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限界集落を放置する危険性

未来の予想は難しい。


未来の産業がどうなるか予想することは、すごく難しい。

僕の記憶では、今から10年ほど前、自動運転は実現間近で、10年後にはタクシー運転手という職業そのものがなくなっているだろうと予想されていた。

2024年現在、タクシー運転手という職業がなくなる気配はほとんどない。
そもそも、大手電鉄会社が運転する電車ですら、運転手さんが手動操作している。はるかに自動運転化しやすいだろう、レールの上を走るだけの電車ですら自動運転が実現していないことを考えれば、10年後もタクシー運転手の仕事はなくならないだろう。

一方で、V tuberなど、10年前にほとんど”職業”として認知されてなかった、新しい仕事が登場している。その新しい仕事で、大金を稼げるようになっている。

副業系のYoutuberも同様だ。
普通の会社員が、副業をやること、動画編集ソフトやゆっくりムービーメーカーで動画を作って、会社の給料より多く稼ぐなど、この現状を10年前に想像できた人はいなかっただろう。

とはいえ、未来は現在の延長線上である。
限定条件を想定することで、未来を予想することができる。

現在、日本では、地方の過疎化がシャレにならないスピードで進んでいる。
実際に、日本の山奥には、消滅しかかっている集落が、6万か所以上も存在している。
これらの集落を放置したままにすることは、非常に危険である。

この、集落の放置を継続した結果、何が起こるか予想しよう。

結果は、”山賊”である。

なにいってんだこいつ?
というなかれ、消滅集落を適切に管理しなければ、日本国で、山賊が発生してしまうのである。

やる夫 のAA


なおここでは、山奥の集落を武力で実効支配する集団のことを山賊という。
もちろん、税金は払わない。


山賊が発生する要因


それは、
 ①日本の国土の75%が山地であり、
 ②山地には、無人の自給自足が可能な集落が大量にあり、
 ③国内に農業国出身の移民が大量に存在しており、
 ④山狩りをするために必要な働き手を用意できない

からである。


①日本の国土の75%が防御力の高い山地

山地の特徴は、攻めにくく守りやすいことだ。
実際に、戦国時代の城の大半は、山の上に構築されている。
近代になっても、要塞が構築されるのは山の上である。

21世紀の戦争でも、山地の防御力の高さは証明されている。
アフガニスタン戦争である。アメリカ軍は、2001年からアフガニスタンに侵攻し、タリバン政権を倒した。しかし、山がちなアフガニスタンで統治を維持できず、2021年にアメリカはアフガニスタンから撤退した。
事実上の敗北である。

戦車や航空機、ハイテクドローンなどを駆使したアメリカ合衆国は、貧弱な装備しかもたない山岳ゲリラ兵集団、タリバンに敗北した。

なお、ソ連もアフガニスタンへ侵攻したのち、敗北しており、アフガニスタンは帝国の墓場と言われている。

山地に罠と一緒に待ち構える武装集団を、山狩りでなんとかするのは、どんな軍事組織にとっても悪夢である。

タリバンと違って、日本には銃刀法の規制があり、武器がないじゃないか、と思うかもしれない。しかし、安倍晋三 元首相を暗殺した山上徹也はたった一人で銃を自作している。

山頂に拠点をおく、山賊コミュニティならば、みんなで頑張って、もっといい武器を生産できるだろう。

そして、銃ではなくボウガンのような、もっと簡単な自作武器でも十分な脅威である。(もちろん、毒矢を使う)
罠がたくさん仕掛けられた山林にひそむ、もの影からボウガンを撃ってくる山賊を相手に山狩りをしたら、当然ながら死人・怪我人がたくさんでるのは間違いない。

なお、山狩に成功しても山賊は隣の山に逃げるから、完全に駆逐することは不可能である。


②日本中に、自給自足が可能な村の跡地が大量に存在する。

「ポツンと一軒家」は人里離れた場所に存在する一軒家をめぐる人気TV番組である。
一軒家があるのは、だいたい山奥だ。
たいていは、昔は集落であったけど、どんどん人がいなくなった結果としてポツンと一軒家になっていることが明かされる。
おおむね、元気な高齢者が生活しているわけであるが、不老不死の人間はいないので、いつから無人の集落になる。

日本には、このような消滅しかかっている集落が、6万か所以上もあるらしい。
感覚的に、大量の無人集落があるだろうことは理解できる。
デタラメだなんて思わない。
実際、僕の祖父母の家は両方ともが、空き家になったし、祖父母の集落もどんどん過疎化が進んでいる。

