808（2018）

2016年、HONDA「ヴェゼル」のCMソングになったSuchmos（サチモス）。

若者がクルマの主要顧客でなくなり、CMもファミリーかシニア向けに、保守的になっていた頃。ヴェゼルCMがみせたのは、東京の真ん中を、泳ぐように疾走する車。都会の景色の中で堪能する、運転の楽しさを表現するものだった。

それはとうに陳腐化したように思えた、クルマ黄金時代の「ベタ」に近い映像だった。でもSuchmosの鮮烈なサウンドで、見事にかっこいいCMになった。

私も第1弾CMの「STAY TUNE」からSuchmosを知り、第2弾CMの「808」でさらに好きになった。
「808」のミュージックビデオは、CMに負けないくらいかっこいい。混沌とした都会の風景、光の海の中を疾走する車。曲は「STAY TUNE」より疾走感がありつつ、何かに倦んだような、退廃的な魅力がある。

地方で、生活必需品として車を運転している私。都会のハイウェイなんて、一切関係ない。毎日運転するのは光の海どころか、ハイビームが必要で、真っ暗な山道だ。

でも、Suchmosを聴きながら運転するのは楽しい。嗜好品の車で聴いても必需品の車で聴いても、まちがいなく最高のドライブミュージックだ。

FUNNY GOLD（2018）

ミニアルバム「THE ASHTRAY」に収録されている曲。
私は「切ない哀しい歌だと思わせて、実はハッピーエンド」という曲が大好き。

♪ Do you love？Do you love me？I'll never let your love
♪ Do you love？Do you love me？火が点いた今夜

今腕の中にいるのに、自分のものなのかそうでないのかわからない。そんな微妙な関係を思わせるように、切なく繰り返されるフレーズ。メロウで情熱的な描写が続くのに、ずっと焼け付くように切ない曲。
それが、ラストの1フレーズで一気に変わる。

♪ 冬はすぐ去ったと　気が付いた今夜

ふいに見えた、雪解けと春の光。
「Do you love？」→「冬は」などの言葉遊びも、とっても粋だと思う。
聴いていて、なんか、よかったね。とふっとゆるんでしまうラスト。