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ヒルシュスプルング病なのに難病の認定ができない

私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)全部と小腸の一部をとっています。

今回は、ヒルシュスプルング病なのに難病の認定ができない、というお話になります。

ヒルシュスプルング病(全結腸型および小腸型)は、今から約8年前、平成27年より難病医療費助成制度の対象(指定難病)となりました。
すごく大雑把に言うと、これに認定された人はヒルシュスプルング病の医療費の負担割合が2割になったり月の支払いの上限が設定されたり、また携帯会社の割引があったり自治体によっては助成金が出たりとさまざまなメリットもあります。

私は、高校生くらいから40歳を過ぎるくらいまで健康上生活にとくに支障はなく、ヒルシュスプルング病(大腸がないことによる不調)で受診することもあまりありませんでした。
しかし、45歳くらいから何かとおなかに不調が出るようになり、検査だなんだで病院に行くことが多くなりました。成分栄養剤のエレンタールも継続しているため、医療費もかさんできます。
月に1万円以上になることも多く、難病医療費助成制度の「軽症かつ高額」の基準を超えるようになりました。

あるとき、ヒルシュスプルング病の全結腸型が指定難病になっていることを知り、医療費が「軽症かつ高額」の基準を超えていたため申請を試みました。
主治医は、通るかどうかわからないが診断書は書けるとのことでお願いし、書類や医療費の領収書をそろえて役所で申請しました。けっこう面倒でした。
認定まで3ヶ月くらいかかると言われましたが、2ヶ月を過ぎたくらいのある日、手紙が届きました。
病理所見の診断基準を満たしていないと。
その病理所見とは、専門用語だとわかりにくいのですが、要は腸に神経がなかったということの証明ができなければならないのです。
大腸がないというだけではダメなのです。
しかし、腸に神経がなかったことの証明は、私には不可能でした。
もう通ってもいない病院に、50年近くの前のカルテなどありません(一応聞いてみましたが)。

これまでヒルシュスプルング病の全結腸型として過ごしてきたのに、客観的にそれを証明できないとは。

結局カルテがないことには他に証明する手立てがなく、難病医療費助成の申請はあきらめざるを得ませんでした。申請取り下げにもまた役所に行かなくてはならず、徒労に終わってしまいました。

以上が、ヒルシュスプルング病の全結腸型で医療費(薬代)も「軽症かつ高額」の基準を超えているのに認定が困難という私のケースです。

確かに、ヒルシュスプルング病だった、腸に神経がなかったと証明できるものがないのではどうしようもできないのは理解できます。自己申告を受け入れてしまっては収拾がつかなくなります。
ですが、私のように、全結腸型や小腸型を生き延びて何十年も経っている人は他にもいると思います。そのうちの何人に赤ん坊のときのカルテが残っているものなのでしょうか。
ヒルシュスプルング病は決して新しい病気ではありません。指定難病になる前から闘病している人の存在も切り捨てないでほしいなと思います。

今後も私は医療費の減る見込みはなく、経済的負担が続くと思われます。
病理所見が証明できない人のための救済措置、というのはできないものなのでしょうかね。

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