それでも、集落が存在していたのであれば、そこに畑があって、ある程度、自給自足の生活が成立していたことを意味する。

明治時代の、農業に慣れた人からすれば、これらの放棄された集落は、宝の山に見えるだろう。
(第2次世界大戦を日本が戦ったのは、満州に移民を送り込むためだった。満州に送り込まれた移民は、現地住民を追い出して、農村を乗っ取った。太平洋戦争は日本の過剰人口を中国の満州に植民する過程で発生したともいえる)

③農業国出身の大量の移民が存在している

高度経済成長は、日本人を豊かにした。
ただ、その代償として日本人は農業のやり方を忘れてしまった。

小学校では、勉強を学習しても、ほとんど農業は学習しない。
都会で生まれ育った人間は、ガーデニングはしても、商用作物を育てる機会は、まずないだろう。

農林水産省によると、農業従事者は140万人ほどで、日本の人口の1%程度である。9割以上の日本人は、農業とは無縁の生活をしている。

日本国では、毎年30万人程度の移民を受け入れており、今後もどんどん増えていく見込みである。

移民の送り出し地域は、当然ながら人が余っている地域である。
現実問題、農業を主産業とする、農業くらいしか地元産業がない地域、働く場所を用意できない田舎からの移民がほとんどだろう。

ベトナム人が、豚を自宅アパートで解体したニュースがあった。
日本人労働者では、自力で豚の解体などは不可能だ。
きっと故郷の村は、農業地域で、小さい頃から自給自足に近い暮らしをしていたのだろう。
消滅集落での生活能力は、日本人なんかより、移民たちのほうが格段に上だ。

農業に慣れた移民たちの一部が、空洞になっている日本の無人の集落に住み着くことは、自然な流れだろう。


④山狩りをするための人手がない

2024年4月現在、日本は空前の人手不足である。
人手不足倒産が過去最多になる程度には、人手不足なのである。

少子化による労働人口の減少で働き手は減少している。
特に、警察官のような銃を持つ仕事は、外国人の移民にやらせるわけにはいかない。

外国人の集団に、銃を持たせて、命がけの山狩りをしてこいなんて言ったら、周辺の街を略奪した上で、どこかに逃亡する(そして山賊の一部になる)かもしれない。

警察官は、ただでさえ少子化が進み、絶滅が心配されている日本人がやるしかない。

だが、そんな貴重な日本人警官を、死の危険が伴う山狩りに、罠をはって山にこもる武装勢力の制圧に、わざわざ向かわせるだろうか?

山の上は、どうせ無人の集落だ。
固定資産税を払わない程度であれば、見逃したほうが、経済面での効率がよい。
真面目に山狩りなんぞして、怪我でもしたら、そちらのほうが大損である。
警察の責任者も、よほどの大事がない限り、見てみぬふりをしたがるだろう。

現実問題として、使命感に燃えた警察の偉い人が、山狩りを指示して実行したとする。
その結果、数十人単位の死者がでれば、山狩りを指示した責任者は、めちゃくちゃに責任を追求されるだろう。
こんな、割にあわない役目は、だれもやりたがらない。

警察官の側も、凶悪犯でもない、消滅集落に住んでいるだけの貧しい不法移民を相手に、命をかけて山狩りをするのは、やる気がでないだろう。

山賊が出現するきっかけ


とはいえ、もし仮に、2024年の社会環境がずっと続くとしたら、山賊は出現したりしないだろう。

日本の治安は世界トップクラスだし、移民への扱いも、劣悪だけど集団で犯罪を起こすほど悪くはない。

山賊が出現するには、大きなきっかけが必要となる。

もっともありそうなきっかけは、
日本国の財政破綻とそれに伴うインフレなどの経済混乱である。

日本国は財政破綻する可能性が高い。

このことは、エリート連中は知っている。
国民もうっすらと理解している。

少子高齢化の流れはとまらず、社会保障の支出ばかり増大して、働き手がいないから収入は減少する。

こんなの、いずれ破綻するに決まっているじゃないかと

ひとたび、財政破綻が発生すれば、大量の失業者(元気な外国からの移民を含む)と、給料がインフレに追いつかず、やる気を失った警官が出現する。

日本では、食料の大半は輸入しているので、経済が混乱し、円の価値が低下すれば、食料価格が高騰する。

物理的に食い物がない、手に入りにくい状態になったら、自分たちで畑を耕して食い物をつくるしかないだろう。

田舎の集落に、農業経験のある移民たちが、勝手に住み着くのは仕方ないことだ。

山賊の実効支配の確立


最初は大人しく山にこもっていた山賊たちも、警察や軍隊がやってこないとわかれば調子に乗り出すだろう。

少しずつ少しずつ、周辺の村にやってきては、商取引を持ちかけるだろう。
もちろん、合法的な肉や毛皮などの山の幸を地元住民と取引することもあるだろう。

ただ、山岳に住む武装勢力が好んで扱うものといえば、”麻薬”である。
単価が高く、山奥でも生産できる。
ただ、単純に違法なのでだれもできないだけである。
山を実効支配できているのであれば、警察は入ってこないので、自分たちのルールの範囲内で好き勝手できる。

