ系の本は不要だと思います(※1)。

ポイント2
六法又はテキストとの相互参照が必要な問題と、スマホ単体で回せる問題丁寧に仕分けます。これで可処分時間が数倍になります(とても重要)。

ポイント3
 筆者は六法の参照を最大に重要視しますが、「全ての条文問題を六法で参照しなければ死ぬ!」というレベルまでは拘泥しません。これも「六法のページをめくる」などの作業を減らし、可処分時間を増やすためです。「載っていない条文がある」という一見デメリットにみえるものを「六法との良い付き合い方」という風に意識を変えると、武器になると思います。

※1 もしトレ問の課金も躊躇されるようであれば、こちらで様子見するなどもご検討ください。

※2 黄ラベルの設定が終わったら、択一六法・テキストの判例索引に先にマークアップしてしまうのが良いと思います。その際にはこちらの記事もご活用ください。

3 やること

(1)秒トレ⇔新必修項目115

①新必修115から答えを探しながら、秒トレを解きます。またはその逆をやります。
②商法・行審・地自・一般は上記に加えて、秒トレ単体でもグルグル回し続けます。理由は後述。

(2)トレ問アプリ⇔択一六法

①トレ問を解き、六法を逐一参照する。
②間違えた問題について同様にする。
③六法が開けない時間は黄ラベル問題、ラベルなし問題を解く。
④正答率チェック機能を活用し、100%未満の問題を繰り返し解き、全問の正答率を100%にする(過去10回分の回答履歴を全て正解にする)。
⑤①~④を繰り返す。

※テキストに載っている問題と載っていない問題がランダムに混ざっている状態だと、オペレーションのリズム感が損なわれ、大きなストレスとなります。そこで、下準備で赤ラベル・黄ラベル・ラベルなしを仕分けておくことにより、テキストや六法に載っていないものを繰り返し探す時間や、オペレーションのストレスを大幅に削減できます。

※事例問題・計算問題など、紙に書かないと難儀する問題(抵当権の計算や登場人物の多い相続問題など)には緑ラベルを設定して弾いておくと、よりストレスが減らせます。

(3)合格道場の記述問題

以下の取り決めで毎日最低1問~出来れば15問程度解き続けます。

・学習初期から取り組む。
・要件を漏れなく押さえていたら△とする。
・それ以外は全部×としておく。
・全問解いたら×問題に再度取り組み、△になるようにする。
・全て△になったら最初に△とした問題も含めて同様にして繰り返す。
・1字1句違わず書けるようになったら〇とする。
・全部〇になったら〇とした問題も含めて同様にして繰り返す。

ポイント1 予測変換と回答記録がカギ
・手で書くよりも圧倒的に早い。
・回答記録がテキストのまま残るので、前回の回答と比較できる。紙による管理よりも圧倒的に楽。
・予測変換で出てくる語句は手で書いても想起できるはずなので、その点は問題にはならない。

ポイント2 記述を最初からやる理由
・要件を漏れなく押さえる意識ができます。
・合格道場くらいの問題量(一般的な市販教材の2倍以上の量があります)をこなすと、要件を拾う思考回路の癖ができます。この回路を更に強化して、トレ問アプリの解説を40字でまとめることを意識すると、セルフレクチャーとアウトプットを兼ねるため、とても強固な記憶の定着に繋がります。更に進めて、トレ問アプリの全ての問題で「記述で問うとしたらこんな感じかな?」と考えられるようになると理想です。

ちなみに、筆者はこのようにすることで、記述で56点を取ることができました(AとBを取り違えて書いてしまったことによる減点のみなので実質満点です)。

4 タイムテーブル参考

①朝一で必修115から答えを探しながら秒トレを解く。(1h)
(前日の呼び戻しを兼ねる)
②択一六法から答えを探しながらトレ問(赤)を解く。(1h)
③出発前15分は記述を1問でも良いので必ず解く。(30m)
(学習初期から必ずやる。毎日最低1問は続ける)

④通勤中、トレ問(黄又はラベル無し)をグルグルする。(30m)
⑤仕事中、トレ問(黄又はラベル無し)をグルグルする。(1~5h)
⑥通勤中、トレ問(黄又はラベル無し)をグルグルする。(30m)

⑦帰宅後、寝そべりながら、トレ問(黄又はラベル無し)をグルグルして体力を回復(※)(1h)

⑧机に向かい、時間と体力の許す限り、①又は②と同様にする。(3~5h)
(朝は思考力を要する科目、夜は作業化出来る科目にすると良い)

⑨寝る前1h程度で商法・行審・地自・一般のいずれかを1周する。(1h)
(1週間で4科目を回す。担保物権・債権総論がストレスでなくなるまで継続する。詳細は後述。)

