餃子作った、美味しくなかった。
俺は餃子が好き、そんな俺が作った餃子が美味しくなかった。今までずっと食べる側で、どこで食べた餃子も全部美味しかった。自分で餃子を作るのは、今日を合わせて2回。完全に1人で作るのは今日が初めて。
　美味い餃子ができると思ってた。自分の作った美味しくない餃子を食べて、自分の慢心に気付いた。「どこの餃子もうまいし誰が作っても美味い」そんな慢心が生んだ美味しくない餃子、人生で初めて食べた美味しくない餃子。
　ひき肉と餃子の皮、ニンニクもニラもネギもキャベツも買ってできたのは美味しくない餃子。
　レシピを見ながら粘り気が出るまでひき肉をこねて、ニンニクを多めに入れて、調味料を混ぜてはまたこねてできたのはニンニク多めの美味しくない餃子。
　皮を手に取り、タネを入れてフチを水でなぞってひだを作りながら丁寧に包んで、できたのは美味しくない餃子。
　油をひいて餃子を並べて、焼き目がついたら水をいれて5~10分蒸し焼きにしてできたのは美味しくない餃子。
　ひとつ食べて自分の舌を疑った、ふたつ食べても自分の舌を信じれなかった、３つ食べて受け入れることにした。衝撃だった。目の前に並ぶ残り21個の美味しくない餃子。餃子を食べるのにやけくそだった、こんな気持ちで餃子を食べたのは初めてだった。ラジオが流れてる昨日聴いたラジオがもう一度流れてる。
　美味しくない餃子は冷めて、ふたつ残した。