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ロシアへの経済制裁について議論していたら、なぜか“あの人”の話題になった夜のこと。

ロシアが今年2月にウクライナへの軍事侵攻を始めてから2ヶ月が経とうとしている。この間、西側陣営は「ウクライナと連帯する」「心はウクライナと共にある」とのメッセージを発信してきたが、世界規模の大戦へと発展することを恐れて、軍事支援まで踏み切ることができていない。

「その代わりに」と言わんばかりに各国が力を入れているのが、ロシアへの経済制裁だ。その内容は、主に下記の5つだと整理されている。

1.国際的な決済ネットワークSWIFTからロシアの特定の銀行を除外
2.ロシアへの輸出規制
3.ロシアからの輸入規制
4.最恵国待遇の取り消し・撤回
5.プーチン政権と蜜月な関係の富豪たちの資産凍結

しかし、天然ガスなどの資源を豊富に持つロシア経済はしぶとさを見せており、ここに来てロシアの株価やロシア通貨であるルーブルも回復基調にある。また、たとえ経済制裁が奏功したとしても、正気の沙汰とは思えない判断を繰り返しているプーチン大統領やその側近たちが困窮するわけではないし、ロシア国内の富豪たちにも抜け道などいくらでも存在するだろう。結局、経済制裁がハマったとしても、それによって最も影響を受けるのは一般国民なのだ。

私としては、つねに弱者に寄り添う思考が習慣化してしまっているため、「ウクライナvsロシア」という構図においては、当然ながらロシアを非難する立場にあるが、しかしロシア国民が苦しむことになる経済制裁について積極的に肯定してもいいものかどうか、答えを見つけあぐねていた。

その答えを見つけるべく、先月、ある国際政治学者がパネリストとして登壇するイベントを聴講した。彼の主張は一貫していて、やはり軍事的な対抗は被害が拡大する恐れがあるので好ましくはない。その意味では経済制裁を強めていくしかない。たしかにロシア国民が苦しむ可能性は高くなるが、それによってプーチン政権の支持率が下がり、彼が退陣に追い込まれることが最も望ましいシナリオだという。

もちろん、このシナリオがそう簡単に実現するとは思えないが、今回のロシアによる軍事侵攻が、結果的には「失敗だった」と歴史的に認識されることが必要だと力を込める。たとえキーウを陥落させることができなかったとしても、最終的にロシア側にとってある程度の“果実”がもたらされるようならば、今後も各国の指導者が「あの程度のリスクで済むなら、ロシアのように軍事行動で解決すればよい」と考えてしまいがちになるからだ。

そのような考えを抱かせないためにも、今回のロシアによる軍事侵攻が明らかな誤りであり、国際社会において孤立し、その信頼を回復するまでに多大な犠牲を払わなければならないことを示していく必要があるのだと力説していた。こうした話を聞き、私も一般的なロシア国民の生活を案じる気持ちが消え失せたわけではないものの、今後さらなる被害者を生まないために必要な措置なのだと考えを改めさせられた。

その夜、一緒にイベントに参加した友人たちと酒を飲んだ。もちろん、話の内容は先ほどまで聞いていたロシア問題について。友人たちも厳しい経済制裁についての態度を決めかねていたものの、先ほどまでの話を聞いて、やはり現段階では必要な措置なのだと腹を括ったようだった。

それからしばらく飲んでいると話題も移り変わり、“あの人”の話題になった。そう、ネット界に彗星のごとく(いや、隕石のごとく?)現れたガーシーこと東谷義和さんのことだ。東谷さんについては詳しく書かないので、こちらを参照してほしい。だが、つい半年前までは挨拶代わりのように「ワクチン打ちました?」という会話がスタンダードだったが、いまでは大抵「ガーシーチャンネル見てる?」という会話になる。

そんななか、参加者のひとりが唐突に切り出した。

「だからさ、さっきのロシアの話を聞いていて、俺はガーシーのこと考えてたのよ」

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