ポイント1 商法・行審・地自・一般をグルグル回す理由

・全科目同時並行が難しい場合、秒トレだけでも非常に効率的に出来る上記4科目については、テキスト参照などを含む理解型学習をダイナミックにカットして、浮いた時間をメイン科目(民法の担保物権や債権総論など)に重点配分する。
・会社法や地方自治法は秒トレを繰り返すことで「ある日突然、全体が狭く見える」瞬間が訪れる。

ポイント2 担保物権と債権総論は止まりそうになったら強制終了&コマ分散で他科目の滞留を避ける

・例えば②と⑧の頭1コマ目25分(後述「ポモドーロテクニック」を前提にしています)は必ずどちらかをやるようにし、必ず1コマで強制終了し、
・コマ数は毎日2コマ以上設定し、週トータルでは他の科目の2~3倍の時間を設ける、などの工夫をする(下図)。
・なぜこのようにするかというと、担保物権と債権総論は、要件をスムーズに拾って正解を導けるようになるまでに時間がかかり、肢別を高速回転する際の大きなストレスになる(でも絶対に切り捨ててはならない分野である)ためです。

コマ分散イメージ
民と行に各科目バランスよく割当をして、3週間程度で全科目同時に終わるようにする
担保と債総は他科目の2倍周回するようにコマを確保しても良いと思います。

※⑦について、iPadAir・モニターアーム・MagicMouseを使えば、寝ながら快適にアプリ学習ができます。MagicMouseは無線で表面がタッチパッドになっているので布団に腕を入れたままでも操作できます(超オススメ)。

5 他教材との位置関係

(1)新必修項目115との比較

①みんほし最重要論点150

秒トレが新必修項目をベースに作問されているので新必修の方が良いです。参考に絵を載せておきます。

②解法スキル完全マスター

・解法マスターはやった方が良いと思います。
新必修項目115と全く同じ表が随所に使用されており、新必修項目にまとめられた知識と、設問の解説を繋げる暗黙知の部分を解説してくれています。
・例えば、秒トレの答えを新必修項目115から探しても「どこに書いてあるか全く見当もつかない!」というような場合は突破口になりえます。

(2)トレ問アプリとの比較

①合格革命肢別問題集

トレ問の方が問題数が多いのでトレ問の勝利。
更に、デジタル的に管理できる点においてもトレ問の勝利。

問題数については、たかぴっぴさんが比較されています。

②LEC肢別アプリ

直近1回分しか管理ができないので「間違った問題だけ繰り返し解く」という作業ができないので、トレ問アプリの勝利。

(3)5肢択一形式の演習の必要性

・5肢択一で解く練習は辞めない方が良いと思います。肢別では身につきにくい思考回路的なものは確実に存在します。
・伊藤塾の総合問題集程度は最低限取り組んだ方がよいと思います。

・iPadをお持ちの場合は、トレ問アプリをiPhoneと同期して5肢択一をやればそちらの方が良いと思います(デジタル的に管理できるので)。
・また、5肢択一においては曖昧肢に拘泥しなくてよいと思います。
→なぜなら最終的にはトレ問の曖昧肢と重なっていく(※)から。
→トレ問でやったことを引き出せるかの効果測定に使うという意識で取り組むのが良いと思います。

※ちなみにここにアプローチしたのが拙著「行政法の急所」です。行き詰まった時、もし覚えていたら購入をご検討ください。

①公務員試験の解きまくり!シリーズ

「合格道場ほどのボリュームを処理できる自信はないが、伊藤塾の総合問題集では量的に心配」という方にオススメ。

②合格道場の練習問題

圧倒的問題数。他試験種から問題を輸入しており、重複肢が緻密に整列されていて次の問題が前の問題の復習になります。同じ論点を違う言い回しで繰り返し触れることで理解していくタイプの方にオススメ。

ただし、あくまで出題範囲ベースなので「解きまくり!」よりも射程は狭いです。

トレ問の5肢択一でも十分だとは思いますが、「紙でやることのメリット」というのは確実に存在すると思うので、新傾向対策を兼ねて解きまくり!を選ぶのが最もバランスが良いかも知れません。

(4)テキストの必要性

・筆者はテキストを使用しておりませんが、法学未修者で民法の二重譲渡などの図式に触れたことが無い方は必要だと思います。
・伊藤塾の基本テキストにはミニ六法が附属しておりますので、先述のケータイ六法はコチラに置き換えて大丈夫です。
・テキストで理解しようとするのはオススメしません。
・まず、条文と問題の結びつき、判例の概要と結論を演習の中で覚えることを優先し、
・知識がある程度定着したときに辞書的にテキストを参照するのが効果的な学習と考えます。

①伊藤塾の基本テキスト

新必修項目115が伊藤塾なので揃えた方が良いです。解法セミナーを使う場合は更に。

②伊藤真の民法入門

現象を理解したいのであれば、行政書士試験向けの教材よりこちらをオススメします。

(5)判例集の必要性

・持っておいた方が良いが、特別な対策は不要。
・なぜならトレ問で自然に覚えるから。
・ただし、択一六法やテキストで「どの判例がどの単元に位置づけられるのか」は意識して勉強する必要はあるかと思います。
・特に行政事件訴訟法において次のような想起は必須かと思います。
 ・この判例は「訴えの利益」ではなく「原告適格」の判例だ。
 ・この判例は「原告適格」ではなく「訴えの利益」の判例だ。
 ・「差止訴訟」と言えばこんな判例があった。
 ・「形式的当事者訴訟」と言えばこんな判例があった。etc.

