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ガン闘病記①「28歳でステージⅣのガンに・・・」



「ただの痔だろう・・・」

 2021年3月・・・新型コロナウイルスの流行はとどまる気配を知らない。当時私は静岡県の某所で中学校の臨時教員として勤務していた。ある時、用を足したら大便に血が混じっているのに気づいた。
 「あー、痔になったか」とため息交じりにつぶやいた。そういえば、座りっぱなしのことが多いし、寒さもあって痔が悪くなったのだろう。そう考えていた。しかし、いつまでたっても症状は改善しない。ようやく肛門科を受信するに決めた。「ただの痔だろう」と軽い気持ちで考えていた。

「大きな病院紹介するから!すぐ受診して!」

 2021年3月6日、私は人生で初めて肛門科を受診した。「痔の手術ってどんなんだろうな。痛いんだろうな」と他愛もないことを考えていた。順番になり、医師が肛門からスコープを入れた直後だった・・・
「でっかいポリープあるよ!大きな病院紹介するから!すぐ受診して!」「なんかやばいぞ・・・」予想外の展開に冷や汗が流れた。午後から部活の指導が入っていたが、副顧問に電話して休ませてもらい、大腸カメラをやった。医師が大病院にデータを送ってくれた。


進行性のガンだと思います

 数日後、大病院を受診した。医師は間髪入れずにこう告げた。
「進行性のガンだと思います」
 診断名は「直腸ガン」目の前が真っ暗になった・・・まさか、自分が?しかも28歳という若さで?医師が続ける「肝臓にも転移していますので、ステージⅣということになります。手術が可能かどうかもわかりません」
 同時に病巣の写真も見せてくれた。腸の壁にホルモン焼きのような塊が張り付いていたのだ。こんな化け物が体に巣食っていたなんて・・・病院にいる間は平静を保つことができた。しかし、家路につこうとすると、ひざがガクガク震え出した。

俺まだ死にたくないよ・・・

 病院の玄関わきで母親に電話し、すべてを告げた。母親は驚いた様子は見せなかったが、内心はどうかわからない。ただ、できることはすべて協力すると約束してくれた。
 自宅に帰ると恐怖感はさらに増した。「俺まだ死にたくないよ・・・」何度もうわごとのようにつぶやいた。恋人だってつくってないし、新作アニメも見たいし、社会情勢のチェックもしたいのに・・・ これから俺はどうなってしまうんだ?

ガン闘病記②へ続く・・・


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