麻薬の販売により、お金をつくると、いろんなものを買いに来るだろう。地元の警察の有力者の買収などもするかもしれない。
さらに、麻薬を販売するということは、地元のマフィアと取引をするということだ。マフィアへ、麻薬のついでに山でつくった自作の武器も売るだろうから、周辺の治安が悪化する。

そのうち、付近の村の住民とトラブルを起こして、事件に発展するだろう。
山賊らしく、人さらいをすることもあるだろう。

この段階で、警察が山狩りしようとしても、手遅れだ。いったん住み着いた山賊を根絶することは極めて難しい。

警察にもメンツがあるから、自衛隊に依頼して山賊の集落を空爆して家を焼いたりするかもしれない。
ただ、本格的に山賊を根絶するのは、割に合わないからやらない(できない)だろう。

アフガニスタンの米軍と同じである。



山賊の種類

日本には、空いている集落が6万箇所もある。
だから、集落ごとに、たくさんの山賊が拠点を構えるだろう。
山賊といっても、その出自からいろんな系統の山賊が現れる。

宗教系の山賊
 21世紀の自由主義の進展によって、人々は孤独になった。孤独になった人を吸収するのがオンラインサロン、に基づく宗教的な集団だったりする。あやしげなオンラインに入会して、あやしげな自己啓発活動に参加する人間を笑うことはできない。
 人間がここまでコミュニティを失ったのは、歴史上初めてのことだ。社会的生き物であるホモ・サピエンスが自由主義・個人主義の孤独に耐えられるわけもなく、何らかの共同体は必要になる。
 共同体の需要に応える形で、宗教団体が強くなるだろう。
 宗教団体は、その性質上、物理的に隔離した場所を本拠地にしたがる。消滅した無人の集落は、貧乏な新興宗教団体が拠点をかまえるのに、格好の場所になる。


移民系の山賊
 自給自足の農業経験がある移民たちが集住するパターン。いったん移民たちが住み着けば、厳しいブラック労働に耐えきれなくなり、逃げ出した移民たちがどんどん流れ着いて、集落の規模は右肩あがりに大きくなるだろう。
 いったん集落ができれば、友達や知り合いがやってきて、住み着く。
 これを繰り返すことで、集落の規模はめちゃくちゃ大きくなるだろう。なんせ周辺には、無人の集落がたくさん残されているのだから。 
 日本人にとっては、田舎の集落は無価値でも、外国の移民にとっては、宝の山だろう。
 豚を解体したベトナム人のように、農業社会出身の移民は、日本の山奥の集落に自然と溶け込むだろう。

逃亡系の山賊
 
犯罪を犯した日本人や外国人が、逃亡中に無人の集落に住み着くパターン。
例えば、リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件の犯人、市橋達也は、土建・建設などの仕事を転々としながら2年以上の逃亡生活をおくっていた。
途中で沖縄の離島で自給自足のサバイバル生活をおくったらしい。
2000年代だから、市橋は一人で自給自足のサバイバル生活をおくったが、たとえば先住の犯罪者がいれば協力して、よりよい生活環境をつくることが可能である。

一度、山賊集落ができあがってしまえば、逃亡中の犯罪者や借金から逃げる破産者が集落に加わる。多様な背景をもつ日本人犯罪者たちが加わり、どんどん成長するだろう。

山賊同士の抗争

当然ながら、宗教系の山賊と移民系の山賊と逃亡系の山賊が仲良くできるはずはなく、ガンガン抗争をするだろう。
山の集落を巡って、紛争が常に起きている状態になる。
当然、日本全土に張り巡らせた道路の一部は使えなくなり、物流にも支障がでるだろう。

アメリカと地続きであるメキシコほどひどくならないだろうが、治安レベルは中南米に近づくだろう。


まとめ

限界集落、消滅集落をこのまま放置し続ければ、21世紀の後半の日本国には山賊が出現する。

その結果、
 麻薬が流行するだろう。
 誘拐も発生するだろう。
 自作の武器が出回るだろう。
そして、治安が悪化するだろう。

特に、治安については、都市部を除いてきわめて悪化するだろう

みんな、限界集落、消滅集落を適切に管理する重要性をちゃんと認識すべきだ。


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