教育目的なのでJASRACは楽曲を無償で提供すべきと言うご意見について

教育目的なので無償で提供すべきである、というご意見について簡単に説明した動画をアップしました。

音楽教室は学校法人ではないので教育の責任を背負っていません。教育の責任とは、この学校を卒業した証明の発行であったり、赤字でもちゃんと卒業まで授業をやり切るなど教える以外の業務を含んでいます。

なぜ学校法人がそのようなものを背負わなければならないのかと言うと、学歴は人生を大きく左右する要素の一つだからです。国としては国民の人生そのものに影響を与える物である以上、しっかりと保証しなければなりません。なので国が定める教育の責任を背負う学校法人は「教育を目的」としたと言っても問題は有りませんが、それ以外の私法人は「教育を目的」とすることはできません。

著作物は財産ですので、そういった便宜を受けられない以上は財産を持っている方の意見、意向が最優先となります。JASRAC管理楽曲の場合、信託と言う契約においてJASRACが一時的な権利者となっていますので、JASRACの意向が優先されます。

話を本題に戻しますが、教育を目的としているので無償で提供すべきであると言う意見については、別の財産に置き換えてみればその異質さはすぐにご理解できるかと思います。

例えば発表会などで遠くへ出る際に、生徒さんをまとめて移動させた方がスケジュール管理などの面でも手間がかからないので親御さんから車を調達するとします。この際、その親御さんに向かって「この車は教育を目的としたものですから無償で差し出すべきです」といって有無を言わさず持っていこうとする行為であれば違和感ありますよね。

「教育を目的としているのだから無償で」というのは本来財産を持つ側が、そういう理由であればいいですよと値引きの理由として用いる物であって、利用する側が交渉の材料として使う物ではありませんし、強硬な姿勢に出るものでもありません。財産である以上はきちんと保有者の意見を聞いて、交渉して許可を得るのが筋です。

ましてや関係のない第三者がこれを言うのはもっと違いますよねと自分は思う次第です。

著作権について触れる機会が少なく、理解が進んでいないためにこういった意見が出てくるのだと思います。動画配信などで少しでも触れる機会を作れればと思いますので、シェア、noteでのご支援等頂けましたら幸いです。


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