見出し画像

甲斐よしひろBillboard LIVE 2019「EAST in WEST」

『汽笛の響き』の歌い出しを聴いて、なぜか涙が流れた。理由はわからない。
なぜか胸を締め付けられるような想いになった。きっと過去の自分、この曲を聴いていた高校時代のなにかに触れてしまったんでしょう。このLiveのあと、高校の同窓会に行くことになっていたので。


5年目を迎えた甲斐よしひろのBillboard LIVE。毎回、
「この選曲は微妙だなあ」
と思う曲が含まれるものの、終わってみると「来て良かった」と思う。必ず、琴線に触れる曲があるからだ。今年でいえば『汽笛の響き』と研ナオコへの提供曲『別離の黄昏』、そして『一世紀前のセックスシンボル』だった。

メンバーは、Guitar:鈴木健太、Bass:木村将之、Fiddle:山田拓斗、と昨年と同じ顔ぶれ。もはや「バンド」と呼んでもいいような一体感を醸し出していた。
鈴木健太は第1回の2015年から、木村将之は2016年から、メンバーに名を連ねている。Fiddle だけは入れ替わりがあるけれど、Guitar、Bass、Fiddle という編成は第1回から変わっていない。

ふと思い出すのは、甲斐さんが最初に組んだバンドのこと。高校2年生の時、「ノーマン・ホイットフィールド」という名のカントリーバンドを結成する。その編成は「アコースティックギター、ハープ、ときどきダブルベース」だったそうだ。

もしかすると、Billboard Live の編成はそのときのことを意識しているのではないか、と思ったりもする。たぶん、明確に意識していることはないと思うけど(笑) Billboardという箱を考えたとき、「ネオカントリーぽい感じでやりたい」と思ったのではないか、そのとき、最初に組んだバンドのことは少しは頭をよぎったのではないか、と思っている。


「財津さん、チューリップは最初、フォークバンドだったんだ。逆に武田さん(海援隊)はロックバンド、ジャックス(日本ロック黎明期に活躍した伝説のバンド)のコピーバンドで、『ラブジェネレーション』とか『堕天使ロック』とかいい曲ばっかりやっていた」

ここ数年、「照和」時代について聞かれると、よくこの話をしている。

「海援隊のドラマーだった上田雅利を財津さんが引き抜いて、ベースを入れ、エレキギターを導入し、という感じでアマチュアの最後の頃にはロック色を強めていった」
「ドラマーがいなくなった海援隊は、ベースも外してフォークバンドになった」
「ドラマーがいなくなるとベースもいらなくなって、こっちはフォークバンドになって、引き抜いた方はポップスバンドになるんだ。すげえなあ、と思っていた」

という話である。こうした動きを10代の後半に目の当たりにしたそうだ。

そこで、Billboard Live の編成である。ドラマーはいない。しかし、ベースは外していない。ダブルベースがしっかりリズムを刻んでいる。ドラマーがいなくてもフォーキーな雰囲気に流れないのはそのためではないか、と思っている。
「良いシンガーはベースをしっかり聴いて歌っている」と甲斐さんはよく口にする。今回のメンバー、最初から参加しているGuitarの鈴木健太に注目が集まるけれど(それも当然だとは思うパフォーマンスを見せてくれてはいる)、キーになっているのはBassの木村将之ではないか、と今回、強く感じたLiveだった。

<セットリスト>
01 四月の雪
02 別離の黄昏
03 薔薇色の人生
04 新宿
05 ポスターカラー
06 影
07 そばかすの天使
08 呪縛の夜
09 汽笛の響き
10 非情のライセンス
11 ビューティフル・エネルギー
encore
12 ラン・フリー
13 一世紀前のセックスシンボル

さてあとは、甲斐バンド45周年ツアー「CIRCUS & CIRCUS 2019」である。バンド初の「ライブハウスツアー」だそうだ。ちょっと微妙なコンセプトだなと思いつつ、しっかり2会場チケットは押さえた。
なんだかんだと、わくわくしてはいる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?