バンドマンはいつまでCD音源を作るのでしょう。についてkohさんとの対談書き起こし

以前撮影したdeer eats everythingのkohさんとの対談動画で是非見てもらいたい面白い所が有ったので、音を出せないなどの諸事情で動画が見れない方向けに文字起こししてみました。

CD音源に関して、我々はいつまでこれを作るのかという話題と、本人が演奏した物をいつまで録音するのか、という話題について語ってもらいました。もしよかったら元動画もご視聴ください。

ちよろ
「あの、この話はするつもりなかったんですけど。CDって僕らいつまで作ります?」
米丸
「まためんどくさい話をw」
ちよろ
「これね、ほんとに聞きたいんですよw やっぱり、交流のツールと言うか切っ掛けとして、メンバーとしゃべりたいですとか、そのCDっていうモノにお金を出したいですってお客さんは一定数要る訳じゃないですか。ってなってくるとCDを作らざるを得ない面はあるんですけど。これを僕らはホンマに、いつまで作るんやろうなって言う所は、もの凄く僕興味あるところで」
koh
「結構音楽の仕事も関わってはいるんですけど、もうCDって僕は個人的にはもう作らなくて良いものだと思っていて」
ちよろ
(笑)
koh
「物を作る意味がいまや無いんじゃないかなって。結局のところ音源のセールスで動いてるお金なんてほぼ知れてるので。ある程度メジャーでやれてるバンド。僕の知り合いとかもそうなんですけど、フェスティバルホールで埋まるぐらい。大阪城ホールでやれるような所でも4万枚ぐらいなんですよね」
米丸
「うーん……」
koh
「4万とか5万ぐらいなんですよね。それもDVDつけて。初回で2万5000枚ぐらい売らないと……っていう。DVDをつけるって事で商品単価を上げる、客単価を上げる方向しか今もう無いので。その代わりプレス代はどんどん下がってるし、撮影技術も値段が下がってるので。逆に特典を付けやすくなる、っていう所でセールスをギリギリ保ってる。でも音源のお金で結局稼げてないんですよね。てことは何でやるかって言ったら、ライブの収益と、物販なんですよ。だから物販買った時点で……今ここの仕組みが進化してないから駄目だと思ってるところがあって……。iPhoneとかAndroidとか、QR読んだだけで音楽プレイヤーの中に入らないとダメなんですよ」
ちよろ
「うんうんうん!」
koh
「これが、今できてないから、ギリギリCDが保たれてて。だからCDを無くそうと思ったらそれをやれば終わりなんですよ。で皆わかってるんですよ。音楽業界の人は多分解ってる。けど、それをやってしまったらCD屋っていうものが存在できなくなってしまうから。そう言った意味でやってないのは、僕もなんとなくは見えてきてはいるんですよ。んで、自分家もCD無茶苦茶あったんすけどw」
米丸
「ミュージシャン皆そうやねぇ」
koh
「とりあえずiTunesとり込んじゃえば……僕最近AndroidにiPhoneから変えたんですよ。でもApple musicがあるんですよね、アプリに。てことはiCloud ミュージックライブラリから全部移ってこれるんですよ。アプリダウンロードして、Apple ID入れれば、前に聞いてたやつネットさえ繋がってたら聞けるんですよね」
ちよろ
「あ、そうか。クラウドやもんね」
koh
「もう入れちゃえばずっと聞けるんですよ。てことはCD持っとく意味が……」
米丸
「無い。無いんですよね」
ちよろ
「……ってなると、僕らは物販で何を売ったらいいの?w」
米丸
「ww ……あ、だから、今、まだ今はですよ。うちの貴将が言うには……まぁうちはCDじゃなくて「手裏剣」やけど、要するに物販に売ってるCDっていうのは音楽を聴くために買うもんではなくて、ライブというお祭りに行ってきたお土産なんですよ、いわば。それ自体で音楽を聞こうと言うんでは無くて、例えば写真がついてる、歌詞カードがついてる、なんかこう…………彩られた物。その人らの色に彩られた物として持っとくと言うような……なんかよく解らんグッズで、それでいいと。」
koh
「……CDと同じぐらいの値段まで物販下げちゃえばいいと思ってて。物販プラス、ダウンロードできるカードが付けれるのが俺としては理想かなと。実はもう2ndって録ってあって。けどCDを出すつもりが無くて。どうしようかなぁってずっと思ってるんですよ。」
米丸
