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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第53回] 


秋日 礒部晴樹・画


秋日

返照入閭巷       返照 りょこうに入る
憂来誰共語       憂いきたって 誰と共に語らん
古道少人行       古道 人の行くこと少なく
秋風動禾黍       秋風 かしょを動かす

耿湋          こうい


夕日が村里を照らしている
愁いがこみあげてくるが 誰と語り合おう
古い道は 行く人もなく
ただ秋風が 稲やきびの葉をゆらすだけ

*閭巷=りょこう=村里、ちまた
禾黍=かしょ=稲ときび

寂びたおもむきの漢詩です。
芭蕉の 「この道や 行く人なしに 秋の暮」
と同じような感じですね。
このような寂寥感は、現代の、都会に住む我々にとって
逆に新鮮に感じます。
絵は、畑の刈り残しのきびの葉を前面に大きく配置、
背景にさびしい小道を描きました。
この詩の雰囲気を伝えられたかどうか・・・




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