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「フェミニスト議連」の抗議を、これまでと違った視点で考える。

千葉県警は、交通啓発動画として松戸市のご当地VTuber「戸定梨香(とじょうりんか)」を起用したPR動画を公開していたが、全国フェミニスト議員連盟から「腹やへそを露出し、極端なミニスカートで性的だ」「性犯罪誘発の懸念すら感じさせる」などとする抗議を受けて、9月上旬に動画を削除した。

これに対し、キャラクターの所属事務所は「女性蔑視や性的な意図はない」と反論。また、フェミニスト議連の対応に対して、「表現行為への偏見や差別」だとして、カウンターの抗議を行うネット署名も実施されており、記事執筆時点(9/22)で5万筆以上が集まっている。


「キャンセルカルチャー」という言葉を耳にするようになって数年が経つ。もともとは、他者の過ちを徹底的に糾弾する「コールアウトカルチャー」の一種で、特定の発言や行動を糾弾し、不買運動を起こしたり放送中の番組を中止させたりすることで、その対象を排除しようとする動きのことだ。

こうしたキャンセルカルチャーについては、かつて『AbemaPrime』で扱ったことがある。 #KuToo 運動で一躍有名になった石川優実さんや NY在住のライター佐久間裕美子さんら、キャンセルカルチャーに肯定的な論者をお呼びして、かなり突っ込んだ議論を行ったのだ。


私は、番組の中でこのように発言した。

「僕はこのなかで唯一、キャンセルカルチャーによって“キャンセル“されたことのある人間だと思うんですよね。そうした立場から言わせてもらうと、先ほどからみなさんが言っている『嫌だという個人の見解、感情を伝えているだけだ』というのはその通りなんでしょうけど、キャンセルされる側にとっては、たとえ小石でもそれが無数に飛んでくると瀕死の重傷を負ってしまうんですよ。もちろん小石を投げる権利はあるけれど、それが無数に飛んでくる側のことももう少し考えほしい、というのはありますね」

私自身もマイノリティであるがゆえに、マジョリティ中心に社会が設計されていることに声を上げたくなる気持ちは十分に理解できる。しかし、それが大きなうねりとなって、弱者が“これまでの強者”を徹底的に追い詰めることには自覚的であるべきだというのが私の考えだ。

だが、私のこの主張は、あまり彼女たちには届かなかったようだ。

石川「まずは問題点を知って欲しいというのが目的なので、結果がどうかまでは考えていないし、自分で思ったことを自分の意思で発信するわけで、そこは個人個人の責任でやるべきだと思う」
佐久間「相手が一人の人間なのか企業なのかは違うし、現実の社会ではキャンセルされた会社が潰れるということはそこまで起きていない。あくまでも受け止めた側の企業が判断すればいいことだと思う」

今回、VTuberに関する千葉県警との件でカウンター抗議を受ける形となったフェミニズム議連も、まさに石川さんや佐久間さんの発言と同様のコメントを出している。

「提出した文書は、公的機関としての認識を問うたものです。当該動画の掲載も、削除も、ともに千葉県警によるものです」

また、フェミニズム議連の共同代表を務める松戸市議・増田薫氏は、ツイッターにこのような投稿をしている。

まさに、石川さんや佐久間さんと通じる「私は声を上げただけ。削除の判断を下したのは、あくまで抗議を受けた側(千葉県警)」という考え方だ。こうした姿勢に対しては、参議院議員・音喜多駿氏など、各方面から厳しい声が上がっている。

以上が、これまでのフェミニスト議連の抗議に関する流れだが、ここからは「まだあまり語られていない視点」について書いてみようと思う。

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