「あー、CDにするかぁ? っていうところで止まってるんですね」
koh
「そうです。CDにする意味が無いっていう。CDを買ったところで一回取り込んだら終わりだと思ってるんですよ」
米丸&ちよろ
「うん」
koh
「そういう物に対してお金を払ってもらうっていうのは、お客さんに対して僕の中では失礼やなと思っていて。自分たちのプラスになる、でしかないんですよね。お客さんとしてはそれを買ったところで……僕、結構もう家に物起きたくないって、最近凄く思ってて。」
ちよろ
「わかる!ww」
米丸
「んー。皆、断捨離、断捨離やねんな」
koh
「物を減らしたいんですよ。そうなると邪魔なものでしかないんですよね。聞くもんってパソコンから聞けるし。今Macなんですけどスピーカー自体悪くないんで。別にMacで聞いても嫌なことないんで。昔は、CDプレイヤーで聞いてたし、CDが無いとカセットに取り込めなかったし。……だからこそCDって言う物が凄く大事だったし、CD-Rが焼けるっていう友達が学校に現れたときにこいつマジ神やなと」
ちよろ
「www」
koh
「そいつに、TSUTAYAで借りてきた金額+1000円出して、僕CD-R焼いてもらってたんですよ」
米丸
「はいはいはい」
koh
「いまだにちょいちょい残ってて。それはまぁほかせなくて持っていこうかなと思ってるぐらいなんですけど。歌詞カードも表裏だけカラーコピーして。中だけは白黒にして。で、裏面もちゃんとコピーして。自分で、ちゃんとプラケースに入るようにCD作ってたんですよ。モノがちゃんと欲しかったし。モノがないと今後聞けなくなると思ったんです。」
米丸&ちよろ
「うん、うん」
koh
「でもAndroidに今移って、iPhoneでずーっと溜めてきたものがこれだけ手軽に全部、この中で聞こうと思えばアクセスできてしまう。数秒待てば鳴ってくる」
米丸
「そう」
koh
「って思うと……CDを持ってる意味って何なのかなって」
米丸&ちよろ
「……うん」
koh
「もう車で聞けるからって名目ももう無いじゃないですか。ってなったらほんとにCD作る意味ってなんなの……?」
米丸
「……無いでしょう……?」
koh
「CD屋さんとCDのプレス屋さんが生きていく為だけになってしまうから、それをお客さんに払わせるのは……ほんとにダウンロードしたら終わりやから。で、ダウンロードコードとかが凄くややこしいんすよね、まだ。」
米丸
「今はねぇ。うん」
koh
「QRコード読んだらiPhoneのプレイヤーに入るとかそういうことはまだ出来てなくて。ほんとは多分出来るんやろうなーって僕心の中では思ってますけど。それをしてしまったら終わるので」
米丸
「なんとなく皆しないんでしょうね。誰かやるやろうなーとおもってw」
koh
「今回音源を作るときに調べたんですよ。実は。そういうのが出来ないかって。でもそれをやれる仕組みが無いんですよね。QRコードで音源をつける事は出来ても、携帯だけで音源がプレイヤーに入るっていう、完結できるようになってないんですよ未だに。」
米丸
「あー。すぐできるやろうに……多分仕組みとしてはすぐできるでしょうね」
koh
「プレイパスとか最近あるんですけど、CD買ったらQRコードを読んだら、そのアプリさえダウンロードしてればそのアプリで聞けるって言うような……でもそのアプリが要るんですよね。てことは、いつものプレイヤーと混ぜて自分が好きな曲と一緒にプレイリストに入れる事は出来ないし、好きな曲として、自分がいつも聞くところに入れる事は出来ない。って言うのがやっぱり違和感を感じる所ですね。で、プレイパス自体もミュージシャン側から作ろうと思ったら、そのQRコード一個作るのに3ヶ月で何万っていう話になってくるような話なので」
ちよろ
「ほぉ」
koh
「その取り方っておかしくね? って。コード作るだけじゃん? って」
ちよろ
「そんなコストかかる話じゃないですからね。サーバー……維持費にしたってそんなかからへんやろ」
koh
「そうですね。某社でQRコード作る、カードを作りますよって話を聞いてもまぁまぁ高かったんで。……それじゃ意味ねぇなっていう。でも、音楽が手軽に手に入るようになったからこそ……昔はイヤホンをして電車に乗ってる人の数が少なかったなと僕思うんですよ。でも、携帯に音楽プレイヤーがついてるから、音楽やってるって言った時に……結構長くやってるから思うんですけど、バンドやってるって言ったらそうなんだ、私あんまり音楽聞かないからって大体言われてたんですよね。でも、そうじゃなくて、みんな何かしら聞いてるんですよ。でもCDの売り上げが凄い下がってる。でもライブは人入るようになってるんですよ」
