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「赤ちゃんポスト」で語られていない視点。

そもそも「赤ちゃんポスト」という名称自体が、命を軽視しているかのような印象を与えてしまうのでは——という懸念もあるのですが、国内では一般的にこう呼ばれているため、ここでも「赤ちゃんポスト」と記させていただきます。

日本では、これまで熊本県と北海道の2カ所で運営されてきた「赤ちゃんポスト」ですが、このたび東京都でも医療法人社団「モルゲンロート」が2024年秋の開設を目指して準備中であることが伝えられ、再び注目を集めています。

2006年に熊本市にある慈恵病院が「赤ちゃんポスト」の設置申請をしたときのことは、よく覚えています。とても議論と呼べるほどの拮抗した意見のぶつかり合いとはならず、「命の軽視だ」「無責任な親を助長する」などといった批判が殺到していました。

もちろん、なかにはその意義について解説する専門家もいましたが、あまりのボリュームの批判にかき消されてしまっていた印象が強く残っています。あくまで私の肌感覚でしかありませんが、賛否の割合は2:8くらいだったような気がしています。

ところが、今回の「東京都でも開設へ」というニュースに対する反応は、16年前とはまるで異なるものでした。もちろん、あのときと同様、「命の軽視」といった批判も見受けられましたが、ボリュームとしてはそこまで多いものではなく、これまた私の肌感覚ではありますが、7割方が「消極的賛成」といった印象を受けました。

多くの方のコメントにあったのは、「諸手を挙げて賛成というわけにはいかないが、そのまま放置されて虐待死が起こったりするよりは、こうした施設に預けられるほうがまだいいだろう」というものでした。16年の月日が流れ、世論がこのような変化を遂げたのも、慈恵病院が果たしてきた役割の大きさゆえ。心から敬意を表したいと思います。

私自身、赤ちゃんポストについては、まさに上記の理由からおおむね賛成の立場ですが、今回書きたいのは賛否についてではありません。この赤ちゃんポストが語られるときには、いつも「賛成か反対か」「メリットとデメリットは何か」ということばかりなのですが、ひとつ大切な視点が欠けていると思うのです。それは、昨今話題の「旧統一教会」とも関連する話です。

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