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スポーツ選手の肖像

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

一般的な民事事件・刑事事件全般のほか、スポーツ選手・団体の法務や、SNS利用のコンプライアンス講師、テニス練習会の主催なんかをしています。

今日は、スポーツ選手の肖像の話をします。

本題に入る前に、昨日から始めました、有料記事のお知らせです。

6/20に(ほぼ)毎日投稿を始めてから3ヶ月記念を迎えまして、新たな展開を告知しました。

その中の一つに有料記事の毎週日曜アップロードというものがあり、有言実行で早速昨日から始めています。

有料記事では、無料版で誰に検索されるか分からないので、当たり障りない内容になっている部分を尖らせたり、現実なんだけどあまり大きな声では言えない内容などを盛り込んでいますので、もしも興味が有ればぜひ。

それでは本題いってみましょー!

◆肖像ってなんだ◆

肖像とは、人間の容姿容貌のことです。

肖像画といえば、とある人の顔を描きますよね。何となくバストより上くらいを描いていることが多いイメージ。

音楽室に、JSバッハ(髪の毛ふかふかもさもさ)とか、モーツァルト(髪の毛くるくる巻き)とか、ヴェートーベン(なんか怒ってる?)とか飾ってありましたよね。

あれ、肖像画です。

そして、『肖像権』という言葉を使うと、とある人の容姿容貌をみだりに撮影されない権利と整理されることが多いです。

これは法律で良くあるのですが、「権利」は、多くの場合目に見えないので、最終的に裁判所にあるかないかを決めてもらう必要があります。

肖像権の場合は、人間である以上誰でも持っているので、「権利の有無」よりも、「権利の侵害があるとされる場面だったかどうか」が問題になることが多いのが、大きな特徴です。

◆スポーツ選手の場合◆

スポーツ選手の場合、多くはプレー中に、容姿容貌を露出しています。

しかも、今の技術だと、そのプレーの一挙手一投足を、高性能のカメラがバッチリ捉えています。

視聴者側からすると、これほど観たいものはないわけですから、肖像明らかにしてよね!というわけです。

他方、選手の方も、顔や身体が映ることや、競技中のプレー映像を流してもらうことが『嫌』という人は少ないのではないでしょうか?

カミオはむしろ、テニス映像とかを撮られた場合、もっと流してくれ!と思ったりします。

これなんて、3000回以上再生されてますよ!やったー!笑

すみません、つい楽しくなって脱線してしまいました。

先程述べたように、「顔や姿形をみだりにとるな!」という意味の『肖像権』を行使したいという場面は少なそうではあります。

でも、主催者側(映像を作成する側)からしたらどうですか?

万一、捻くれたやつがいて、俺のプレー中の様子は写すなとか言ってきたら大変ですよね?

そこだけ編集するのはものすごく時間も手間もかかります。

何より、試合の一部の様子が欠落しちゃうわけで、視聴者側としては一気に冷めますよね。

これに備えて、肖像権は、この試合に関しては主催者に移してください(帰属するとか書いてありますかね)、というルールの元で申し込みを受け付けていたり、NFが規程で、主催試合は基本的にNF側に肖像権を寄せていたりします。

◆パブリシティ権◆

でもよく考えてください。

時々、プレー映像や画像をうまく使って商売する奴がいますよね?

例えば、大谷選手の写真を、タオルにプリントして販売したり。

先程の例は、球団ないしリーグ側が、大谷選手に、「勝手に写すのは辞めてください」と言われないようにしている問題でした。

でもこちらの例は、勝手にその肖像で商売して利益を得ないでくださいという問題。

こちらについては、パブリシティ権と言われる、『顧客吸引力』の問題が生じています。

つまり、大谷くんの顔が載っているタオルだからこそ売れるという図式をひっくり返せば、『大谷選手という名前や肖像にお客さんが付く』というわけです。

これも選手の権利です。

プロスポーツ選手だと、こちらの方が大きな問題になったりします。

多くの場合、先程の肖像権と同じく、試合についてのパブリシティ権は、主催者側がホールドしたり、野球で有れば球団側がホールドするような契約書・規定になっています。

◆専用の法律はない◆

以上のような権利が、スポーツ選手には存在します。

でも実は、これらは過去の裁判例等によって地道に作り上げられてきた権利で、実は「肖像法」などというルールブックはないものです。

グレーゾーンが多いのはこの理由もあるかも知れません。

皆さんも自分の肖像、パブリシティが気になったら一度カミオに聞いてみてくださいね。

以上、スポーツ選手の肖像の話でした。

では、また。

◆おまけ◆

『かぐや様を語りたい』の作画を担当しておられる、G3井田さんが描いてくださった4コマです!


記事をお読みいただきありがとうございます。弁護士は縁遠い存在と思われないよう、今後も地道に活動をしようと思いますので、ご支援よろしくお願いします。