ちよろ
「うん」
koh
「ある程度のバンドが再結成する理由っていうのもライブで稼げるからですよね。新しく音源出さなくても、ライブやれば昔の曲が好きな人が皆来て、それだけで収益上がるんですよ。ってなったら音源作る意味って何? ってなるので……。そこは僕すごい喋ってみたいなと思ってた話なんでw」
米丸
「ほんまにね……この件……w でももう答出てるよね?w」
ちよろ
「出てるんですw 答えは、もうw」
米丸
「実は……w 過渡期やからまだ話になるけど」
ちよろ
「そうそうそうそう。僕、これ凄い聞きたいのは、どこのバンドさんもどのくらいまで悪あがきするつもりなんかなっていう風なのが……w」
米丸
「ふふふふふふw」(苦笑い)
ちよろ
「ふははははww」(苦笑い)
koh
「早く手放してやりたいなって思う所は結構あって。レコード屋さんのインディーズバンドに対するスタンスとかも変わってこないと……僕はもうこれ以上CDを意味はマジでないなと思ってて。タワレコのバイヤーとか、nimのCDを出すときに話すんすけど、……バイヤーの機嫌取って置いてもらうってどういう事なんやろなって」
ちよろ
「あー」
koh
「ある程度知名度が無いと枚数は取らないし、インストアやってくれないととかそういう条件を付けられたりとか。んー、でも、君ら食えてるのってこっちが出してるおかげやしなっていうってとこは思うし」
ちよろ
「wwwww」
米丸
「うぅん……」
koh
「ミュージシャンがいないと成立しない仕事であるはずやのに、ミュージシャンより立場上で喋るのってどうなのかなって思ったりはするし」
米丸
「そうやね……だって、CD屋って一番危なない?」
koh
「そうですね」
ちよろ
「もう崖っぷちですよ」
米丸
「僕らバンドマン、ミュージシャンは売り先、商品の形を変えるって言う方法があるけど。CD屋って一番危ないやんか。一番先細りしてるやんか」
ちよろ
「技術的にはもう蹴られるところですし……正直言うと」
koh
「だから、っていうスタンスで未だにやってるところにやっぱり違和感を感じるんで。早くこう、違う方法が出来てしまわないかなっていう風に感じる部分はあります」
ちよろ
「いいよいいよw 面白くなってきたよw」
米丸
「面白いねぇ……。とはいう物の、今でもこう、ぺりぺりってこう、買ってきたCDのキャラメル包装を取ってお皿に置く、あの時の高揚感が何とも言えんっていう人がまだまだおって。そこはねぇ、なんというか無下にしたくないっちゅーかねぇ?」
koh
「残るとは思うんですよ。どうしても昔の音源を聞こうと思ったら中古しかなかったりとか」
米丸
「あ、そうね。特に僕らみたいにあまり知られてない音楽聞く者としてはねw」
koh
「AとかHとかは難しくなってくるなと思ってて。ディスクユニオンって結構中古やってたりして、そういう意味では賢く生き残ろうとしてるなっていう感覚があったりとか。中古ってやっぱり、最終骨董品と一緒でなくなってこない気がしてて。そう言う意味でも音源って大事なのかなとは思うけど、今、わざわざ作る必要あるかと言われると、無いよなと」
米丸
「ちゃんとシビアにビジネスに考えたときに、どうしても除外されてくるよね」
koh
「そうっすね。あとレコーディング技術がどんどん上がってて。僕、最初にテープ撮った時……昔だからテープにしか取れないんですよw で、レコーディング出来上がったCD頂くじゃないですか。1分半の曲を4曲入れて、これで40万ぐらいかかったんですよ。レコーディング。それでも……僕が14の時なので今から20年ぐらい前なんですけど、それでも結構安く録れたねって言われたぐらいの感覚だったんですよ」
ちよろ
「へぇ〜……!」
koh
「てことはレコーディング自体も、家でできるようになったり……皆ミュージシャン、もう家で録って、ボーカル家で録ってってバンドとかもいっぱいいるし。それが、もうちゃんとセールス出来る音源になる世の中で……わざわざっていう……」
米丸
「そう……まぁ、そうね。何というか、簡単にできるよね。CDってね。今もうレコーディングって凄いんでしょ。家で全部できるでしょ」