①みんほし判例集

・持っておくならばこれが便利。
・トレ問を極めた後に、多肢選択式対策としてザッと読む程度が効率が良いと思います。

(6)動画コンテンツ

動画コンテンツは時間を溶かします。あくまで最初に記載した「3軸」の時間を大事にして、動画は補充的に活用してください。

①行書塾

分からない部分だけ掻い摘んで視聴するのがおススメです。これは「分からない部分を明確にする」という前提作業を含みます。

②アナウンサーが読む法律

・耳だけ自由なときや、
・秒トレやトレ問アプリすら触りたくない時
などに活用すると良いと思います。

6 身動きが取れなくなったら過去問

 学習を進める中で、必ずしんどい時は訪れると思います。そんなときは過去問に立ち返るのがベストだと思います。そんなときに少しでもハードルを低く取り組める教材として、次の記事を執筆しました。スタートアップとしても、ラストスパートとしても、どの学習の段階においても活用できると思います。もし行き詰まった時、覚えていたらこちらもご購入をご検討ください(伊藤塾の総合問題集はこの視点で取り組んでおくと良いと思います)。

7 長時間勉強をする方法

(1)Ryuの自己管理室の「10時間勉強マシーンになれる1日スケジュール」

筆者の勉強法は先のタイムスケジュールに示したとおりですが、これを更に最適化し、言語化してくれている動画を見つけたのでリンクを貼っておきます。

(2)ポモドーロテクニック

8 「短期合格」や「記述抜き180点」という考え方について

(1)短期合格について

 地頭普通でも「4ヶ月で合格」なども可能だとは思いますが、運に依存する部分も多く、もし不合格だった場合の心身へのダメージの大きさや、再起までに必要なエネルギー、突貫工事による知識の分散のしやすさなどを考えると、1年から1年半くらいかけた方が良いように思います。これは、1年でピークを1回本試験に持っていくという意味ではありません。
 常に全力で練習するのではなく、記録を出したい大会に向けてコンディションを整えていくのと同じようなイメージで、4ヶ月を1クールとして、1年から1年半かけてピークを最低3回、最大で5回くらい持ち上げては緩めを繰り返し、最後のピークを本試験に持っていくようなやり方が再現性が高いのではないかと思います。
 ピークを持ち上げるのが1回だと運要素が強く、2回だとかなり安定し、3回持ち上げれば多少事故があっても慣性で乗り切れるレベルに持っていく、というようなイメージです。
 逆に言えば、これ以上長くなると良くないとも言えると思います(飽きる!精神的に疲弊する…)。

※ちなみに筆者は3回目の受験で合格しましたが、いずれの年も常時全力疾走に近い形で、トータル10ヶ月(2+4+4)くらいしか継続して勉強できませんでした。あまり良いやり方ではなかったように思います。

※ピークを持っていく感覚はLECや伊藤塾の模試パックで鍛えると良いと思います。筆者はLECの模試を6回受けましたが、やや多すぎる印象でした。4回くらいが丁度いいかも。

(2)記述抜き180点

 記述抜きで180点取れる人が記述0点ということは、あまり現実的ではないように思います。
 択一が合格水準に達している人であれば、記述は最低限の対策をすれば20点くらい、低くても10点くらいは事故が無ければ本来は取れると思うので、実際には択一で160点~172点くらい、記述で20点~8点くらいを見込んで、仮に大きく崩れても基準点を超えるように、トータルで220点くらい得点できるような計画を立てるのが再現性が高いように思います。
 先に示したように、秒トレで合格一歩手前の人が曖昧にしているポイントを集中ケアしつつ、合格道場で大量の記述対策を行って記述脳を作り、トレ問の記述対策化で記述脳のブレイクスルーを起こしていくのが良いと思います。
 実際に秒トレと合格道場をやってみれば、如何に知識が曖昧で、他の書籍による記述対策が如何に狭いかが分かると思います。また、トレ問の記述対策化をすれば、記述問題の素材が無限に存在することも分かると思います。合格道場の記述で問われていないところをトレ問から拾って「あれも出そうだ、これも出そうだ、あ゛~ヤバイ!」と(漠然とではなく)具体的に考えられるレベルになると、記述抜き180点も近いのではないかと思います。

9 むすび

この記事を参考に「まず行動」してみて「もっとこうした方が良いな」とか「自分にはこっちの方が合ってるな」などの発見をしていただき、自分なりにカスタマイズしていただけたらと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました。


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