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「おんにこにこ その3」・・・ぼーっと聞いてませんか?という噺。


今回紹介するのは、「時そば」。

落語を知らない人でも、「今なんどきだい?」というセリフと
小銭で誤魔化す噺として知っているかも。

屋台の蕎麦屋が、一杯十六文の蕎麦を「今何時(なんどき)でい!」と時刻を使って勘定をごまかされるのを目撃した男が、そっくり同じように真似しようとするが・・・。
という噺ですが、蕎麦の食べ方、味、うんちく、間抜けなしくじりなど、聞かせどころがいくつもあり、同じ噺でも演者によって印象が違います。

上方落語の「時うどん」を、3代目柳家小さんが江戸噺として演じたのが始まりと言われています。
名古屋出身の噺家さんが「時きしめん」として演じることもあるそうです。

「時うどん」では、二人組で行くのに対し、「時そば」では
一人が誤魔化しているのを別の人物が陰から見ていて
真似してみようとします(演者によって少し違います)。

さて、「ぼーっと聞いてる」というポイントは・・・

*以下、「時そば」のオチに絡んだ話です。

「時そば」は、
「ひいふうみいよお・・・」と小銭を数えながら手に乗せていき、
「七、八」とまで数えたところで
「今なんどきだい?(今何時だ?)」
と聞いて、蕎麦屋が
「九つで」
と答えたところで、
「とう、十一、十二・・・」と一文誤魔化すという噺。

これ、旧時法の「十二時辰」なら、
真夜中の「九つ(午前0時頃)」の前が
「四つ(午後10時頃)」になるために
早く出かけた男がしくじるという構造が分かりやすいのですが
現代の二十四時間法では少し分かりにくいですね。

そのため、枕で旧時法について枕で語っておくというのが、
定番のようです。

おわり

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