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「3000円のパンケーキなんて」と怒る人々に伝えたいこと。

世の中にはいろんな怒りが渦巻いていて、それがSNSで可視化されたり、拡散されたりするようになったので、それを見て「なんだか息苦しくなったなあ」と感じている人も多くいらっしゃることと思います。

先日、まさにそんなことを感じさせるニュースがありました。


大の甘党だという菅義偉官房長官が「ニューオータニ特製パンケーキ」をよく注文するというエピソードがテレビ番組で紹介されたところ、その価格が3080円(税込)だったことから、「庶民感覚が欠如している」などと批判されました。こうした批判に対してはカウンターのように擁護の意見も寄せられていて、ネット上ではちょっとした議論になっているようです。

たしかに、「3000円のパンケーキ」というのは、これ自体がパワーワードと言ってもいいくらいインパクトがあります。それは、多くの人がイメージする「パンケーキの相場」なるものがあるからでしょう。その“相場”からすると、たしかに3000円という価格は思わず声が出てしまうほど高いようにも思われます。だからこそ、“庶民”を標榜する方々からは非難の声が殺到したのでしょう。

私の率直な意見としては、「モノによる」としか言いようがありません。原材料や労力によっては数百円で食べられるパンケーキもあるでしょうし、逆に3000円するパンケーキがあってもおかしくはないでしょう。まあ、それを日常的に食すかと言われれば、それは個人の好みの問題だとしか言いようがありませんが。

と、そんなことを思っていたら、ズバリ、こんな記事が出ていました。

好きだなあ、こういう記事。なんとも微笑ましくて。これは林加奈さんというライターさんが“庶民”として、この3000円のパンケーキをホテルニューオータニまで食べに行ったという、いたってシンプルな記事です。

記事の中で林さんは、

インスタ映えするような豪華さやカラフルなデコレーションはないものの、一流ホテルらしい気品あふれる見た目に、うっとりしてしまいます。
一口含むと、生地がほどけるように溶けていきます。ゆるめのホイップクリームとの相性が本当にいい! ほとんど噛まなくても食べられます。
このパンケーキ、見た目に反してかなりお腹いっぱいになります。(中略)「軽くおやつを食べに行くというよりは、十分にお腹を空かせてから一食分を食べるつもりで行くことをおすすめします。

とべた褒めしていて、さらにはこんなふうに記事を締めくくっていました。

ちなみに私はホットコーヒーを頼んだので、サービス料と税込みで合計4356円でした。この金額は庶民感覚がないかどうかはさておき、ホテルニューオータニという一流のホテルでおいしいパンケーキを食べられるなら、これくらいのお金を払う価値はあるのではないかなと思いました。

庶民からしても3000円という価格は納得だったと結論づけているのです。

しかし、批判の声を上げている方々からすれば、論点はそこではないのかもしれませんね。たとえば孫正義さんや前澤友作さんが3000円のパンケーキを食べていても、彼らがそこまで憤ることはないのかもしれません。やはり、「政治家が3000円のパンケーキ」というところに、彼らの地雷が埋まっているように思えてなりません。

この点、どのように考えたらいいのでしょうか。

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