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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第56回]


竹里館 礒部晴樹・画


竹里館

独坐幽篁裏       独り坐す ゆうこうのうち
弾琴復長嘯       琴をはじき 又ちょうしょう
深林人不知       深林 人知らず
明月来相照       明月来たりて あい照らす

王維

ひとり 竹林の中に坐り
琴をはじき また歌を唱う
竹林の この美しさを だれも知らない
明月だけが訪れる


*幽篁=ゆうこう=奥深い竹やぶ
長嘯=ちょうしょう=口をすぼめて息ながく歌う

現代だったら、カラオケボックスで、
ひとりボーカル、あるいはギターで弾き語り、
といったところでしょうか。
竹林という、自然の中の個室で歌うところがすてきです。
竹林の中は独特の雰囲気があります。
いちめん緑の別世界で、緑の縦縞模様の抽象画の中に
入り込んだような気分になります。
絵の中の酒セット、これは私個人の好みで描き入れました。
こんな時、かるく一杯いかなくちゃね。


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