koh
「だって、家でプロツールス使えるとは僕15年前思えなかったです」
ちよろ
「高かったからねープロツールス出た頃は。文字通りプロのやつやからね」
koh
「バイトは音楽関係のバイトというかPA会社でバイトしてたので、高校生から。プロツ入ってきてテープで録らなくなってることに、僕その時代に立ち会ってるというか……ミスってもこんなすぐ……直せんねやってw」
ちよろ&米丸
「そうそうそうw」
koh
「これで行けちゃう……テープの時なんか、それも最初に録った時なんて全部に楽器にマイク立ててボーカルも鳴ってて、モニタースピーカーで返されての一発録りやったんですよ。それをミックスするって、何かやることある? って今やったら思いますよね」
米丸
「wwww」
koh
「それでもそれぐらいレコーディングっていうことは皆出来るもんじゃ無かったから。エンジニアもお金取れたし。まずテープの機械自体クソ高かったから……卓も凄い高いし。だからしょうがないとは思うんすよ。あの頃だったら。でももうデスクトップじゃなくても、もうノートパソコンで出来るじゃないですか。何やったらiPhoneで出来る」
米丸
「出来るw 今あるでしょそういうのね。……GarageBandか」
koh
「てなったら、めちゃくちゃ気軽に作れるようになってしまってるからこそ、音楽の価値をある程度持たせるって言う意味で考えなあかんなと」
ちよろ
「あの……もう一個ややこしい話聞いていいっすか? 僕らいつまで人間が演奏した音源を録るんですかね……?」
米丸
「あー、でもね。これは……あのね、CDにしてもそうやけど、先細りはしてるけど細り切った先に残ってると思うんやんか。そのへんどう思います?」
koh
「えと、僕結構、答えこれは持ってて。人間が叩くのって、ドラムとか特に、楽器もそうなんですけど同じ音符がこうあったとしたら、人のクセでここで当たる人ここで当たる人(ちょと前、ちょっと後ろのジェスチャー)……丸が一個あったらここで当たる、ここで当たる、後ろで当たる人、前で当たる人、ドラムなんか特にあるんですけど、それに対して楽器を乗せていくと絶対にグルーヴが違うんすよね」
米丸&ちよろ
「うんうんうんうん」
koh
「だから大雑把に丸を付けるか、個々に細かくニュアンスをつけるかって言う所は人間にしかできないし、ある意味そのヒューマンエラーがあってこそ、面白いものになると思ってるから。だから、打ち込みだけでは絶対に鳴らせない音楽があって……最近僕、凄いRIDDLEって言うメタルメロコアみたいなバンドが凄い好きなんですけど、そのバンドがギターとドラムが抜けたので、双子なんですけど、その双子だけ残ったからバンドを3ピースでやったと。で、サポートをドラムを入れる。でも、音源は打ち込みで二人だけでやるっていう形で音源リリースして、最近RIDDLE自体もメンバーが入って復活したので、その時の曲録りなおしたので打ち込みで録った曲と、今ドラムを入れて録った曲で聞き返す機会が実はあって。全然こうスピード感がやっぱり違うんすよね」
ちよろ
「スピード感」
koh
「人が叩くと、やっぱりオカズが終わった瞬間にちょっと加速するんすよ、ツービートに入るタイミングとか。それって……すごく上手いドラマーだし本当にしっかりプロで何年もやってきて、クリックからズレるようなドラマーではやっぱりないし、ズレてはないんですよ。でも、その勢い感は、どうしても人じゃないと出ないですよね」
米丸
「うーん!」
koh
「特に、これ僕はドラマーやと思うんですよね。楽器を弾いてる人間が居ないとやっぱり成立しないし、その感動を与えれない部分があるので。まぁここに関しては絶対に無くならない物がライブ、で無くなっていくものがCDやと俺は思ってて」
米丸&ちよろ
「あー、うんうんうん」
koh
「だからライブのクォリティが低いバンドに関してはやる意味がほんとに無いと思うし。ライブのクォリティは上げる意味で、ライブを紹介するために音源を作るって言う感覚でしかないので。わざわざ盤を作る意味が解らない、って特に感じる。っていうのが全部繋がった結果……」
米丸
「なるほど……綺麗にまとまってますなぁ……!」


補足
 RIDDLE
 http://www.riddle-web.com/


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