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行政評価、始動!(行イノ#6)

 時代の変化や多様化・複雑化する市民ニーズに最もふさわしい行政サービスを提供し、持続可能な市政を運営していけるようにするための取組の一つとして、施策・事業評価制度を進めています。
 そんな評価制度の取組について、これから随時報告していきたい思います!今回は、われわれ評価制度専任チームとタッグを組むEY新日本有限責任監査法人のみなさんとの意見交換の様子を報告します😊

2つの評価

 横浜市の行政評価には「施策評価」「事業評価」の2つの種類があります。施策評価は新たに、事業評価はこれまで実施していた取組をリニューアルして実施します。
 
施策評価・・・中期計画(基本計画)の政策-施策-事業体系(政策体系)を踏まえて、施策と事業の関係が適切に設定されているか確認。つまり、事業の目的は何か(施策と合っているか)、目的(=施策)を達成するために、効果的な手段(=事業)となっているかを各所管部署で評価
事業評価・・・全事業を対象に、これまでの定性的な評価を改め、6つの客観的な指標に基づき、各事業所管部署が、個々の事業の目的やプロセスを点検し、自主的な改善につなげる

図1 評価制度のイメージ
         

ロジックモデルにチャレンジ(施策評価)

 施策評価を行うにあたり、まずは施策と、施策に紐づく事業(図1のベージュ色の部分)それぞれのロジックモデルを作成します。
 ロジックモデルは、事業や組織が最終的に目指す変化・効果(アウトカム)の実現に向けた事業の設計図(「ロジックモデル作成ガイド」(日本財団、2019年3月)から)です。ロジックモデルの基本要素は、以下のとおりです。
インプット:プログラム実施に必要な人、モノ、カネ、情報、計画など
活   動:インプットを使い実施する活動の詳細
ア ウ ト プ ッ ト:活動の結果/活動実施により有無出される財、サービス、状態
アウトカム:プログラムの介入後にターゲット集団や組織・社会に現れる変化
(山谷清志監修『プログラム評価ハンドブック』(晃洋書房、2020年)から)

  これから、各所管部署にロジックモデルを作成してもらうわけですが、そのための準備として評価制度専任チームで試しにロジックモデルを作成してみることにしました。
 事業計画書(予算要求書に近い)やホームページ情報などの既存データを使ってフレームを埋められるかやってみました。

図2 試行にあたって活用したフレームイメージ
(出典:「社会的インパクト評価の普及促進に係る調査 最終報告書」(内閣府、2019年))

 有り物資料から、インプット、活動、アウトプットまではサクサクッと埋められるのですが、アウトカムの設定に苦戦する事業も・・・。
 作成していて出てきた疑問は、
・アウトカムがなじまないケースもありそう。でも、アウトプットまででOKとしてしまうと、アウトカム設定できるものでも設定しなくなってしまうので、ルールづくりが必要では?
・事業側からはじめればいいのか?施策側からはじめればいいのか?本来なら施策側だと思うが、施策の粒度が細かすぎると、紐づく事業があまりなくなる。粒度が粗いと、アウトカムもあいまいになる
・事業の中には、実施後、すぐに成果につながるものと、段階を踏みながら成果につながっていくこともがある。後者の場合、基本計画期間終了後の状態を最終成果とすればいいのか。それだと短い気もする。
 等々です。
 これらの疑問に対し、EYのスペシャリストチームのみなさんからのアドバイスは、
★アウトプットと思っている指標でも、見方を変えればアウトカムになる!(専T:なんとまあ~)
★森(施策)からでも、木(事業)からでも、どっちでもOK
(専T:へぇ、そうなんだ~)
★事業単位で最終成果を設定しなくても大丈夫!最終成果は施策単位でOK(専T:ホッとした~)
★すぐに効果がでにくい事業でも、将来のコスト抑制、税収等財源確保につながると考えられるものは、その情報もしっかり共有し、あたたかく見守る(専T:何事も見える化が大事だね)

まじめに、でも楽しく打合せ中

 こうした内容も含め、ロジックモデル作成マニュアルをEYスペシャリストチームのみなさんとともに準備していく予定です。

 市民ニーズに最もふさわしい行政サービスを提供し、持続可能な市政運営のために、施策・評価制度の取組をしっかり進めていきます!