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フェルメール、AVの悲哀

※2015年9月6日のブログ記事を移転しました


テレビで見た情報だし、数年前の記憶だから本当かどうか定かでないが、瞳に白い星を描きいれると美しく見えるということに初めて気づいたのが、画家のフェルメールらしい。
たしかに、代表作『真珠の耳飾りの女』では、瞳に小さく白い点が打たれている。
耳飾り、唇、そして両眼。真っ暗な背景のに浮かびあがるこの4点の輝きが、我々の目を射抜いて離さない。

最近では、この白い星が、白い輪であるほうがより可愛く見えるという話らしい。
リングライトと呼ばれるものをカメラのレンズに取り付けると、被写体の眼にこのライトが映り込んで、瞳が生き生きとするそうである。

ところで、私がいま取り組んでいる卒論では、「AV女優・AV男優と目が合うという経験」が重要なテーマになっている。
詳述は避けるけれども、フィクションとドキュメンタリーの狭間に位置するアダルトビデオというメディアにおいて、 視聴者と被写体の視線が交差するとき、性行為が行われている「あの部屋」とそれを眼差す身体が位置する「この部屋」を隔てているのは、「液晶」でも「マジックミラー」でもなく「窓」だったのだ、と視聴者は錯覚するのではないかと思っている。

だが、AV女優の瞳の美しさに気付くとき、視聴者は同時に、その目に映るのが自分ではないことにも気付いてしまう。
夢だからこそ美しい、と言うとあまりに陳腐だけれども、この限界が、この悲哀こそが、AVをAVたらしめているのではないかというのが、私の直観である。

(『kawaii*美少女限定!高画質バーチャルSEX 8時間Vol.2』より)



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