JASRACと音楽教室の裁判について。楽譜購入時に著作権料は支払っていません

音楽教室から徴収を始めるとのニュースが有った際、よく出てきた批判が「楽譜購入時に著作権料を支払っている」という主張でした。実は購入時には著作権料を支払ってはいないので、その点をご説明させていただきたいと思います。

1.原価である
2.書店は著作権料を受け取れない
3.出版社が受けた許可は複製権

原価である

 楽譜の場合、製本時に著作権料を支払い済みです。その後は出版社の売り上げ、卸業者の売り上げ、各書店の売り上げです。著作権料と言う名目では払い済みですので、書店で何部売れ、何部返品があろうとも著作権料としては動きません。重版があればまたその重版時に大きく動くだけとなります。

書店は著作権料を受け取れない

 著作権料はそもそも許可を得るための対価として支払うものです。書店で購入時に著作権料と言う名目で支払った場合、書店が著作権に関する何かしらの許可を与えたと言う事になりますが、著作物に対する上演や複製に対する許可を出す権利は著作権者のみが有するものですので著作権料という名目ではお金は動きません。ただの売上です。
 もちろん、楽譜制作時に出版社が得た複製権の権利が動いていると言うことも有りません。それは出版社に出された物であって、購入された個人には出されていません。よって楽譜のコピーは原則としては厳禁となっています。

出版社が受けた許可は複製権

 払っていなくとも原価には含まれているというご主張を認めたとしても、そもそも楽譜作成時に支払っているのは複製権ですので、音楽教室で争点となっている演奏権は含まれていません。出版時点で払っていない著作権料ですので演奏権については原価にも含まれていません、と言う事になります。

補足

 そもそも原価にすぎない物に対して、原価に含まれているから私はその権利を得ていると言う主張に違和感が無いのかなぁと感じます。その主張が通るならば、例えば結婚式で働いているスタッフの方々の給料は、当然原価として結婚式代に含まれています。なら、その日のスタッフの給料は私が払っていると言う主張が通り、その日、全く関係のない新郎新婦が普段会社でやっている業務をやらせる権利が発生しますかね? しませんよね。

 原価はあくまでもお店側、業者側が処理する内容にすぎません。そこで完結する物です。利益をいくら上乗せするかもまた業者側の経営判断です。購入した方が受けるのはお店のサービス、お店の商品であって原材料ではありません。この当たり前の話が分からない方が案外多いなとJASRAC関係の論争をするたびに思ってしまいます。

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