32枚目「 記憶と思い出と眠る 」

好きではなくなれたけども
愛してる

心身に傷があることも
薄情なところも

気づけば愛せてしまっている
今となってはそう思う

小さな思い出が散りばめられた街に吹く風は
あの日と違うけれど

歩いた道や景色、食べたもの
煙草の煙が1つに減ったけど

同じものがまだあることが苦しくて愛おしい

歩幅が四拍子と三拍子
繋いだ手は二拍子

そんなことさえ愛おしい

恋は押し付けで
愛は意思疎通

そう思っていたけれど
愛なんてなかったのか愛はあったのか

一緒に背負えるものが
まだあると感じていたのに

気持ちを伴わない言葉を吐かれる
嘘をつかれてたことが苦しい

愛は憎しみに変わるとはいうけれど
私のこれが憎しみならなんと穏やかなことか

あなたに触れて目を閉じれれば
愛を抱いて眠れれば

今の私は毎夜小さなお葬式
祈る手と腿を切る手

愛の抜け殻と少しの痛みを
抱いてここに眠る

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