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私はメダルをかじるよりも悪質だと思っている。

“メダルかじりおじさん”こと河村たかし名古屋市長が、また騒動になっている。ベースにあるのは、「名古屋城エレベーター問題」だ。

現在の名古屋城は、1959年に天守閣が鉄筋コンクリートで再建されたものだが、じつは徳川家康によって建てられた当時の資料が現存しており、木造での復元が可能であるという。そこで名古屋市は、河村市長肝入りの事業として、総工費500億円をかけた名古屋城天守閣の木造復元を計画しているという。

ただ、そこで問題がひとつ浮上した。名古屋市は、「城を忠実に復元するため、エレベーターは設置しない」と発表したのだ。これに障害者団体などが猛反発。「この時代にエレベーターを設置しないのは障害者の排除だ」と主張。木造復元を求める市民たちとの間で意見の対立が起こっていた。

これらの意見調整を目的に開かれた市民討論会では、(記事によると)このような応酬があったようだ。

【車椅子ユーザー】
「今まであったエレベーターをなくすというのは、我々障害者が排除されているとしか思えない」

【エレベーター設置反対派】
「平等とワガママを一緒にするな。ピラミッドを改修するときにエスカレーターを付けようと言っているのと一緒。どこまで図々しいの?我慢せえよ」

「生まれながらにして、不平等があっての平等なんです。無料でエレベーターが動くわけがない、電気がいる。そのためには人も必要。だから、エレベーターは必要ない!」

……「生まれながらの不平等があっての平等」……サンドウィッチマンじゃなくても、ちょっと何言ってるかわからないです。。。

記事によると、これ以外にも聞くに堪えない差別発言が相次ぎ、過激な発言に拍手をする参加者もいたという。にもかかわらず、その場に参加していた河村市長はそうした発言を制止せずにいたばかりか、会の終了後には「熱いトークもありまして、良かったですね」などと発言したという。

差別発言が相次いだ討論会を「熱いトークがあって良かった」と総括する感性に1ミリも共感できないばかりか、この発言を咎められた市長は、後日、このような釈明をしていたことに、さらに驚かされた。

「言われているような差別発言があったとすれば、『それは遠慮してくださいよ』と、咄嗟に言えるかどうか分かりませんけど、注意するべきだった」

これ、真ん中の言葉いりますか?

「言われているような差別発言があったとすれば、注意するべきだった」

でいいはずですよね。あえて、「『それは遠慮してくださいよ』と、咄嗟に言えるかどうか分かりませんけど」とエクスキューズ入れる必要が、どこにあるのだろうか。

しかし、まあ、できるだけ前向きに捉えるなら、河村市長はこうした差別発言を目の前で聞いても、特にそれを問題だとは感じられないし、それを制止することもできない政治家なのだなという事実が浮き彫りになったことがせめてもの収穫、ということ、で、、、え、そんなの以前からとっくにわかっていたことだって? ……失礼しました。。。

兎にも角にも、人権を軽視するような発言を、ここまで軽薄にスルーできてしまう感性を持つリーダーであることに私は失望したし、名古屋市民のみなさんには申し訳ないけれど、私は「名古屋市民でなくてよかった」とさえ思ってしまうのだった。

さて、本題に入る前にあまりに紙幅を使ってしまったが、今日書きたかったのは「河村たかし評」ではなく、話の発端である「名古屋城エレベーター問題」についてだ。誰もが天守閣に上がれるようエレベーターを設置すべきなのか、あくまで木造復元にこだわり、エレベーターは未設置とするのか。私なりの考えを述べていきたいと思う。

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